◎国内現地の新しい動き


商農提携による牛肉生産の新しい動き


京都大学農学部畜産資源学講座教授 宮崎 昭


商農提携による牛肉生産の新しい動き

はじめに

  牛肉輸入自由化の実施を1年半後に控え、わが国の肉用牛生産は国際競争力の強
化を望まれている。しかし、一般的に零細なわが国の肉用牛経営では、規模が大き
く、技術水準も高そうな外国、とくにアメリカやオーストラリアに大刀打できない
とあきらめ顔のところも少なくない。ところが現実をみると、輸入牛肉は質の面で
も、量の面でも、必ずしも日本の需要に応えてきたとは云えない。そのため、今後
わが国の肉用生産の向かうべき道は消費者の嗜好を十分に分析した上で、自らの生
産技術水準を高め、国際化時代に対応することであろうと考えられる。今日でもそ
ういう姿勢を持って、肉用生産に取組んでいる経営が散見されるので、その1つを
紹介し、将来の参考に供したい。もっとも、この経営は規模が大きすぎるので参考
にできないと考える向きもあるかもしれないが、経営方針というものには、あらゆ
る経営に共通することであり、この中から自己の経営を高める芽を見つけ出して欲
しい。


新しい商農提携活動

  これらの牧場は岩手県岩手郡と二戸郡にあり、一つの飼料工場を共同で活用する
農事組合法人で、有機的に協力し合って肉用牛の生産にあたっていた。2つの牧場
とは、1つは岩手町のキロサ肉畜産センター、もう1つは二戸町の西岳肉牛牧場で
あり、飼料工場は岩手町の北岩手飼料組合で、キロサ肉畜センターと隣接して建て
られている。このうち、2つの牧場は、以前、経営の悪化から破産寸前という状態
のところを、昭和57年に大手量販小売店がテコ入れし、立て直したものであった。

  その頃、この量販店は、自社のトレードマークをつけた牛肉を売りたいと考えて
いたので、これらの牧場を舞台として、産地直送の牛肉生産にあたることを決めた。
そこで量販店と牧場が相談し、いずれにも利益が享受できる策をさぐり、国や県も
制度資金の活用を通して、それを応援した。その結果、人的資源としては地元の人
々に加え、新しく大学で畜産学を修めた職員が牧場運営にあたることになった。一
方、量販店は牧場経理の事務、人事管理、仕入業務と出荷業務など、経営に重要な
部門の担当者は、企業的センスを身につけていることが大切と助言し、その手ほど
きを行った。

  牧場が再生を目指す際に問題となったのは、この2つの牧場がともに何億円とい
う固定資産をもちながら、経営難のための牛の飼養頭数が少なく、販売額が著しく
少なかった点であった。これをたとえていえば、八階建のデパートがあるのに、商
品は二階分しかないといった感じであった。そのため肥育牛1頭あたりの投資が大
きすぎたのである。そこでまず量販店が低い社内金利並みで資金融資し、牧場の飼
養頭数を多くすることにした。その結果、昭和57年にはわずか900頭であった
牛が、昭和61年には3,900頭になり、平成元年9月には肥育牛と繁殖牛をあわ
せると6,699頭となった。なお近い将来、飼養規模は13,000頭になる予定
である。


肥料のコストダウン

  当初、肥育牛を増頭したが、それに給与する飼料は莫大であった。そのため飼料
単価の引下げに大きな関心が集まった。そこで農林水産省の未利用資源利用促進事
業の補助を受けて、農事組合法人の飼料製造工場が建設され、昭和59年春から飼
料供給を始めた。その際、原料単品の多量仕入れによるコストダウンというスケー
ルメリットを活かし、また栄養的な偏りはあるけれども、使い途一つで肥育牛にと
って良質の飼料のなる安価な未利用資源を大量に集めた。そして牛の発育段階や品
種の特徴に合わせて、養分的に満足できる飼料を量産しはじめた。

