食肉部
畜産振興事業団は、「畜産物の価格安定等に関する法律」に基づき、牛肉の価格 安定を図るため、食肉卸売市場におけるせり売り等により、事業団が買い入れた輸 入牛肉の売渡しを行っていますが、今般、平成3年度からの牛肉の輸入自由化に備 え、食肉卸売市場における新しい売渡方式を導入しましたので、その概要を紹介し ます。 1 新しい市場売渡方式の導入 新しい市場売渡方式は、前述のとおり、平成3年度からの牛肉の輸入自由化に備 え導入したものであり、自由化後も、食肉卸売市場が相当量の輸入牛肉を取り扱い、 その集分荷機能及び価格形成機能を十分に果たして行くことが必要であることから、 あらかじめ自由化前に措置したものである。 すなわち、新しい市場売渡方式においては、食肉卸売市場の卸売業者が主体性を 持って買参人等の希望を取りまとめ、必要な輸入牛肉を調達してそれを円滑に供給 できる体制を作り上げるという目的を達成するため、調達する段階から希望を聴き、 その希望する輸入牛肉をこれまでの月1回のせり売りだけでなく、複数回のせり売 り、予約相対の方法による取扱いの道を開いたものである。 2 新しい市場売渡方式の要点 事業団からの輸入牛肉の売渡しについては、畜安法等が、原則として食肉卸売市 場における卸売業者に委託してせり売りにより売り渡すこととしているため、新し い市場売渡方式の導入に当たっては、卸売業者に委託し、せり売りにより売り渡す という現行制度の根幹は維持されており、新しい市場売渡方式の要点は次のとおり となっている。 @ 市場売渡しに係る輸入牛肉の品目、規格及びブランドについては、市場側の希 望を聴取し調整を行った後、指定輸入商社から指名競争入札により当該品目を買 い入れる。 A 市場売渡しは、委託上場を原則としつつ、買付物品の取扱いが可能となるよう、 その一部について希望する市場のみを対象に随意契約により売渡しを行う。(随 意契約売り) B 委託上場せり売りの回数を現行のように月1回に限定することなく、買参人等 が市場を利用する頻度を高める上からも、各市場の実情に応じて、希望する市場 については、複数回に分けて上場を委託する。(全市場が同一日に行う一斉せり 売りのほかに希望により行う任意せり売り) 3 市場売渡方式の具体的手順 (1) 市場売渡しに係る希望の聴取 事業団は、売渡月の3ヵ月前までに、次の表の区分別に売渡月の売渡見込数量ブ ランド及び数量について個別市場及び市場全体の希望を聴取する。
区分 | 数量の通知 | 聴取希望内容 | 希望聴取先 |
A | 売渡月の市場売渡見込数量の概ね2分の1の数量を卸売業者に配分して通知する。 | 品目及びブランド別数量 | 各市場 (卸売業者) |
B | 売渡月の市場売渡見込数量からA区分の数量を控除した量を通知する。 | 品目別数量及び当該品目に係るブランドリスト | 市場全体 (日本食肉市場卸売協会) |
C | 品目別数量 |
(2) 市場売渡しに係る買入れ 事業団は、(1)により聴取した希望を基に買入条件を設定し、指名競争入札によ り買入れを行う。 買入条件の設定に当たっては、(1)の表の区分別に行い、A区分については品目 及びブランド別数量を、B区分については品目別数量及び当該品目別ブランドリス トを、C区分については品目別数量を定める。 なお、買入れの数量は、需給状況、在庫状況等を勘案して決定するものであるの で(1)の希望と異なることがある。 (3) 売渡方法別の売渡予定数量の決定 事業団は、売渡月の前月中に、卸売業者別の品目及びブランド別売渡計画数量を 通知し、各卸売業者の売渡方法別の希望数量を確認し、売渡方法別の売渡予定数量 を決定する。 なお、各卸売業者の一斉せり売りの数量は、他のいずれの売渡方法の数量より多 い数量でなければならず、また、売渡方法別に品目及びブランドに偏りがあっては ならないこととしている。 (4) 売渡し ア 一斉せり売り及び任意せり売り 手順としては、従来のせり売りと同様である。 イ 随意契約売り 売渡相手方は各卸売業者であり、事業団は、随意契約売りを希望する卸売業者に 対し売渡条件を通知し、卸売業者からの買受申込書の提出及び概算代金の納付をも って、現品を引き渡す。売買代金については、現品の引渡し後精算を行うこととな る。 なお、各々の売渡しの実施日は、次のとおりである。 ・ 一斉せり売り……原則として売渡月の第1木曜日又は第1火曜日とし、事業団 が定める。 ・ 任意せり売り……原則として売渡月の16日から22日までのいずれかの日で、 当該卸売業者が定める。 ・ 随意契約売り……原則として売渡月の16日とし、事業団が定める。 牛肉の輸入自由化まで、残すところ僅か9ヵ月余となりましたが、事業団として は、今後とも与えられた使命を着実に果たしてまいりたいと考えておりますので、 引き続き皆様方の特段の御理解と御協力をお願い申し上げます。
「畜産の情報」5月号に掲載しました「アメリカ酪農・乳業雑感」(東京大学経済学部 矢坂雅充助教授執筆)の文中に表1が抜けておりました。 ここに表1を掲載し訂正いたしますとともに、お詫び申し上げます。 表1 酪農協の牛乳・乳製品別製造量シェア (単位 %)
資料:U.S.D.A Marketing Operations of Dairy Cooperatives.1984より作成 |