牛肉・肉用子牛


前年をかなり上回る出回り量

 4年10月の推定出回り量(消費量)は、生産量は前年並みであったものの、輸入
量が大幅に増加したため、7万5千925トンと前年同月をかなり上回った(6.0%、
図1)。

 10月末の推定期末在庫は、7万7千951トンと前年同月をかなり下回っている
(▲10.0%、図2)。輸入品在庫、国産品在庫ともかなり下回っているが、輸入品
在庫は本年度に入り、引き続きゆるやかな増加傾向にある。


生産量は前年並み

 10月の生産量は、3万7千192トンと前年並みであった(図3)。

 種類別のと畜頭数を見ると、和牛は、去勢和牛がわずかに減少したものの(▲
1.0%)、めす和牛がやや増加(4.9%)したため、和牛全体では4万5千900頭と
わずかに増加した(1.6%)。一方、乳牛は、乳おすがわずかに増加(1.4%)した
が、乳めすがやや減少(▲3.6%)したため、乳牛全体では前年をわずかに下回り
8万4千100頭(▲1.1%)となった。


輸入牛肉の増勢止まず

 10月の輸入量は、4万833トン(25.6%)と輸入量の増勢は続いており、本年4
月の5万4千トン、7月の4万1千トンに次ぐ水準に達した(図4)。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、11月の輸入見込みは、冷蔵
品は、10月並みの水準となり、冷凍品は、10月をかなり下回ると見込まれ、全体の
輸入量は約3万6千トン前後と見込まれる。


全般的に低水準

 10月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、景気後退による消費低迷、輸入牛肉
の出回り量の多さなどから依然として悲観材料があるものの、スーパーマーケット
等での国産牛肉見直しの動き等から、1,064円/kgと前月並みで推移したが、前年
同月と比べるとかなり下回る水準となっている(▲6.1%)。11月の速報値では、
1,052円/kgとなっている(図5)。

 和牛の価格は、高級物にまで消費低迷の影響があらわれ、10月の価格は、去勢和
牛「A−5」2,677円/kg、「A−4」2,032円/kgと前年同月を下回り、11月につ
いても弱含みで推移している。

 乳用種の価格は、10月は、乳おす「B−3」1,052円/kg(▲5.3%)、「B−2」
793円/kg(▲10.2%)、乳めす「C−1」306円/kg(2.0%)と一部に回復の兆
しはみえるものの、低い水準で推移している。11月の速報値は乳おす「B−3」1,0
65円/kg、「B−2」812円/kg、乳めす「C−1」315円/kgとなっている。

 輸入牛肉の価格(国内仲間相場)は、10月は、北米産チルドは、テンダーロイン、
チャックアイロールがやや値を上げた他全般的に保合で推移し、オセアニア産チル
ドは総じて保合で推移した(図6)。



黒毛和種、乳用種ともやや回復

 黒毛和種の10月の価格(雌雄平均、以下同じ。)は、41万4千円/頭と前月に比
べやや値を上げたが、11月の速報値では、40万7千円/頭となっている(図7)。

 乳用種の10月の価格は、9月より値を上げ10万9千円/頭、また、11月の速報値
も11万4千円/頭と値を上げている。

 また、乳用種のヌレ子の10月の価格は、4万円/頭とやや値を回復した。11月
(速報値)は、4万4千円/頭となっている(図8)。



今月のトピックス
4万トンになった牛肉輸入量

 牛肉の輸入量が増加を続けている。自由化2年目に入り、平均の輸入量は豪州産2万トン、米国産1万8千トン等その他合わせて4万トン水準となっている。豪州からは、100〜120日前後の短期穀物肥育のものが、米国からはシェルフライフの伸びたチルドの引き合いが強く、地方のスーパーではバラ、カタ、ロインが、都市部でロインが目立って使用されているのが最近の特徴。今後、関税50%を見込んだ通関量の減少がどの程度になるか注目される。



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