牛肉

(1)　消費
　
堅調な伸びもやや鈍化

・　牛肉の消費は安定的に増加している。特に62年度は10％近い水準で増加した。
　63年度も約68万トンで10％近い伸びとなった。

・　平成元年度に入って輸入を含む推定出回り量でみると4～12月期で前年同期比
　2.6％増とやや伸びは鈍化している。同期間では9月、10月にはかなり高い伸びに
　まで回復したが11月は再び伸びが鈍化した（表5）。他方､輸入は、9月までは急
　速に伸びたが、10月以降伸びが鈍化ないし減少している。4月以降急速に増大し
　た牛肉在庫量は、10月末をピークにその後減少に移り、12月末は18千トンと前月
　を8％下回った（表5）。通関済み在庫も同様な傾向となった（巻末資料参照）。

表5　牛肉需給

年度
年月

 推定期首在庫 生産量 輸入量 推定期末在庫 推定出回り量
数量
(トン)		 前年比(％) 数量
(トン)		 前年比(％) 数量
(トン)		 前年比(％) 数量
(トン)		 前年比(％) 数量
(トン)		 前年比(％)
61
62
63		 57,952
67,771
63,692		 108.8
116.9
94.0		 393,693
397,555
398,392		 101.2
101.0
100.2		 187,871
223,606
285,416		 119.1
119.0
127.6		 67,771
63,692
66､546		 116.9
94.0
104.5		 571,745
625,240
680,955		 105.5
109.4
108.9
63.12
元. 1
2
3		 76,265
69,919
73,759
67,632		 101.7
92.7
94.0
93.6		 41,784
28,798
29,858
33,384		 97.6
101.3
94.8
103.5		 25,905
23,239
12,368
27,548		 98.7
119.3
96.6
244.3		 69,919
73,759
67,632
66,546		 92.7
94.0
93.6
104.5		 74,036
48,197
48,352
62,018		 108.0
107.3
95.8
119.0
4
5
6
7
8
9
10
11
12
4～12
1～12		 66,546
79,946
91,137
99,475
107,519
114,746
117,282
119,258
117,099
66,546
69,919		 104.5
124.5
136.2
144.6
165.5
190.6
176.6
158.9
153.5
104.5
92.7		 31,202
30,664
28,851
31,177
30,803
31,091
32,439
35,037
40,133
291,404
383,445		 94.9
99.6
96.3
96.0
91.3
93.6
94.7
94.4
96.0
95.1
96.1		 32,710
35,646
33,950
31,451
35,261
30,160
30,764
29,117
24,920
283,980
347,135		 144.3
152.3
140.6
173.0
183.1
105.9
98.4
100.6
96.2
127.8
130.6		 79,946
91,137
99,475
107,519
114,746
117,282
119,258
117,099
108,100
108,100
108,100		 124.5
136.2
144.6
165.5
190.6
176.7
158.9
153.5
154.6
154.6
154.6		 50,512
55,119
54,464
54,585
58,837
58,715
61,227
66,313
74,052
533,831
692,398		 91.8
107.0
104.4
100.2
101.9
105.8
107.7
102.3
100.0
102.2
103.3		 
資料:農林水産省「食肉流通統計｣､大蔵省｢日本貿易月表｣､推定在庫量(通関済み+国
     内生産)は事業団調べ｡

　注:1)出回り量=推定期首在庫+生産量+輸入量-推定期末在庫　　　
 　　2)数量は部分肉ベース　　
 　　3)63年以降の数値は概数値である。以下同じ｡　　

・　なお、推定出回り量の伸びの鈍化の主因は、国内生産の減少に伴うもので、輸
　入牛肉に限ってみれば、本年4～12月期でみても前年同期比13.4％増と依然高い
　水準にある（国内産は、5.9％減。巻末資料参照）。

・　牛肉消費の5割強を占める家計消費は、牛肉価格が安定的に推移してきたこと
　等から62年度まで増加傾向で推移した。その後、63年度後半以降はわずかに前年
　水準を下回って推移していたが、本年の8～11月は前年水準をかなり上回って推
　移している。

・　加工仕向け量は、62、63年度と極めて高い伸びを示し、本年度に入っても依然
　高い伸びを続けている。

(2)　生産

乳牛のと殺減もあって、前年度を下回る

・　生産は需要の増加に対応して増加を続けてきたが近年その伸びが次第に鈍化し、
　平成元年度に入って前年水準を下回って推移している（表5）。

・　種類別には、61～63年度にかけては肉専用種が減少してた分を乳用種が補い、
　全体では前年度に比しわずかに増加するという形で推移した。

・　平成元年度に入って、和牛が回復に転じた一方、乳用種は雌牛の大幅と殺減も
　あって、かなりの減少となっている。

・　なお、61～63年度にかけて、和牛めすの大幅なと殺減が続いたことから、自家
　保留が進み、昨年8月の肉用種のめす飼養頭数は、前年同月比3％増の1,055千頭、
　2～7月にかけての子牛生産頭数は前年同期比4％増となった。また乳用種も2％増
　で全国の肉用牛の総計も2％増の2,723千頭となっている（巻末資料参照）。

