畜産振興事業団では、「特産畜産物フェア」を、 平成5年3月24日(水)から29日(火)まで、 東京新宿区の小田急百貨店新宿店本館8階催し物会場にて、 実施しました。その時の模様をレポートします。 |
* * *11万人を超える来場者で、会場内は賑やかに 3月24日(水)、東京地方に、桜の開花宣言。 この日から6日間、ちょうど桜の開花に合わせるようにして東京新宿にある小田 急百貨店で、サブタイトル“とくさん・ちくさん全国味道中”と題して「特産畜産 物フェア」が開催されました。 このフェアは、地域活性化の切り札として全国各地で生産されている特産畜産物 を消費者に紹介し、“生産者と消費者との出会いの場”として実施したものです。 既に、2月下旬に大阪市心斎橋のそごう百貨店で14道府県・32出展者のもとに同フ ェアを開催しましたが、今回は、22道府県・47出展者が、牛肉、豚肉、鶏肉、鴨肉、 牛乳乳製品、鶏卵、蜂蜜製品とそれぞれお国自慢を出展、賑やかな中での展示販売 フェアとなりました。 期間中、概ね穏やかな天候に恵まれて(百貨店の担当者によれば、デパートは、 お天気の悪いほど集客は良いというが、筆者は、やはりお天気が良いほど客足は伸 びると信じているのだが)、土・日にはいずれも2万人を超える来場者を数え、期 間中6日間の延べ来場者数は、11万人に達しました。 *目移りしてしまうほど多種多様な畜産品!! 特産畜産物の展示即売コーナーは、各道府県ごとに工夫が凝らされ、郷土色豊か でアットホームな雰囲気が伝わりました。出展された商品は、十和田牛、山形牛、 とちぎ和牛等の銘柄ものはもちろん、それぞれの“ふるさと”ならではの商品が目 移りしてしまうほど勢ぞろいし、出品数は200点を超えました。丹精込めて手作り した商品だけあって、生産者の情熱が伝わってくるような商品ばかりです。そのな かでも、新潟県と栃木県の飲むヨーグルト、岡山県と栃木県の牛肉を使ったお寿司、 山形県の薫製卵と埼玉県の鶏卵、徳島県と岡山県の蜂蜜飲料など、お互いに競合す る商品がいずれもそれぞれ独自の姿でお客様の人気を競いあっていました。両方買 ってみて自宅でじっくり食べ比べ・飲み比べをしてみようという皆様が多かったよ うに思えます。 また、会場内では、乳脂肪の高いジャージーソフトクリームや低温殺菌牛乳の立 食販売もありソフトクリームを食べながら、また舌ざわりのなめらかな牛乳を飲み ながら、畜産物の知識普及パネルを読んでいる方々がたくさんいらっしゃいました。 *バラエティーに富んだイベントコーナー! 会場の一角にイベントコーナーを設け、普通の食品売り場にはない“遊び”の雰 囲気を大切にしました。このコーナーは、料理の実演を中心とした「ヒントでクッ キング」、牛肉の各部位の名前とそのお料理の仕方を楽しく知っていたいだくため のゲーム「神経衰弱めくってモォ〜!?」、そして27日(土)には、テレビでお馴 染みの小林千登勢さんを、28日(日)には、三遊亭小遊三さんをゲストにお招きし て「ちくさん井戸端会議」と題した楽しくアットホームなトークショーと、盛りだ くさんの内容で実施しました。 また、アトラクションとして、牛と豚のヌイグルミが常時会場内で、時には隣の 民芸用品の売り場にまで愛敬を振りまき、さらに、小さな子供さんにはフェア用の 風船をプレゼントするなど、春休みに入った子供たちにもフェアを楽しんでいただ きました。 料理の実演を見入っている熱心な主婦、積極的にゲームに参加されて楽しまれて いる家族連れの方、千登勢さんと小遊三さんを取り囲む人の山、ヌイグルミとふざ け合っている小学生、新宿駅構内の人波の間から見かけたフェア用の風船。子供達 から年輩の方々まで楽しい一時を過ごしていただけたことと思います。 *まずは試食試飲コーナーで、いろいろ食べてみて また、このイベントコーナーの隣に、“畜産物味めぐりコーナー”と題して試食 試飲コーナーを設け、各出展者の最も自信のある商品を来場者の方々に味わってい ただきました。毎日、時間帯を決めて1日当たり4回実施しました。1日8出展者 の商品を紹介するのが限度だったのですが、各社の主力商品だけあって来場者の方 にはたいへん好評でした。 *広報活動等にも力を入れた今年のフェア とにかくこのフェアへ多くのお客様が足を運んでいただくことが主催者として最 も重要なことになります。そのために、パブリシティーとして、営団地下鉄(丸の 内線、銀座線)・小田急線全線・京王線全線に車内ポスターを掲示しました。また、 小田急百貨店の主たる商圏である新宿区・渋谷区・世田谷区・狛江市・調布市等に、 集中的に、新聞折込チラシを入れました。さらには、TBSラジオで3月21日から 28日にかけて20秒ラジオスポットを流しました。フェア初日にはラジオの現場生中 継も入りました。どこかでポスターを見たり、チラシを見たりされた方もたくさん いらっしゃると思います。出展者の方々にも自社の予算があり限られた制約の中で 販売促進を図らなければなりません。そうした中で、出展者独自でPRをし集客効 果を上げている出展者もありました。例えば、 ・以前からひいきにしていただいている首都圏在住のお客様に今回の特産畜産物フ ェアのダイレクトメールを出して、お客様に遊びにきていただく。 ・振り込み用紙つき宅急便注文書を用意し、このフェア期間中は試食試飲に力点を おき、長い目でみたお客様確保を目指す。 ・一定金額以上お買い上げ頂いたお客様には、地元を代表する粗品を提供する(青 森県が林檎で実施していました)。 さらに熱っぽく自社製品のPRをされていた出展者の方、地味でしたがとつとつ と乳製品のおいしさを説明されていた出展者の方……… 景気の低迷がさけばれて久しくなります。各社の販売戦略のリストラも始まって いるかと思います。出展者の方は、今回のフェアで消費者の生の声にじかに触れら れたことと思います。また、他社の製品を味見をしたり、手にとられたことと思い ます。今後の各社の商品開発、販売戦略の参考になればと思います。 *担当から 昨年に引き続いて、同時期に同じ百貨店でのフェア開催となりました。昨年から 継続して出展していただいた出展者もたくさんあります。 そうした中で、受付を担当していて、 ・「去年買った岩手の骨付きソーセージはどこで売っていますか?」と尋ねていた だいたご婦人 ・埼玉県の放し飼いの自然卵が大好きで、「ここの卵は黄身がこんもりしていて本 当においしいの」と、開催期間中に再三買い物に来ていただいたご婦人 ・「一昨日、子供が買ってきた北海道の鴨鍋セットがとてもおいしくて」と閉店ま ぎわに飛び込んで来られたお母さん ・家庭サービスのつもりで北海道の低塩手作りバターを買っていったら「もっと買 ってきて」と奥様に頼まれて、再びフェア会場にいらしたサラリーマンの方 と、いろいろ受付に声をかけていただきました。 今回のフェアで畜産食品のバラエティーの豊かさをあらためて再認識された消費 者の方々もたくさんいらっしゃると思います。 “毎日の食卓に、畜産食品があり、健康で、潤いのある豊かな食生活” これが、出展者の方々の願いであり、主催者としての願いでもあります。このフ ェアがその願いの第一歩になれば、これほど嬉しいことありません。 6日間という短い期間でしたが、ありがとうございました。 (企画情報部 鈴木秀夫)