(1) 生乳生産 伸び率は2年に入り次第に鈍化。 ・ 63年度、平成元年度と高い伸びを記録した生乳生産は、平成2年に入り(計画 生産の浸透等もあって)伸び率は次第に鈍化しており、6月には、前年同月比1.6 %の伸びにとどまった(図1)。 特に、北海道において鈍化の傾向が著しく、平成元年を通じて8〜9%台の伸び を示していた北海道生乳生産は、6月には前年同月比1.5%増と63年6月以来、ほ ぼ2年振りに都府県の伸び(1.7%増)を下回った。 ・ 乳用めす牛のと畜頭数は依然として前年を大きく下回って推移している(6月 の乳用めす牛と畜頭数前年同月比7.6%減)が、減少割合(前年同月比)は着実 に縮小しており(巻末統計参照)、乳用めす牛のと畜頭数(季節調整後)は減少 から横ばいに転じたものとみられる。更に、その内訳を格付け結果からみると、 経産牛のと畜頭数は2年に入りようやく前年水準を上回り始め(6月対前年同月比 8.6%増)、経産牛の更新が進み始めたとみられる一方、未経産牛のと畜は引き 続き低水準で推移しており(6月前年同月比31.2%減)、保留意欲が依然高いこ とがうかがわれる(図2)。 (2) 飲用牛乳等の需給 好天に恵まれ需要の伸びは鈍化から持ち直しのきざし ・ 平成元年12月以降、低い伸びにとどまっていた飲用等向け処理量の伸びは、5 月に入って前年同月比2.3%増と持ち直し、6月に入ってからは好天に恵まれたこ ともあって、3.7%増と再び高い伸びを示した(図3)。 7月に入っても天候要因は引き続き良好に推移しており、飲用等向け処理量は6 月と同様の傾向で推移しているものとみられる。 ・ 飲用牛乳の生産は、元年12月以降低い伸びにとどまっていたが、5月には前年 同月比3.3%、6月は4.6%増と大幅な伸びを示した(図4)。その内訳をみると、 4月に前年水準を割込んだ牛乳が再び高い伸び(6月前年同月比4.0%増)を示す 一方、加工乳も引き続き高い伸び(6月前年同月比8.7%増)を維持している(図5)。 醗酵乳の生産は依然として堅調(6月前年同月比18.2%増)に推移し、また、 これまで低調に推移していた乳飲料の生産は、前年同月比13.9%増と大きな伸び を示した(図4)。 一方、乳酸菌飲料の生産は引き続き低迷している。 (3) 乳製品の需給、価格動向 飲用需要の回復に伴い生産は減少、価格低下のペースは鈍化、特にバターは下げ止まり ・ 62年度以降、飲用需要が好調に推移したこともあって、63年度から元年度前半 かけて乳製品需給はひっ迫したが、畜産振興事業団によるバター、脱脂粉乳の輸 入放出、国内生乳生産の増加、更には元年12月以降飲用需要の伸びが鈍化したこ とによる乳製品の生産増等により、乳製品の需給は均衡に向い、元年度末のバタ ー、脱脂粉乳の在庫はほぼ適正水準の範囲におさまった(表1)。これを受けて、 高水準にあった乳製品価格も元年度後半から軟化傾向に転じ、安定指標価格比11 0%前後の水準にあったバター、脱脂粉乳の価格は、6月には105%台(2年度安定 指標価格比バター105.8%、脱脂粉乳105.2%)まで低下した(図6,7)。 ・ しかし、このような傾向も、5月以降、飲用需要が再び伸びたことに伴い若干 の変化が生じつつある。乳製品向け生乳処理量の伸びが5月には前年同月比4.5% 増とそれまでに比べ落ち込んだのに続き、6月には1.9%減と63年6月以来ほぼ2年 振りに前年同月を下回った。これに伴いバターの生産量は、前年同月比4.1%減 落ち込み、脱脂粉乳の生産量も2.2%減と前年同月を下回った(図6,7)。 こうした乳製品の需給動向を反映して、バターの卸売価格(6月)はおおむね 横ばいとなったのに対し、脱脂粉乳の価格は低落のペースは鈍化しているものの 依然下げ基調にある。
表1 乳製品の在庫(各年度) (単位:千トン、ヵ月)
\ |
区分 | バ タ ー | 脱脂粉乳 | ||||
年度 | \ |
民 間 | 事業団 | 計 | 民 間 | 事業団 | 計 |
55 |
16(3.1) 7(1.3) 12(2.1) 17(2.8) 20(3.3) 30(4.6) 29(4.4) 12(1.8) 16(2.2) 17(2.3) |
12(2.3) 12(2.1) 3(0.5) 1(0.2) 0 0 0 0 0 0 |
28(5.4) 19(3.4) 15(2.6) 18(2.9) 20(3.3) 30(4.6) 29(4.4) 12(1.8) 16(2.2) 17(2.3) |
31(3.3) 16(1.5) 24(2.0) 23(1.9) 22(1.5) 32(2.3) 36(2.5) 13(0.9) 18(1.2) 33(2.2) |
44(4.7) 44(4.2) 22(1.9) 9(0.7) 8(0.6) 8(0.6) 7(0.5) 7(0.5) 4(0.3) 0 |
75(8.0) 59(5.7) 45(3.8) 32(2.6) 30(2.1) 40(2.8) 44(3.0) 20(1.4) 23(1.5) 33(2.2) |
資料:農林水産省畜産局調べ
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