畜産物生産概況


1.平成元年の畜産物生産概況

 平成元年(暦年)の畜産物生産は大家畜では、生乳生産が旺盛な牛乳・乳製品需
要の伸びを追うかたちで対前年比6.0%増と昭和53年以来の高い伸びを示した。

 このため牛肉生産は、和牛はようやく増加に転じたものの、牛肉生産の2/3を占
める乳用種、とりわけメスの大幅なと殺減もあって(雄も2年前の生乳の減産計画
により、肥育出荷牛が減少した)前年を3.7%下回った。

 中小家畜は価格がかなり低下している状況下で配合飼料価格安定基金からの補て
んはあるものの、名目上、7%近い値上げとなったこともあって、63年に引き続き
低い伸びにとどまった(表1)。

表1 畜産物生産の推移
暦年 生乳 牛肉 豚肉 ブロイラー 鶏卵
  増減率   増減率   増減率   増減率   増減率
昭60年 7,380 3.4 555 3.6 1,532 7.6 1,750 3.8 2,152 1.1
61 7,457 1.0 559 0.6 1,552 1.3 1,789 2.2 2,231 3.7
62 7,335 ▲ 1.6 565 1.1 1,582 2.0 1,856 3.8 2,376 6.5
63 7,607 3.7 570 0.9 1,579 ▲ 0.2 1,869 0.7 2,408 1.3
平成元年 8,060 6.0 548 ▲ 3.9 1,593 0.9 1,880 0.5 2,423 0.9
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」、「食肉流通統計」、「ブロイラー流通統計」、「鶏卵流通統計」
 注:1 牛肉、豚肉は、枝肉生産量、ブロイラーは、生体出荷量である。
   2 平成元年は速報値である。

 この結果、農家販売価格は、生乳はわずかに前年を上回る90.2円/kg当たり、
(0.9%高、毎月の農村物価賃金調査結果の単純平均、以下同じ)、肉用牛は、去
勢肥育和牛が3.9%、乳雄肥育牛が4.9%といずれも前年を上回り過去最高値となっ
た。もっとも、コストの大宗を占める肥育素牛は、これを上回る市場最高値を示し
ていることから、今後の経営の動向が注目される。

 中小家畜では、肉豚が引き続き前年を下回った(3.5%安)ものの、大幅低下の
続いた鶏は、鶏卵は16.5%、ブロイラーも2.4%高と前年水準を上回った。


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