豚肉
(1) 消費
前年を若干上回る水準で推移
・ 近年、豚肉の消費量は、引き続き増加傾向にあるものの、伸び率は鈍化してい
る。
・ 2年度に入って、4月は高い伸びを示したものの、その後おおむね前年と同水準
もしくはこれを上回る水準で推移しており4〜10月では前年同期比101.0%となっ
ている。
・ 10月の推定出回り量は、生産、輸入とも低水準であったにもかかわらず、在庫
を取りくずしたことによって前年同月を1.8%上回った(図28)。
・ 豚肉の消費の約4割を占める家計消費は、62、63年度と2ヶ年連続して減少した
ものの、元年度はわずかに前年水準を上回った(対前年度比100.7%)。2年度に
入ってからは家計消費はほぼ前年水準で推移(4〜10月前年度期比99.4%)して
おり、全消費に占める割合はほぼ元年と同水準にあるものとみられる(図29)。
・ 加工用需要は、近年伸び率は鈍化しているものの需要拡大の中心的役割を果た
してきた。しかし2年度に入ってからは豚肉加工品の生産が総じて低調なことか
ら、加工用需要は、5月以降前年同月を下回って推移しており、9月は前年同月比
95.1%に落ち込んだ(図29)。
(2) 生産
年間110万トン台で安定的に推移
・ 60年度以降、110万トンを若干上回る水準で安定的に推移してきたが、2年度に
入り4月はほぼ前年水準で推移したものの、5月以降は前年同期を下回って推移し
特に8、9月は前年を大きく下回った。その後、10月はほぼ前年並み(前年同月比
98.7%)となったものの、4〜10月では対前年同期比96.3%と前年を下回ってい
る(図30)。
(3) 輸入
増加から減少へ
・ 輸入は、62年度に円高、加工用需要の増大等の影響もあり大幅に増加したが、
その後伸び率は鈍化しており、元年度は、8.1%の伸びとなった。
・ 2年に入って高い伸びを続けていた輸入量は、6月以降前年水準を大きく割り込
み(10月前年同月比22.7%減、図31)、4〜10月でみても前年同期を下回った
(前年同期比4.6%減)。この結果、昨年夏以降増大してきた在庫水準は、6月を
境に減少に転じ、10月には67千トンと、最大であった6月に比べ46千トン減少し、
元年前半の水準にまで戻している(図32)。
(4) 価格
9月以降下落
・ 卸売価格は近年、季節的な変動を伴いつつもおおむね安定価格帯の範囲内で安
定的に推移してきた。
・ 元年11月以降、卸売価格は強含みで推移しており、7、8月は、それぞれ、614
円、629円/kgと安定上位価格を上回った。しかし、9月に入って弱含みに転じ、
10月中旬以降は安定基準価格(400円/kg)を割込んで推移している(10月393円
/kg)。
これを受けて、農林水産省は、全農及びハムソーセージ工業協同組合に豚肉の
買い支えを要請するとともに、豚肉消費の拡大を図るため、卸売価格の低下に見
合った小売価格の引下げを指導している。この結果、12月上旬には価格は安定基
準価格水準を上回っている(図33)。
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