豚肉


(1) 消費

前年を若干上回る水準で推移

・ 近年、豚肉の消費量は、引き続き増加傾向にあるものの、伸び率は鈍化してい
 る。

・ 2年度に入って、4月は高い伸びを示したものの、その後おおむね前年と同水準
 で推移しており(3年1月前年同月比103.1%)、4〜1月では前年同期比100.7%と
 なっている(図29)。

・ 豚肉の消費の約4割を占める家計消費は、62、63年度と2ヵ年連続して減少した
 ものの、元年度はわずかに前年水準を上回った(対前年度比100.7%)。2年度に
 入ってからは家計消費は前年水準をわずかに下回る水準で推移している(4〜12
 月前年同期比99.2%)が、12月は4ヵ月ぶりに前年水準を上回った(前年同月比
 101.6%)(図30)。

・ 加工用需要は、近年伸び率は鈍化しているものの需要拡大の中心的役割を果た
 してきた。しかし2年度に入ってからは豚肉加工品の生産が総じて低調なことか
 ら、加工用需要は、5月以降前年同月を下回って推移しており、12月も前年同月
 比93.9%にとどまった(図30)。

(2) 生産

平成2年度に入り減少傾向

・ 60年度以降、110万トンを若干上回る水準で安定的に推移してきたが、2年度に
 入り4月はほぼ前年水準で推移したものの、5月以降は前年同期を下回って推移し、
 特に8、9月は前年を大きく下回った。その後、減少割合は縮小しており、3年1月
 は前年同月比99.0%に縮小した(図31)。

(3) 輸入
増加から減少へ

・ 輸入は、62年度に円高、加工用需要の増大等の影響もあり大幅に増加したが、
 その後伸び率は鈍化しており、元年度は、8.1%の伸びとなった。

・ 2年6月以降前年水準を大きく割り込んでいた輸入量は、3年1月には前年同月比
 106.8%と8ヵ月ぶりに前年水準を上回ったが、4〜1月でみれば依然として前年同
 期を大きく下回っている(4〜1月前年同期比92.9%)(図32)。この結果、1月
 末の在庫水準は、前月に比べ約2,500トン増加し、64千トンとなったものの、最
 大であった6月に比べ49千トン減少し、元年前半の水準にまで戻している(図33)。

(4) 価格

9月以降低迷していた価格は回復へ 

・ 卸売価格は近年、季節的な変動を伴いつつもおおむね安定価格帯の範囲内で安
 定的に推移してきた。

・ 元年11月以降、卸売価格は強含みで推移しており、2年7、8月には、それぞれ、
 614円、629円/kgと安定上位価格を上回った。しかし、9月に入って弱含みに転
 じ、10月中旬から11月末にかけて安定基準価格(400円/kg)を割込んで推移し
 た(10月393円/kg、11月370円/kg)。

  これを受けて、農林水産省は、全農及びハムソーセージ工業協同組合に豚肉の
 買い支えを要請するとともに、豚肉消費の拡大を図るため、卸売価格の低下に見
 合った小売価格の引下げを指導している。3年1月からは、生産者団体等が豚肉を
 冷凍保管して市場隔離する事業団の指定助成対象事業による調整保管が開始され
 た。一連の対策の効果もあり、1月の卸売価格は安定基準価格を上回り、2月には
 中心価格水準にまで回復している(図34)。


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