(1) 消費動向 堅調な伸びもやや鈍化 ・ 牛肉の消費は安定的に増加。特に62年度は10%近い水準で増加。63年度も約68 万トンで10%近い伸びとなった。 ・ 平成元年度に入って輸入を含む推定出回り量でみると輸入は高いテンポで増大 しているものの、消費の伸びが鈍化しているとみられ、4月以降、牛肉の在庫は、 急速なテンポで拡大しており、8月末では対前年比2倍近い約190%に達している (表4)。なお、通関前の在庫は、対前年比では6月をピークにむしろ減少してい るのに対し、通関済みのものは依然として増加傾向にある(巻末資料参照)。 表4 牛肉需給
年度年月 | 推定期首在庫 | 生産量 | 輸入量 | 推定期末在庫 | 推定出回り量 | |||||
数量 (トン) |
前年比(%) | 数量 (トン) |
前年比(%) | 数量 (トン) |
前年比(%) | 数量 (トン) |
前年比(%) | 数量 (トン) |
前年比(%) | |
61 62 63 |
57,952 67,771 63,692 |
108.8 116.9 94.0 |
393,693 397,555 398,392 |
101.2 101.0 100.2 |
187,871 223,606 285,416 |
119.1 119.0 127.6 |
67,771 63,692 66、546 |
116.9 94.0 104.5 |
571,745 625,240 680,955 |
105.5 109.4 108.9 |
63. 8 9 10 11 12 元. 1 2 3 4 5 6 7 8 |
64,960 60,211 66,401 75,054 76,265 69,919 73,759 67,632 66,546 79,946 91,137 99,475 107,519 |
93.6 91.8 102.4 113.8 101.7 92.7 94.0 93.6 104.5 124.5 136.2 144.6 165.5 |
33,726 33,202 34,471 37,097 41,784 28,798 29,858 33,384 31,202 30,664 28,851 31,177 30,803 |
105.2 100.3 98.6 103.0 97.6 101.3 94.8 103.5 94.9 99.6 96.3 96.0 91.3 |
19,254 28,474 31,275 28,951 25,905 23,239 12,368 27,548 32,710 35,646 33,950 31,451 35,261 |
123.4 176.0 148.8 98.2 98.7 119.3 96.6 244.3 144.3 152.3 140.6 173.0 183.1 |
60,211 66,401 75,054 76,265 69,919 73,759 67,632 66,546 79,946 91,137 99,475 107,519 114,746 |
91.8 102.4 113.8 101.7 92.7 94.0 93.6 104.5 124.5 136.2 144.6 165.5 190.6 |
57,729 55,486 57,093 64,837 74,036 48,197 48,352 62,018 50,512 55,119 54,464 54,585 58,837 |
112.1 111.0 104.0 114.7 108.0 107.3 95.8 119.0 91.8 107.0 104.4 100.2 101.9 |
資料:農林水産省「食肉流通統計」、大蔵省「日本貿易月表」、推定在庫量(通関済み+国内生産)は 事業団調べ。 注:1)出回り量=推定期首在庫+生産量+輸入量-推定期末在庫 2)数量は部分肉ベース ・ 牛肉消費の5割強を占める家計消費は、牛肉価格が安定的に推移してきたこと等から62年 度まで増加傾向で推移したが、63年度以降、月によって変動があるものの、おおむね横 ばいとなっている。 ・ 加工仕向け量は、62、63年度と極めて高い伸びを示し、本年度に入っても依然高い伸び を続けている。 (2) 生産動向 乳牛のと殺減もあって、前年度を下回る牛肉生産 ・ 生産は需要の増加に対応して増加を続けてきたが近年その伸びが次第に鈍化し、平成元 年度に入って前年水準を下回って推移(表4)。 ・ 種類別には、61〜63年度にかけては肉専用種が減少してた分を乳用種が補い、全体では 前年度に比しわずかに増加するという形で推移。 ・ 平成元年度に入って、和牛が回復に転じた一方、乳用種は雌牛の大幅と殺減もあって、 かなりの減少となっている。 (3) 輸入動向 増加の続く輸入量 ・ 日米・日豪牛肉交渉により、輸入割当量を63年度以降平成2年度まで毎年6万ト ンずつ増加させるとともに、平成3年度からの輸入割当制度の撤廃を合意。 ・ 63年度の輸入割当量は、27万4千トン(表5)。 ・ 平成元年度は日米・日豪の輸入割当合意数量と同量の33万4千トン。 ・ 平成元年度に入って、4〜8月期の輸入実績は、前年同月比57%増の169千万トン となっている。 ・ 畜産振興事業団は輸入牛肉のおおむね8割を取り扱っている。 ・ 事業団の8月の売渡は、前月比で116.7%の27,418トンとなった。部位別の状況 をみると、前月に比べ「かた」が1,345トン、「リブ・ばら」が79トン、「バルク」 が2,281トンの増となり、「かた」と「バルク」の比率が増加(表6)。 表5 牛肉輸入割当量の推移 (単位:千トン)
年 度 | 昭和57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 平成 元年度 |
牛肉輸入 割当量 |
135,000 | 141,000 | 150,000 | 159,000 | 168,000 | 214,000 | 274,000 | 334,000 |
表6 畜産振興事業団の部位別売渡実績(平成元年8月) (単位:千トン、%)
区 分 |
売渡数量 | 部位別比率 | |||
フローズン | チルド | 計 | |||
か た | 5,611 | 522 | 6,133 | 42 | |
ロイン | 680 | 573 | 1,253 | 9 | |
リブ・ばら | 4,458 | 276 | 4,734 | 33 | |
も も | 1,434 | 920 | 2,354 | 16 | |
小 計 | 12,183 | 2,291 | 14,474 | 100 | 53 |
フルセット | 2,800 | 2,710 | 5,510 | 20 | |
枝 肉 | 4 | 1,828 | 1,832 | 7 | |
バルク | 5,530 | 0 | 5,530 | 20 | |
その他 | 60 | 12 | 72 | 0 | |
合 計 | 20,577 | 6,841 | 27,418 | 100 |
注:1 ボンイン/ボンレスの区別はしていない 2 バルクは、SBS扱分及びカウミート等を含む 3 四捨五入の関係で縦横の計は必ずしも一致しない (4) 価格動向 @ 卸売価格 ア 国産牛肉 輸入増にもかかわらず安定した推移 ・ 63年度から改定された枝肉取引規格により価格安定対象牛肉(「B−2・B−3」 規格)についてみると、漸次低下傾向をたどっているが、63年度は概ね安定価格 帯の中心価格と安定上位価格の間で強含みで推移。 ・ 平成元年度に入っても同様の傾向で推移。 イ 輸入牛肉 輸入牛肉価格は総じて弱含み傾向 ・ 市場せり状況をみると以下のとおり 9月売渡し 9月の上場数量は、前月より1,000トン減の8,000トンとしたが、落札は7,622ト ンで95.2%の落札率となった。 部位別にみると、ロイン系について徐々ではあるが、落札率は上向き傾向にあ る。その他の部位については、全量ないし、それに近い落札率となった。 東京市場のせり結果みると、No.180ストリップロインは本月も不落であったが、 No.189フルテンダーロインは、2ヵ月ぶりに一部落札が見られた。一方価格の動き をみると、チャックアンドブレード及びカウミートは若干ながら値上がりしたが、 他の部位は前月よりも値下がりした。 10月売渡し 10月の上場数量は、年末の需要期に向うことから、前月より1,000トン増の9,0 00トンとしたが、落札は8,616トン(概数)で95.7%の落札率となった。 部位別に見るとロイン系については前月と同様大量の不落が生じたが、落札率 は上向いている。他の部位は、No.116スクエアカットチャック及びチャックアン ドブレードが若干残ったが、他は100%の落札率であった。 東京市場のせり結果をみると本月もNo.180ストップロインは全量不落であった。 一方価格の動きは、No.121Aリブアイロールリップオン及びNo.189フルテンダー ロインは前月よりやや値上がりしたが、他の部位は前月より値下がりした。 表7 輸入牛肉卸売価格(東京市場)
年月 |
No.116 スクウェア カットチャック |
No.112A リブアイロー ルリップオン |
No.180 ストリッフ ゚ロイン |
No.189 フルテン ダーロイン |
No.121B ショートプ レート(1) |
チャック アンド ブレード |
カウミート | エージド ビーフ フルセット |