  飼料に混合される原料は、トウモロコシ、ライムギ、ダイズ粕、コメ糖、フスマ、
コーングルテンフィールド、コーンミール、コーンミックス、醤油粕、オオムギ、
ジスチラーズソリュブル、豆腐粕、菓子くず、乾麺粉、オオムギ外皮、尿素、炭酸
カルシウム、食塩などであった。これらを適切に配合することによって、飼料単価
は従来購入していたものより、1kg辺たり10円も安くなった。この牧場では肥
育期間中に1頭の牛が食べる飼料の量は3〜4tであったから、この飼料を使うこ
とによって、肥育牛生産費は3〜4万円も低下した。

  その後も飼料単価を引下げようと、まず単品ごとの購入価格について業者間で競
争させたり、特定の納入業者との間でも交渉をくり返し、支払方法を長期の手形決
済にするなどして資金運用が楽になるようにした。さらには、肥育もとの牛の導入
が安定的に行えるように、乳用種の産地、北海道の業者と契約し、牛舍にゆとりが
できると、直ちにもと牛を導入できるようにした。


預託方式による増頭

  肥育牛中心で経営を続けているうちに、肥育もと牛が高騰し、生産費に占めるも
と牛代が大きくなり、牧場経営の足を引っぱった。それと同時期に、飼料工場の生
産が拡大できる見通しになり、さらに牧場の草地基盤が安定して、草の生産量も多
くなった。そうした事情を考え合わせ、牧場は預託による肥育牛生産をとり入れる
ことや、牧場内で子牛生産を始めることにした。肥育牛の預託は、1頭当たりの牧
場の固定資産を小さくする効果があった。そこで牧場の近くの農家で牛舎にスペー
スがあると、そこに肥育もと牛と飼料を供給することにした。やがて預託による肥
育牛生産も軌道に乗り、その成績がよくなるにつれて、預託を希望する農家も増え
はじめた。その結果、牧場では、昭和62年から繁殖部門に力を入れ始めた。

  預託を望んだ経営の多くは、以前に補助金をもらって立派な牛舎施設を作ったも
のの、過剰投資がわざわいしたもの、飼養技術が不十分であるのに大規模経営を始
めて失敗したもの、さらに大規模化したとたんに運悪く、もと牛高、飼料高、肉牛
安という価格変動の谷間で苦しみ借財を大きくしたものなどで、赤字をなんとかし
たいと救援を求めてきたものであった。当初預託を望んだ肥育農家は、借財が3,
000万円から1.5億円にも及んだ。その中から立地条件、人的条件などを確か
めて、預託先を選び出した。それにあたっては、肥育部門だけで生計を立てるとい
うものではなく、水稲、野菜、リンゴ、タバコなどである程度現金収入が期待でき
る部門をもちつつ、複合経営を続ける意向をもって、とくに牛の導入が土つくりに
結びつきそうなところを選んだ。

  預託に際して、担保はとらなかったものの、その経営における飼養技術水準や意
欲を調べて選考した。しかし、それでも、落伍する経営は2割ほどあったとのこと
である。預託では、牧場が肥育もと牛と肥育用飼料を提供し、預託農家は牛舎と労
働を提供する。この飼料は、北岩手飼料組合のものである。ただし、粗飼料は農家
が自ら準備することになっている。そして、1日当たり1頭につき、170円の基
本預託金を支払うわけである。肥育牛生産の基準は、提供した飼料に関する飼料要
求率が乳用種去勢で9.2以下、雌で9.5以下、枝肉歩留で同じく57.0%以上
と56.5%以上ならば、奨励金を出す条件となっている。

  また肥育中の死廃自己率が3%までは奨励金を出すが、それ越えると、越えた分
に相当するもと牛代と飼料代を返却する義務がある。ただし、牧場では家畜共済に
加入しているので、それによって返済される分を差引いた残りを農家が罰金のよう
に支払うのである。この基準は農家に有利につくられていて、一般的には預託農家
は、奨励金を含めて、1日1頭当たり190円を受取っている。この預託方式は評
判がよく、希望者が多くなっており、現在、預託による肥育牛は3,764頭いる
が、近々それを10,000頭にする予定という。


