牛肉・肉用子牛


〔牛  肉〕

前年をわずかに上回る推定出回り量

 5年2月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、輸入品がやや増加したもの
の国産品が前年同月を割ったため、5万8千537トンと前年をわずかに上回るにとど
まった(1.3%、図1)。

 推定期末在庫は、4年度当初から、緩やかな増加傾向が続いていたが、昨年10月
をピークに反転緩やかな減少傾向が続いており、2月末は6万4千766トンと前年同月
をかなり下回っている(▲6.8%、図2)。在庫圧縮が流通関係者の基本的な考え方
になっていることから、輸入品・国産品在庫は、いずれも前年同月を割っている。

生産量は前年並み

 2月の生産量は、3万1千436トンと前年並みであった(図3)。

 種類別のと畜頭数を見ると、和牛は、去勢和牛がわずかに減少(▲1.7%)した
が、めす和牛がわずか増加(2.8%)したため、和牛全体では3万8千900頭と前年並
みとなった(0.2%)。一方、乳牛も、乳おすがわずかに減少(▲1.3%)したが、
乳めすがわずかに増加(2.1%)したため、乳牛全体では6万9千400頭と前年並みと
なった。

前年をやや上回った輸入牛肉

 2月の輸入量は、2万3千844トンと前年度をやや上回った(5.3%、図4)。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、3月の輸入見込みは、冷蔵
品1万7千トン強、冷凍品6千トン弱、合計約2万3千トン前後と2月をとほぼ同水準に
なると見込まれ、また、4月については、関税率が60%から50%になることに伴う
冷凍品の通関増から3月よりもかなり増加するものと見込まれる。

卸売価格は依然として低水準

 2月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、984円/sと前月より8円値を下げ
(▲9.7%)、3月の速報値でも、979円/sと続落している(図5)。

 2月の和牛の価格は、去勢和牛「A-5」2,559円、「A-4」1,909円/sと前年同月
を下回り、3月も、対前年を下回る水準になっている。

 乳用種の価格は、2月は、乳おす「B-3」935円/s(▲12.6%)、「B-2」735円
/s(▲7.1%)、乳めす「C-1」264円/s(▲19.5%)と、こちらも、低水準で
推移している。3月の速報値は乳おす「B-3」954円/s、「B-2」731円/s、乳め
す「C-1」238円/sとなっている。

 2月から3月上期にかけての輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、北米産チルドは、
トップラウッド、ストリップロインがやや値を上げた他は全般的に保合で推移し、
オセアニア産チルドは、フルセットでやや強含みから小戻しで推移した他は総じて
保合で推移した(図6)。

〔肉用子牛〕

黒毛和種・乳用種とも弱含み

 黒毛和種の2月の価格(雌雄平均、以下同じ。)は、36万7千円/頭と前月に比べ
かなり値を下げ、3月の速報値(4月10日現在。以下、この項同じ。)でも、35万1
千円/頭となっている(図7)。

 乳用種の2月の価格は、9万5千円/頭と前月に比べかなり大きく値を下げ、また、
3月の速報値では9万4千円/頭とさらに値を下げている。

 また、乳用種のヌレ子の2月の価格は、4万7千500円/頭と前月に比べやや値を上
げ、3月の速報値は、5万2千200円/頭となっている(図8)。

今月のトピックス
豪州産シェアの増加

 日本に輸入される牛肉は、豪州と米国で90%以上を占めているが、豪州のシェアに最近少し変化が見られる。平成4年の上半期は、おおむね50%で推移していた同国のシェアが、1月59%、2月65%と増加している。この背景には、米国の肥育牛価格及び部分肉相場の上昇、比較的冷凍ものが多い米国産の保税ストック、豪州産牛肉の食肉輸入法の発動に基づく米国への輸出不振等の諸事情が考えられる。



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