63. 9 | 953 | 2,200 | 2,048 | 2,350 | 718 | 959 | 999 | 1,317 |
10 | 1,482 | 2,200 | 1,995 | 2,324 | 982 | 1,087 | 1,059 | 1,324 |
元. 9 | 873 | 2,000 | - | 2,118 | 726 | 749 | 728 | 1,153 |
10 | 854 | 2,086 | - | 2,208 | 770 | 739 | 691 | 1,150 |
注:1) 元年度については消費税額分を含む 2) 元年10月は速報値 A 小売価格 国産牛肉は横ばい、輸入牛肉はかなりの低下後横ばい ・ 平成元年度に入って4月に消費税の導入もあって若干上昇しその後ほぼ横ばい で推移。 B 子牛価格 依然高水準 ・ 和子牛は、60〜62年度にかけて上昇し、63年度においてもじり高傾向で推移し たが、平成元年1月をピークにやや低下した。しかし、7月以降は再び上昇気味 (表8)。 ・ なお性別にみると昭和50年代後半には、雄より雌が高い時期があったが、最近 では、雌は雄の85%程度で推移。肥育経営の購買意欲の強いことがうかがえる。 ・ 乳用雄子牛は、自由化決定後の11月頃までにかけてやや弱含みで推移したが、 その後反転して強含みで推移。 表8 子牛の取引頭数・価格
年度年月 |
和 め す | 和 去 勢 | 乳用雄子牛 | |||||||
取引頭数 | 価 格 | 取引頭数 | 価 格 | 価 格 | ||||||
(頭) | 前年比(%) | (千円 /頭) |
前年比(%) | (頭) | 前年比(%) | (千円 /頭) |
前年比(%) | (千円 /頭) |
前年比(%) | |
58 59 60 61 62 63 |
76,156 77,227 68,845 66,018 64,437 67,264 |
112.4 101.4 89.1 95.9 97.6 104.4 |
211.1 209.3 256.4 315.6 374.9 414.3 |
80.3 99.1 122.5 123.1 118.8 110.5 |
86,559 86,964 80,574 77,357 77,958 80,044 |
104.5 100.5 92.7 96.0 100.8 102.7 |
246.3 258.2 306.5 368.1 437.4 483.0 |
93.6 104.8 118.7 120.1 118.8 110.4 |
149.2 149.0 158.2 180.3 202.5 205.5 |
100.4 99.9 106.2 114.0 112.3 101.5 |
63. 8 9 10 11 12 元. 1 2 3 4 5 6 7 8 |
3,484 5,552 4,619 5,087 5,372 5,370 5,346 7,726 5,733 7,122 5,502 6,243 3,650 |
98.1 15.1 90.6 107.0 108.9 101.8 104.6 104.2 98.6 97.1 103.1 100.3 104.8 |
377.3 422.9 401.0 421.5 438.7 456.3 438.9 442.0 424.0 422.3 403.5 435.3 425.7 |
100.7 107.3 103.6 107.7 111.3 117.0 116.0 113.9 110.0 105.0 102.4 113.8 112.8 |
4,215 6,779 5,543 5,804 6,477 6,754 6,400 9,109 6,992 8,694 6,238 7,596 4,282 |
102.0 115.2 89.4 102.5 105.3 98.7 98.4 103.9 104.1 99.6 104.4 100.7 101.6 |
450.9 494.9 482.1 499.5 508.4 521.8 499.9 509.9 501.3 498.4 483.0 506.8 505.6 |
104.7 109.8 105.1 109.0 112.2 111.7 111.8 111.4 108.8 104.5 105.1 112.0 112.1 |
204.4 201.7 202.3 198.9 201.7 202.3 205.1 208.2 223.8 226.7 227.3 226.3 224.5 |
104.6 100.8 97.9 93.7 94.5 95.9 97.6 99.8 106.3 107.4 106.9 109.0 109.8 |
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