肉質の斉一性を重視

  こうした状況の中で、最近、牧場は主として肥育もと牛生産の場となった。量販
店で売り易い牛の品種は何かを検討するため、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、
ホルスタインなど、わが国の主な品種に加え、韓牛、魯西黄牛、リムジン、アンガ
ス、マリ・グレ・などさまざまな品種を導入し、主として自然交配によって繁殖を
行っている。この中で日本短角種の雌に黒毛和種の雄を交配した交雑種の雌は、放
牧中の草摂取量が多く、乳量も多い点で、子育て成績がよく、さらに量販店で売り
易い肉質としての斉一性にすぐれているため、最近ではこの交雑種の雌に黒毛和種
を交雑し、その子牛を肥育もと牛の主力商品とすることにした。この肥育もと牛は、
肥育期間14か月で、日本食肉格付協会の枝肉規模のA4に格付される率が、他の
品種や交雑種より大きく、肥育牛としたとき、約70%がA4となる。そのため、
銘柄牛肉として安定的にほどよい牛肉を安心して生産できるという。しかも日本短
角種の繁殖もと牛は、子牛市場で今でも25万円で入手できる点も魅力なのである。

  わが国の牛肉の小売段階で、差別化商品として、今日、最上位に黒毛和種の牛肉、
つぎに乳用種去勢肥育牛、そしてその下に輸入牛肉のグレインフエッドのチルドが
くると認識されている。しかし将来、予想される変化の中で、黒毛和種の上物はそ
のまま残るが、乳用種去勢と輸入牛肉の上物は、外国での生産方法が変化するとと
もに、競合しはじめることであろう。そこで、この量販店では、黒毛和種より下で
あるが、乳用種去勢や、輸入牛肉の中のよいものよりもつねに上に位置づけられる
商品を、日本短角種と黒毛和種の交雑で生産しようと考えはじめている。今まで、
乳用種雌に黒毛和種雄を交配したF1 や、F1 クロスは、これらの牧場で多頭数肥
育して調べた結果からいえば、肉質にバラツキが大きく、もうけが小さかったとい
う。それは乳用種では肉質に関する遺伝情報が全くないまま、またどのような黒毛
和種との交配が肉質的に好ましいのかがわからないまま、ただただ交雑してきたた
めと考えている。将来、乳用種による牛肉生産を残そうとするならば、この品種に
ついても、産肉性をもっと詳しく知らなければならないと牧場関係者は話していた。


繁殖、肥育一貫によるコストダウン

  平成元年9月19日現在、牧場には1,727頭預託農家には4,930頭の牛が
いる。そのうちキロサ肉畜生産センターには繁殖雌牛569頭、種雄牛13頭、子
牛202頭、肥育牛13頭が飼育されている。それとは別に、1農協、10農家に
合計1,444頭の肥育牛と2農家に333頭の哺育牛が預託されている。一方、西
岳肉牧場には繁殖雌牛447頭、種雄牛12頭、子牛136頭、肥育牛249頭、
哺育牛86頭、北海道分場に繁殖雌牛308頭、種雄牛5頭、子牛140頭がいる。
それに加えて、3農協、21農家に2,058頭の肥育牛、5農家に684頭の哺育
牛が預託されている。

  それぞれの牧場の総面積は、キロサで90ha、西岳で150ha、そのうち草
地面積はそれぞれ48haと100haであり、草本位で繁殖雌牛を飼育するのに
適している。もちろん、これだけで十分ではないので、岩手県下の農家から乾草の
購入を行ったり、北海道から乾草を導入したりしている。繁殖雌牛に給与する濃原
飼料は1年間でせいぜい180kgである。

  この繁殖雌牛から生産される子牛を肥育もと牛と考えるとき、その生産原価は、
雌と去勢の平均で、体重250kgとして、約20万円と見積れる。これを用いて
生産した肥育牛は、出荷体重623kg、肥育期間515日、1日当たり増体重
0.72kg濃原飼料摂取量4,012kg飼料要求率10.8、枝肉重量361kg
、枝肉歩留58.0%と仮定したとき、1頭当たりの収支はつぎのように見積もれ
る。その場合、枝肉1Kg当たりの単価は、1,400円から1,800円とみてい
るが、いずれの場合で経常利益は黒字である。