(3)　輸入

引き続き増加

・　日米・日豪牛肉交渉により、輸入割当量を63年度以降平成2年度まで毎年6万ト
　ンずつ増加させるとともに、平成3年度からの輸入割当制度の撤廃を合意された。
表6　牛肉輸入割当量の推移
昭和57年度 135千トン
58 141
59 150
60 159
61 168
62 214
63 274
平成元年度 334
2年度上期一般枠 167 
・　輸入割当量は、63年度27万4千トン、平成元年度は日米・日豪の輸入割当合意
　数量と同量の33万4千トン、平成2年度上期一般枠については16万7千トンが割り
　当てられた。

・　輸入実績は、平成元年度に入って、4～12月期で前年同期比28％増の284千トン
　となっている。

・　畜産振興事業団は輸入牛肉のおおむね8割を取り扱っている。

1月受渡し分
・　事業団の1月の売渡は、前月比で80％の21,677トン（前年同月比120％）となっ
　た。部位別では、各部位が前月に比べ減少となったが、特に「バルク」は前月比
　49％となり大幅減となった。

(4)　価格動向 　
　①国産牛肉卸売価格 
　
輸入増にもかかわらず安定した推移
 
・　63年度から改訂された枝肉取引規格により価格安定対象牛肉（「B－2・B－3」 
　規格）についてみると、漸次低下傾向をたどっているが、63年度はおおむね安定 
　価格帯の中心価格と安定上位価格の間で強含みで推移した。 

・　平成元年度に入っても同様の傾向で推移している。 

・　種類別、格付別にみても特徴的な変化はみられない。 　　

　②輸入牛肉卸売価格 

総じて弱含み傾向 

・　市場せり状況をみると以下のとおり 

2月売渡し 　　
　　2月の上場数量は、前月より700トン減の8,500トンとした。せり結果は、8,331 
　トンで98.0％の落札率となった。　　 　　

　　部位別の落札率は、前月と同様「NO112リブアイロールリップオン」、「チャ
　ックアンドブレード」「カウミート」及び「エージドビーフフルセット」が全量
　落札となり、「NO121Bショートプレート(1)」99.9％、「NO116スクエアカットチ
　ャック」91.3％、「NO189フルテンダーロイン」91.2％及び「NO180ストリップロ
　イン」73.4％。落札率となった。 
　 
　　東京食肉市場のせり結果は「NO180ストリップロイン」及び「NO189フルテンダ
　ーロイン」を除いては、全量の落札率となった。

　　一方、価格の動きは、「NO116スクエアカットチャック」及び「NO189フルテン
　ダーロイン」が前月より値を上げた（巻末資料参照）。 

輸入牛肉の市況（仲間相場）
 
　事業団調査による12月31日及び1月15日の輸入牛肉の市況の状況は、前年対比で
は、若干の品目を除き値下がりをしており、大部分のものか約10％、中には30％を
上回る値下がりを示したものもある。

　また、前月同期比では、全般的に上向き傾向を示しているが、特にオセアニア産
「エージドビーフフルセット」及び冷蔵品が値上がりをしている。
③小売価格

　国産牛肉は横ばい、輸入牛肉はかなりの低下後横ばい

・　平成元年度に入って4月に消費税の導入もあって若干上昇しその後ほぼ横ばい
　で推移している。
表7　輸入牛肉の市況（畜産振興事業団調べ）

産地

 品　　　目 １２月　３１　日 １　月　１５　日
価　格
円／kg		 比　　　率（％） 価　格
円／kg		 比　　　率（％）
対前月同期比 対前年同期比 対前月同期比 対前年同期比
北米産 冷凍品 NO112A　
ﾘﾌﾞｱｲﾛｰﾙﾘｯﾌﾟｵﾝ		 2,284 108.3 100.3 2,373 107.9 103.6
NO116　
ｽｸｴｱｶｯﾄﾁｬｯｸ		 837 100.8 71.3 844 101.8 74.2
NO121B
ｼｮｰﾄﾌﾟﾚｰﾄ		 742 101.1 72.7 761 102.8 65.3
NO180　
ｽﾄﾘｯﾌﾟﾛｲﾝ		 1,776 101.0 87.0 1,808 102.1 88.1
NO189　
ﾃﾝﾀﾞｰﾛｲﾝ		 2,280 103.4 95.8 2,282 102.0 95.7
ﾁｬｯｸﾘﾌﾞ 1,521 102.9 107.1 1,577 105.3 98.7
オセアニア産 冷凍品 ﾁｬｯｸ　&　ﾌﾞﾚｰﾄﾞ 757 102.9 78.9 806 108.9 72.3
ﾌﾙﾌﾞﾘｽｹｯﾄ 807 99.9 87.0 836 103.9 86.6
ﾎﾟｲﾝﾄｴﾝﾄﾞﾌﾞﾘｽｹｯﾄ 830 100.2 87.6 860 104.6 87.0
ﾅｰﾍﾞﾙｴﾝﾄﾞﾌﾞﾘｽｹｯﾄ 802 99.8 87.7 818 102.3 85.0
ｷｭｰﾌﾞﾛｰﾙ 1,889 103.1 91.7 1,993 105.7 95.0
ｽﾄﾘｯﾌﾟﾛｲﾝ 1,513 101.1 91.0 1,595 100.6 88.0
ﾃﾝﾀﾞｰﾛｲﾝ 2,691 99.4 106.0 2,598 95.5 98.4
ﾄｯﾌﾟｻｲﾄﾞ 1,143 103.0 88.8 1,208 107.8 89.0
ｶｳﾐｰﾄ 727 103.9 94.4 740 105.0 80.4
ｴｰｼﾞﾄﾞﾋﾞｰﾌ ﾌﾙｾｯﾄ 1,204 108.6 89.6 1,324 113.1 92.7
冷蔵品 ｷｭｰﾌﾞﾛｰﾙ 2,239 107.7 89.1 2,333 112.5 89.1
ﾄｯﾌﾟｻｲﾄﾞ 1,398 104.6 99.0 1,507 111.5 99.9
ﾌﾙｾｯﾄ 1,431 102.0 104.6 1,446 103.6 99.0 
注：価格は､単純平均である｡消費税額分は含まない｡

