★ 事業団便り


ジャパン・チキンクッキングコンテスト全国大会の開催


酉年の鶏肉料理日本一!

 第7回ジャパン・チキンクッキングコンテストが3月9日(火)東京・千駄ヶ谷
の服部栄養専門学校で開催されました。このコンテストは、社団法人日本食鳥協会
の主催、“ヘルシー、おいしい、安価”といった定評を持つ鶏肉を広く消費者にア
ピールし、新しい鶏肉料理の開発を進めようというもので、「酉年の鶏肉料理日本
一!」をキャッチフレーズに、オリジナル鶏肉料理の日本一を決定しました。

 昨年10月末の締め切りまでに全国から寄せられたオリジナルの鶏肉料理の応募作
品は、過去最高の5,267点(3,845名)にも達しました。これらについて、東京の女
子栄養短期大学で書類審査が行われ、まず地区大会出場者60名が選ばれました。つ
いで地区大会は、全国5会場(八戸、東京、名古屋、大阪、福岡)で実地審査が行
われ、出場者が自分の作品を実際に調理し、これを料理研究家等をはじめとした審
査員の他、消費者30名を一般審査員として加え、消費者のきびしい目もいれた審査
を受けました。この結果、全国大会には、18名の方が激戦をくぐり抜け、出場が決
まったわけです。


30代以上が16人

 出場者は、北は青森県八戸市から南は沖縄県中頭郡まで。なぜか、北海道と四国
の方はいらっしゃいません。また、年齢的には、上は64歳の方から下は18歳の高校
3年生まで。30代以上の方が16人を占めており、また主婦の方が12人となっていま
す。これは、鶏肉料理ということから、お米と組み合わせた料理、あるいは、おか
ずや酒のつまみになるためからか、主婦の方が多くなったことと思われます。また、
紅一点ならぬ男性一人、63歳の方で、現在は退職し、奥さんと3日毎に交代して料
理を作るという方が出場されています。

 さて、10時からの開会式では、主催者の清水昌夫(社)日本食鳥協会会長の挨拶
の後、審査委員長の服部幸應全国料理学校協会副会長から「みなさん、緊張してい
ると思いますが、日頃の腕前を発揮し、頑張ってください」との激励の言葉があり
ました。


1時間30分の調理時間

 出場者の方は、10時40分の開始の合図とともに、自分の調理台へ走り、1時間30
分の持ち時間の範囲で自分が考えた料理をいかにおいしく、美しく作るかという競
争に入りました。「コト、コト」と野菜を切る音、鍋があたる音、油で揚げる音等
が広がるなか、審査員の先生は各調理台を廻り、料理の特徴や、苦心した点につい
て質問し、出場者は自分の料理のポイントを笑顔で答えていました。調理開始から
40分も過ぎた頃から、作品ができあがっていきます。ささ身グラタン(宮城県、斉
藤さん)、チキンのおしゃれバケット(兵庫県、春名さん)あたりが早くできあが
り、審査テーブルに並べられていきます。各調理台を廻っていた審査員の先生方は、
暖かいうちに味をみる必要があるため、できあがったという連絡の度に、そのテー
ブルに集まってきます。

 審査テーブルには、試食用のものときれいに盛付けられたものの2種類が並べら
れています。自分の料理の内容にあわせて竹の器や大皿を利用したもの、料理の色
合いからパセリ、クレソン、ブロッコリーの緑を添えたり、椿の葉や花を横におき、
作品を一層引き立たせようと、努力の後が随所に見られます。

 正午前にはほとんどの作品ができあがり、調理終了時間までには全作品が並べら
れました。


5つの審査基準

 審査基準は、@おいしさ、A手軽さ・普及性、B料理の独創性、C鶏肉の特長が
生かされていること、そしてD盛付、の5点です。審査員の先生方は、グループで
あるいは一人ずつ、出来上がった順に試食や盛付けの審査を行っています。純和風
のおにぎりから、フランス料理のビール煮まで、18種18様ですから、相当苦労され
ています。全作品を味わい、点数を付けた後は別室で協議され、グランプリ:農林
水産大臣賞、2位、3位他が決められます。

 さて、その間に出場者たちは、力を出し尽くした後にもかかわらず、自己紹介を
兼ねて自分の作品のPRを行ったり、楽しげに懇談しています。

 今回は、アメリカから第39回ナショナル・チキンクッキングコンテストでグラン
プリを受賞されたジュディス・マグウェインさんをお迎えしていました。マグウェ
インさんは、「日本とアメリカの料理の違いは、日本はきれいに飾られ、芸術的で
す。チャンピオンになって履歴書に入れることができ大変誇りに思うし、こうして
日本へ来ることができてよかった」と明るく答えていました。


グランプリは、渡辺静江さんに

 そうこうしているうちに、審査員の先生方が登場しました。一瞬、シーンと静ま
り、いよいよ、受賞作品の発表です。全員が緊張する中、コック・ドゥードルドゥ
ー賞から順に発表され、最後のグランプリは渡辺静江さんの「チキン・まるまるお
から!!」に決まりました。併せて、副賞の「米国旅行にペアでご招待」を受け、
米国ナショナル・チキンクッキングコンテストに日本代表として参加される予定で
す。渡辺さんは、自分の作品について「2人の孫娘が鶏肉が好きですが、これとお
からや人参、マッシュルームを加えて安くて栄養満点に作れます」と答え、応援に
来ていたご主人と息子さんとともに、喜び合っていました。審査員からの評価も
「安くて栄養満点のおからを鶏の胸肉で包んで焼き上げたボリュウームたっぷりの
料理です。塩分を抑え、とても食べやすく、鶏とおからの組み合わせが新鮮でよか
った」と述べていました。

 審査委員長の服部先生は、講評の中で「この種のコンテストでは、審査の途中で、
迷いに迷ったり、激論を飛ばしたりということが多いのですが、今回選ばれた7名
の方は、誰も異論無く点数を集めました。今回、気が付いたのは、香辛料の使い方
がここ5年ほどの間に非常にうまくなったことです。外国の香辛料を効果的に使っ
ていました。一方、従来からの味噌や醤油の使い方も工夫されています。海外の調
味料と昔からの調味料を研究して、使っていくことが世界の基準にもなるのでない
でしょうか。

 今回、各審査員の心の中で暗黙のうちに点数として入っていたのは、家庭料理を
伝えて欲しいということでないでしょうか。もしかして、日本の家庭料理が崩壊し
ているのではないかという心配からです。こういったコンテストを通じて家庭料理
を周りの人にも普及させていってほしいものです」と締めくくられました。

(企画情報部 村尾 誠)

(別表)

グランプリ 農林水産大臣賞
 渡辺 静江 さん(秋田県大館市)  「チキン・まるまるおから!!」
2位  農林水産省畜産局長賞
 花岡 節子 さん(東京都世田谷区) 「チキンとセロリのホコホコ煮」
3位  農林水産省畜産局長賞
 安岡 講子 さん(福岡県甘木市)  「薬味鳥」
4位  畜産振興事業団理事長賞
 斉藤 禮子 さん(宮城県仙台市)  「ささ身グラタン(バアチャンの味)」
5位  畜産振興事業団理事長賞
 芝田 悦生 さん(和歌山県和歌山市)「チキン・アチャラ」

特別審査員賞 チキン・チャンピオン賞
 大倉 由美 さん(広島県広島市)  「チキンとお豆のユズジャム煮」
特別審査員賞 コック・ドゥードルドゥー賞 
 清川 周子 さん(青森県八戸市)  「サッサミテロール」


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