牛肉・肉用子牛


〔牛  肉〕

推定期末在庫の伸びは鈍化傾向

 5年10月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、国産品が乳牛の生産減か
ら前年を下回っているものの、輸入品の大幅な出回り量の増加から、全体で8万3千
864トンと前年をかなり上回った(10.4%、図1)。

 推定期末在庫は、高水準の輸入が続いていることから、4月以降増加の一途をた
どってきているものの、7月以降9万トン台で推移している。10月末の数量は、9万4
千421トン(21.1%、図2)であり、うち輸入品が88%を占めるに至っている。


和牛増加、乳牛減少のと畜頭数

 10月の牛肉生産量は、3万5千724トンと前年をやや下回った(▲3.9%、図3)。

 と畜頭数を種類別で見ると、おおむね1/3を占める和牛は去勢和牛、めす和牛と
も増加(それぞれ4.4%、8.8%)し、和牛全体では4万8千800頭と前年をかなり上
回った(6.4%)。一方、2/3を占める乳牛は、乳めすがやや減少(▲4.7%)する
とともに、乳用肥育おす牛の減少(▲10.3%)が著しかったことから乳牛全体では
7万7千800頭と前年をかなり下回った(▲7.5%)。その結果、成牛全体で12万9千
500頭と前年を2.6%下回った。


増勢止まぬ牛肉輸入量

 10月の輸入量は、冷蔵品が2万4千トン弱、冷凍品が2万5千トン強と高水準の状態
が続いており、総計で4万9千トン強となった(20.1%、図4及び図5)。4〜10月の
累計でも34万9千471トン(25.1%)となっている。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、11月の輸入見込みは、冷蔵
品2万6千トン、冷凍品1万6千トン、合計約4万2千トン前後と10月を下回ると見込ま
れ、また、12月については、11月よりもわずかに増加するものと見込まれる。


枝肉卸売価格、和牛でわずかに戻す

 10月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、1,087円/sと前年をわずかに上回
り(2.2%、図6)、11月の価格(速報値、瑕疵のある枝肉を除く)も、1,110円/
kgと前年をやや上回っている(5.5%)。他の和牛、乳牛の主要なクラスの価格は、
10月については、おおむね前年を下回り特に和牛不振が目立っている。11月にあっ
ては鍋物需要がそろそろ本格化する時期でもあり、またお歳暮の手当等の動きから、
下旬に取引が活発したことから和牛を中心に価格を戻している。

 一方、10〜11月上期にかけての輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、総体的な荷余
り感から、主要部位の価格はいずれも前年割れが続いているものの、オセアニア産
を中心に価格が上昇気味であり、フルセット(冷蔵・グラス)が600円台半ば/kg、
トップサイドで600円弱/kgで推移する等一部で荷動きが見られる。


〔肉用子牛〕

黒毛和種はやや回復

 10月の黒毛和種の子牛取引頭数は、2万4千頭と前月をかなり下回ったが取引価格
は雌雄平均で前月を4千円下回る32万1千円/頭となった。肥育農家側での和子牛の
導入意欲がやや強くなっている模様であり、11月の速報値(12月10日現在。以下こ
の項で同じ)では、雌で27万2千円/頭、雄で36万5千円/頭、平均32万6千円/頭
と値をやや回復している(図7)。


軟調傾向にヌレ子

 10月の乳用種の子牛取引頭数は、2千900頭と前月をかなり下回った。取引価格は
雄でかなり価格を上げたことから雄雌平均8万8千円/頭と前月より値を上げ、11月
の速報値は10月を下回っている。10月の乳用種のヌレ子の価格は、5万5千円/頭と
ほぼ前月並みであったが、11月の速報値でも5万5千円と横ばいとなっている(図8)。


今月のトピックス
急増した豪州産チルドグレインフェッドビーフ

 オーストラリア食肉畜産公社(AMLC)は、1993年の日本向け牛肉の輸出量を公表した。これによると、同輸出量(船積み数量、予測)は26万トン、うちチルドビーフは18万1千トン(全体の69.6%)を占め、チルドビーフのうちグレインフェッドビーフは7万3千トン(全体の28.1%)と見込んでいる。
 特に、自由化以前と比べてチルドグレインフェッドビーフの伸びが著しい。



元のページに戻る