　④子牛価格
　
依然高水準

・　和子牛は、60～62年度にかけて上昇し、63年度もじり高傾向で推移した後、絶
　対値でみると、平成元年1月をピークに6月までやや低下、その後、再び上昇し、
　12月は前月に引き続き過去の最高値を示した（表8）。

・　乳用雄子牛は、自由化決定後の7月から11月頃までにかけてやや弱含みで推移
　したが、その後反転して強含みで推移し12月には和子牛同様過去最高値となった。
　なお、生後7日程度のヌレ子は昨年6月をピークにわずかではあるが下がっている
　（巻末資料参照）。

・　なお、子牛価格は肥育経営の収益性に強く影響される一方、子牛の生産頭数が
　増加すると低下する傾向にあり、これらの今後の動向が注目される（11月号参照）。

表8　子牛の取引頭数・価格

年度年月

 和　め　す 和　去　勢 乳用雄子牛
取引頭数 価　　格 取引頭数 価　　格 価　　格
（頭） 前年比(％) （千円
／頭）		 前年比(％) （頭） 前年比(％) （千円
／頭）		 前年比(％) （千円
／頭）		 前年比(％)
58
59
60
61
62
63		 76,156
77,227
68,845
66,018
64,437
67,264		 112.4
101.4
89.1
95.9
97.6
104.4		 211.1
209.3
256.4
315.6
374.9
414.3		 80.3
99.1
122.5
123.1
118.8
110.5		 86,559
86,964
80,574
77,357
77,958
80,044		 104.5
100.5
92.7
96.0
100.8
102.7		 246.3
258.2
306.5
368.1
437.4
483.0		 93.6
104.8
118.7
120.1
118.8
110.4		 149.2
149.0
158.2
180.3
202.5
205.5		 100.4
99.9
106.2
114.0
112.3
101.5
63. 12
元. 1
2
3		 5,372
5,370
5,346
7,726		 108.9
101.8
104.6
104.2		 438.7
456.3
438.9
442.0		 111.3
117.0
116.0
113.9		 6,477
6,754
6,400
9,109		 105.3
98.7
98.4
103.9		 508.4
521.8
499.9
509.9		 112.2
111.7
111.8
111.4		 201.7
202.3
205.1
208.2		 94.5
95.9
97.6
99.8
4
5
6
7
8
9
10
11
12
4～12		 5,733
7,122
5,502
6,243
3,650
5,651
4,019
5,825
4,820
48,565		 98.6
97.1
103.1
100.3
104.8
101.8
87.0
114.5
89.7
99.5		 424.0
422.3
403.5
435.3
425.7
457.6
438.0
469.7
483.9
446.0		 110.0
105.0
102.4
113.8
112.8
108.2
109.2
111.4
110.3
109.2		 6,992
8,694
6,238
7,596
4,282
7,189
4,884
6,828
5,832
58,535		 104.1
99.6
104.4
100.7
101.6
106.0
88.1
117.6
98.0
101.3		 501.3
498.4
483.0
506.8
505.6
529.3
519.2
543.1
553.5
515.6		 108.8
104.5
105.1
112.0
112.1
107.0
107.6
108.7
108.9
108.3		 223.8
226.7
227.3
226.3
224.5
226.7
228.3
229.6
232.9
227.3		 106.3
107.4
106.9
109.0
109.8
111.2
111.6
115.4
115.5
110.6

資料：農林水産省「子牛取引情報」、「農村物価指数」和子牛価格は、全国肉用子牛価格安定基金協会調べ。
　注：平成元年4月以降は消費税額分を含む。 

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