豚肉


(1) 消費

 前年を若干上回る水準で推移

・ 近年、豚肉の消費量は、引き続き増加傾向にあるものの、伸び率は鈍化している。

・ 2年度に入って、4月は高い伸びを示したものの、その後おおむね前年と同水準で
   推移しており(11月前年同月比98.9%)、4〜11月では前年同期比100.7%となっ
   ている(図28)。

・ 豚肉の消費の約4割を占める家計消費は、62、63年度と2ヵ年連続して減少したも
  のの、元年度はわずかに前年水準を上回った(対前年度比100.7%)。2年度に入っ
  てからは家計消費は前年水準をわずかに下回る水準で推移している(4〜11月前年
  同期比98.8%)(図29)。

・ 加工用需要は、近年伸び率は鈍化しているものの需要拡大の中心的役割を果たし
  てきた。しかし2年度に入ってからは豚肉加工品の生産が総じて低調なことから、
  加工用需要は、5月以降前年同月を下回って推移しており、11月も前年同月比96.1
  %にとどまった(図29)。

(2) 生産

 平成2年度に入り減少傾向

・ 60年度以降、110万トンを若干上回る水準で安定的に推移してきたが、2年度に入
  り4月はほぼ前年水準で推移したものの、5月以降は前年同期を下回って推移し、特
  に8、9月は前年を大きく下回った。その後、減少割合は縮小していたが、12月は前
  年同月比96.4%と再び伸び率は落ち込んだ(図30)。

(3) 輸入

 増加から減少へ

・ 輸入は、62年度に円高、加工用需要の増大等の影響もあり大幅に増加したが、そ
  の後伸び率は鈍化しており、元年度は、8.1%の伸びとなった。

・ 2年に入って高い伸びを続けていた輸入量は、6月以降前年水準を大きく割り込み
 (11月前年同月比23.5%減、図31)、4〜11月でみても前年同期を下回っている
 (前年同期比7.5%減)。この結果、昨年夏以降増大してきた在庫水準は、6月を境
  に減少に転じ、12月には62千トンと、最大であった6月に比べ51千トン減少し、元
  年前半の水準にまで戻している(図32)。

(4) 価格

 9月以降下落 

・ 卸売価格は近年、季節的な変動を伴いつつもおおむね安定価格帯の範囲内で安定
  的に推移してきた。

・ 元年11月以降、卸売価格は強含みで推移しており、2年7、8月には、それぞれ、
 614円、629円/kgと安定上位価格を上回った。しかし、9月に入って弱含みに転じ
  、10月中旬から11月末にかけて安定基準価格(400円/kg)を割込んで推移した
 (10月393円/kg、11月370円/kg)。

  これを受けて、農林水産省は、全農及びハムソーセージ工業協同組合に豚肉の買
  い支えを要請するとともに、豚肉消費の拡大を図るため、卸売価格の低下に見合っ
  た小売価格の引下げを指導している。この結果、12月上旬には価格は安定基準価格
  水準に回復し、その後もおおむね安定基準価格水準で推移してきたが、3年1月に入
  って再び安定基準価格を割り込んだため、生産者団体等が豚肉を冷凍保管して市場
  隔離する事業団の指定助成対象事業による調整保管が開始された。
  
    一連の対策の効果もあり、1月の卸売価格は安定基準価格を上回って推移している
  (図33)。


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