肥育牛生産における1頭当たりの収支(試算)                            
枝肉単価 1400円/kg 1500円/kg 1600円/kg 1700円/kg 1800円/kg
枝肉売上 505,400 541,500 577,600 613,700 649,800
内臓代 12,635 12,635 12,635 12,635 12,635
原皮代 5,500 5,500 5,500 5,500 5,500
売上合計 523,535 559,635 595,735 631,835 667,935
素牛代 217,612    
飼料代 120,360 4,012kg @30円/kg
経費 100,363 共済掛金 6955円×515/360=9,813円
           衛生費  3,000円
預託料  515日×@170円=87,550円
生産原価 438,335     
差益高 85,200 121,300 157,400 193,500 229,600
出荷運賃 6,786     
屑畜料 7,740    
営業利益 70,674 106,774 142,874 178,974 215,074
事故負担金 6,590

3%

金利 23,383

5%

経常利益 40,701 76,801 112,901 149,001 185,101
  
  上に示した肥育牛生産原価は、算定基準を甘くしてもとめられているので、飼料
要求率を9.0、枝肉歩留を60.0%とすると、飼料単価、Kg当たり30円、枝
肉単価、1400円のとき、経常利益に37,582円上乗せできるのである。

  なお、現在、飼料単価は、肥育用で20.2円、育成用で31.7円であるから、
肥育牛生産原価は、本当はもっと低くなる。この飼料単価中央畜産会の調べでは、
わが国の大規模肥育経営の中で一番良いものとみなされている。

  そのため、この牧場では、現在、枝肉単価が1,800円もするので、もうかり
すぎとさえ話している。将来、牛肉輸入自由化が実施され、枝肉単価が低下し、
1,300円となっても、なお黒字経営であるし、仮に1,200円となっても、ぎ
りぎりの線で経営は続けられるとのことである。


月次計画と毎日の朝礼

  牧場は二つとも、それぞれ9名の職員で運営されている。この中には、預託パト
ロール担当者も含まれている。この牧場および預託農家では、毎月月末に棚おろし
が行われ、牛と飼料の現在量が調べられる。毎月末4日間をかけて、すべての牛の
体重を測定する。体重測定は手のかかる仕事であるから、3か月に1回でもよいと
いう人もいるが、測定し易い場所に適切な施設をつくり、流れ作業でそれを行う。
1か月間にわずか4日間頑張るだけで、経営全体が把握できるから、これは利点が
多い仕事である。他人が何といおうが、バカみたいにまじめに毎月、測定を行うの
だと牧場の人々は云う。これは経営の羅針盤なのである。

  体重測定時には、翌月出荷の牛を決め、さらに翌々月出荷の候補牛を選ぶ。そし
て、いくつかのランクに分けて、販売額の推定も行う。ふつう肥育牛は1房に10
頭入れられているので、固体観察されても、十分ではない。そこで、この体重測定
時に病畜、異常畜の早期発見につとめ、かつ増体が低下している牛を見つける。た
とえば、オガクズが敷料として十分に用いられるとき、爪が悪くても一見してわか
りにくいが、体重測定時にそれが容易に発見できる。また飼料の食下量の記録は、
増体との関係で、このとき役立つてくる。

  棚おろしがすむと、月次業務計画がたてられる。営業数値としては、売上高、差
益高、差益率、経費合計、経常利益が、当初予算、見込み、予算比、前年同月比
(見込分)について記入される。つぎに昨年同月の営業数値、出荷死廃明細、導入
明細、枝肉相場、飼養動向が記入される。

  その後、当月次計画として、出荷、導入、死廃頭数が、当初予算時の頭数見込と、
棚おろしに基づいた当月計画で記入される。出荷牛の肥育成績の予測では、品種ご
とに1日当たり増体量、飼料要求率、格付率、枝肉歩留について、また、もと牛導
入単価導入計画では最近のもと牛価格についての相場の傾向を示し、いくらでもと
牛を導入するつもりかが決められる。その結果、牧場と預託農家における飼養頭数
が明らかとなる。

