牛乳・乳製品

(1)　生乳生産
　高い伸びが続く。とりわけ北海道は高水準
要　約
　生乳生産は依然高い伸びが続く反面、飲用需要は伸び悩み。

　この結果、乳製品生産は急増、適切な計画生産の実施が課題。

今月の特徴的事項は、
　生乳生産の伸びは１月やや鈍化したものの（前月比4.5％増）、飲用向けは、前月に引き続き低い伸び（0.4％増）。牛乳生産は２ヵ月続けて前年割れ。このため乳製品の生産が増加し、バター、脱粉ともに前年の価格水準を下回った。		 
・　飲用需要が好調に伸びたこと等により、生産は62年度から前年を上回り63年度
　前年度比3.9％増となった。

・　平成元年度に入って高い伸びが続いている（表1）。

表1　生乳の生産量・処理量

年度
年月

 生乳生産量 用途別処理量
合　計 北海道 都府県 飲用向け 乳製品向け
数量
(千ﾄﾝ)

前年比
(％)

 数量
(千ﾄﾝ)		 前年比
(％)		 数量
(千ﾄﾝ)		 前年比
(％)		 数量
(千ﾄﾝ)		 前年比
(％)		 数量
(千ﾄﾝ)		 前年比
(％)
61
62
63		 7,361
7,427
7,718		 99.0
100.9
103.9		 2,617
2,663
2,799		 99.2
101.8
105.1		 4,744
4,764
4,919		 102.0
100.4
103.3		 4,342
4,598
4,822		 100.8
105.9
104.9		 2,836
2,656
2,776		 94.1
93.6
104.5

元. 1
2
3

 645.4
598.3
679.9		 106.8
104.1
107.3		 228.7
210.2
238.7		 109.5
106.0
108.4		 416.7
388.1
441.2		 105.4
103.0
106.7		 373.3
372.9
398.5		 107.0
102.4
107.3		 262.8
216.2
270.9		 108.4
108.5
108.1
4
5
6
7
8
9
10
11
12
2．1
4〜1		 680.6
721.1
703.6
705.5
687.8
655.2
674.3
640.5
667.3
674.7
6,810.7		 106.2
106.2
106.5
105.8
106.0
105.0
105.6
106.1
105.7
104.5
105.8		 241.4
263.8
270.9
272.5
266.2
252.3
251.1
236.2
246.4
246.4
2,547.3		 107.9
107.7
108.8
108.2
109.2
108.1
107.6
109.6
109.4
107.8
108.4		 439.2
457.3
432.7
433.0
421.5
403.0
423.2
404.3
420.9
428.3
4,263.4		 105.2
105.4
105.1
104.4
104.1
103.2
104.4
104.2
103.6
102.8
104.2		 407.5
429.6
437.0
441.3
414.3
444.9
432.8
407.3
388.6
374.8
4178.1		 105.8
102.8
102.7
104.7
105.2
103.8
102.0
103.6
100.4
100.4
103.2		 261.9
280.5
255.9
253.3
263.3
200.3
231.3
223.3
268.5
289.7
2,528.0		 106.8
112.1
114.1
107.9
107.5
109.8
112.9
111.0
114.3
110.3
110.4		 
資料：農林水産省「牛乳乳製品統計」

・　地域別には、北海道の伸びが最も高く（元年4月〜2年1月前年同期比8.4％増）、
　次いで東北（同6.6％増）、九州（同6.3％増）と遠隔農業地帯で高く、反面、近
　畿（同1.9％増）、関東、東山（同2.8％増）、中四国（同2.9％増）は低い伸び
　にとどまっている。

・　生乳生産増に伴って、配合、混合（単味用とうもろこしを含む。）飼料全体の
　生産量が前年をわずかに下回るなかで、乳牛用の配合飼料生産量は、前年度（4.7
　％増）を上回る生産が続いている（元年4月〜2年1月、5.9％増）。

・　また、生乳生産増に伴って、乳用牛のと殺頭数が前年同月比で1割近い減少を
　続けている。特に雌は前年を大きく下回っており、保留意欲の強さがうかがわれ
　る。

・　格付け結果から見ると、乳用雌のうち、未経産牛の減少が著しい（4〜1月期前
　年同期比77.8％巻末資料参照）。

(2)　飲用牛乳等の需給
　好調な需要の伸びも鈍化へ

・　62年度以降、飲用牛乳の消費は、飲用牛乳の成分がグレードアップされたこと、
　好天に恵まれたこと等の要素に加え、小売価格が弱含みで推移しているため、好
　調に推移し、63年度においても、引き続き好調に推移した。

・　生乳の飲用向け処理量も63年度は482万1,500トン（前年度比4.9％増）と増加
　した。

・　平成元年度に入って、飲用向け処理量は、伸びが2年続いたことなどから前半
　は引き続き好調に推移したが9月以降鈍化傾向に転じ、12月は0.4％増、1月も0.4
　％増とわずかな増加にとどまった。

・　この結果、生乳の飲用牛乳等仕向け率は、前年に比べると低下した（元年4月
　〜2年1月、61.3％、前年同期62.9％）。

・　なお、飲用牛乳等仕向け率が低下しているにもかかわらず、牛乳の農家販売価
　格は、前年をわずかに上回って推移している（元年4月〜2年1月、前年同期比1％
　高の90.8円／kg）。