  つぎに当月の重点事項として、たとえば新しい預託を実施する場合にはそのスケ
ジュール、また預託先の冬季対策などについて検討する。そのとき、イネ刈りのた
め牛舎の冬囲いの準備がおろそかにならないように巡回することや、窓の取付けを
忘れないよう注意を喚起する。寒い東北地方の山村ならではの注意であるが、夏場
は畜舎の風通しをよくしようと窓がとりはずされていたこともこれでわかる。要員
計画では、特別の労働のための臨時雇いの人数や日数、仕事の内容も検討される。

  飼養管理上の注意、そして当月作業の予定と前月の反省については、臨時雇いの
人も含めた全員で、約四時間かけて、各々の職掌分担をふまえて話し合われる。

  月次計画検討会では、肥育牛の出荷先から送られてきた枝肉検収報告を読んで、
製品に対する反省を行う。牛舎のロットごとのバラツキが、肉色やしまり、脂肪の
多寡について、どのようになっているかを検討する。飼料工場の責任者は、今期の
原料価格と、世界的な穀物生産状況などを伝える。さらには、これら月次計画検討
に加え、毎朝、短い朝礼で日々の作業の確認が行われる。


消費者の求める牛肉を作る

  牧場と預託農家で生産された肥育牛のうち、70%は、白子と立川のある屠場に
トラック輸送され、残りの30%は他の業者に販売される。その理由は、量販店で
は、牛肉の品質、価格に一定の範囲を設けて、品物を厳選するので、大貫物など規
格外のものは、他の業者に売るほうが有利なためである。トラックは一車15頭を
積載し、輸送時間は約8時間である。一車10万円であるが、帰路は他の荷物を積
むことになっているので、7万円程度で済む。もちろん、産地の近くで屠畜すれば、
輸送コストは安くなるが、地元で解体すれば副生物の評価が低いし、また屠畜経費
も割高なため、今のところ東京方面に生体を送っている。

  と畜後、枝肉はセリにかけずに部分肉として、川越の量販店の配送センターに運
ばれ、熟成後、部分肉のまま各店舗へ送られ、その小売店でさばかれ、トレイに乗
せられ、その日のうちにすべて売りつくされる。この牛肉は全国に209の小売店
舗をもつ量販店の中の、地域ごとに決めた主力店14店舗で、牧場直送牛として販
売されている。これには「いわて風味牛」という銘柄がつけられ、店内には牧場の
写真が掲げてある。

 「いわて風味牛」の基準は、適度の脂肪交雑があり、日本食肉格付協会の現行のサ
シ基準の1〜1+ のもので、肉色としまりのよいものとなっている。したがって、
サシの入りすぎは除外されている。この「いわて風味牛」に匹敵する仕入れ牛肉は、
128店舗で「おいしさ自慢」の銘柄の下に販売され、牧場での牛肉生産で間に合
わない分をカバーしている。現在、この量販店で扱う国産牛肉のうち、牧場産は1
0%ほどである。ちなみに、牛肉の全販売量の内訳は、国産牛肉50〜55%、輸
入牛肉50〜45%である。

  このように、牧場では、量販小売店で売り易い商品をつくるため、日頃から生産
体系の検を行いながら、今日のような形をつくり上げた。その場合、つねに新しい
消費者の動向を把握しその情報を生産の現場に早くもち帰り、臨機応変に安くて美
味しい、そして安全な牛肉つくりにつとめてきたという。これを追求する限り、輸
入牛肉とはすみ分けのきく商品を今後も生産し続けられると考えている。このよう
な頼もしい生産体系は、大企業の大幅な応援でできたのであるが、比較的規模の小
さい農家においては、協同の力をかりつつ、合理的な産地づくりを目指すならば実
現の可能性は高いと思われる。関係者各位のご協力を期待したいものである。


元のページに戻る