・　飲用仕向けの大宗を占める飲用牛乳消費は、12月は0.2％増、1月も0.7％増と
　おおむね前年並みとなり、このうち牛乳は12月には17ヵ月ぶりに前年を下回る0.
　8％減となり、1月も0.4％減と減少が続いている。

(3)　乳製品の需給、価格動向
　需給は改善、価格は軟化　

・　62年度は、飲用需要の好調もあって乳製品の生産は前年を大幅に下回り、在庫
　の取り崩しが進んだ（表3）。

・　63年度も、飲用需要が好調なことから、乳製品需給はひっ迫し、このため、畜
　産振興事業団はバター、脱粉の輸入・放出を実施した。この結果、価格は低下の
　きざしをみせたものの、依然、安定指標価格を相当上回る水準で推移した。

・　平成元年度に入り、前半は、乳製品の需給は依然引き締まり、価格は高水準で
　推移したことから、事業団はバター、脱粉の輸入及び手持分も含めた売渡しを実
　施した。

平成元年度の輸入枠及び売買数量
　　 バター 脱粉
輸入枠 10,000t 13,000t
買入数量 7,908 10,047
売渡数量 7,908 14,253 
　最近では、生乳生産の増勢が強まり、反面、飲用需要が鈍化したことから乳製品
向け処理量も高い増加を続けていることから価格も軟化傾向に転じている（表2）。

・　なお、国産チーズに仕向けられた生乳量は、昭和62年度219.012トン、63年度
　は、生乳需給のひっ迫により前年を下回る208.671トン（対前年度比95.3％）と
　なったが、平成元年度は高いテンポで増加している（4〜1月200,648トン、前年
　同期比113.7％）。

表2　主要乳製品の生産・価格

年度
年月

 乳　　　　　　　製　　　　　　　品
バ　　　タ　　　ー 脱　　脂　　粉　　乳
生産量
（トン）		 前年比
（％）		 価格
(円／kg)		 前年比
（％）		 生産量
（トン）		 前年比
（％）		 価格
(円／kg)		 前年比
（％）
61
62
63		 80,989
69,328
70,557		 89.2
85.6
101.8		 1,161
1,081
1,165		 89.1
93.1
107.8		 171,502
155,197
163,416		 92.0
90.5
105.3		 13,643
13,451
13,932		 97.0
98.6
103.6
元. 1
2
3		 6,979
5,664
7,373		 113.8
112.0
109.8		 1,184
1,180
1,180		 108.5
107.6
107.4		 15,001
12,487
15,815		 113.9
108.6
107.7		 14,030
14,030
14,030		 103.9
103.7
103.5
4
5
6
7
8
9
10
11
12
2．1
4〜1		 6,966
7,669
7,158
6,734
6,894
4,558
5,992
5,748
6,696
7,878
66,294		 110.0
112.2
125.6
115.1
108.7
107.4
121.0
114.7
127.1
112.9
115.3		 1,212
1,212
1,212
1,212
1,212
1,206
1,189
1,176
1,170
1,164
1,197		 108.6
108.2
106.9
105.4
103.9
101.9
100.0
98.9
98.7
98.3
103.0		 15,062
16,646
16,070
15,300
16,131
11,215
14,160
13,571
16,366
17,053
151,573		 100.8
107.4
118.8
111.7
110.3
103.8
117.0
117.1
122.9
113.7
112.2		 14,451
14,451
14,451
14,451
14,430
14,410
14,286
14,163
14,080
13,987
14,316		 105.8
105.6
105.2
104.4
103.4
102.7
101.6
100.7
100.2
99.7
102.9		 
資料：農林水産省｢牛乳乳製品統計｣､｢農村物価指数｣｡乳製品価格は畜産局調べ｡
　　　平成元年4月以降は消費税額分を含む｡

表3　乳製品の在庫(各年度)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（単位：千トン､ヵ月）

　＼

 区分 バ　　タ　　ー 脱脂粉乳
年度

＼

 民　間 事業団 計 民　間 事業団 計

50年度
55
56
57
58
59
60
61
62
63

 　6(1.5)
16(3.1)
　7(1.3)
12(2.1)
17(2.8)
20(3.3)
30(4.6)
29(4.4)
12(1.8)
16(2.2)		 0
12(2.3)
12(2.1)
　3(0.5)
　1(0.2)
0
0
0
0
0		 　6(1.5)
28(5.4)
19(3.4)
15(2.6)
18(3.0)
20(3.3)
30(4.6)
29(4.4)
12(1.8)
16(2.2)		 18(2.4)
31(3.3)
16(1.5)
24(2.0)
23(1.9)
22(1.5)
32(2.3)
36(2.5)
13(0.9)
18(1.2)		 0
44(4.7)
44(4.2)
22(1.9)
　9(0.7)
　8(0.6)
　8(0.6)
　7(0.5)
　7(0.5)
　4(0.3)		 18(2.4)
75(8.0)
59(5.7)
45(3.8)
32(2.7)
30(2.1)
40(2.8)
43(3.0)
20(1.4)
23(1.5)

資料：農林水産省畜産局調べ

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