乳製品の種類別販売数量及び流通・消費の実態
−乳製品の消費実態調査より−

(乳業部)


 この調査は、主要乳製品の生産から流通・消費に至る実態を総合的に、体系的に調査分析し、その動向を的確に把握することにより、生乳の円滑な需給に資することを目的として、(社)食品需給研究センターに委託して実施したものです。以下、その概要を報告します。
1. 調査の概要

1)調査対象品目

 1 バター
 2 脱脂粉乳
 3 れん乳類
 4 全粉乳
 5 チーズ
 6 生クリーム
 7 業務用牛乳


2)調査の回収状況

 「乳製品の種類別販売数量等調査」の対象は「乳業メーカー」、「卸売業者」及
び「実需者」である。

 回答企業は67社でその内訳は、「乳業メーカー」14社、「卸売業者」19社、「実
需者」34社である。なお、「実需者」の対象業種は「製菓・製パン」「はっ酵乳・
乳酸菌飲料」、「飲料」、「調理食品」、「加工油脂」、「外食産業」の6業種で
ある。


3)調査の方法等

 調査方法はメール調査及び面接調査による。

 調査対象期間は平成3年度。ただし、「乳業メーカー」・「卸売業者」について
は、平成4年上期の実績も補足的に調査した。


2. 乳業メーカーにおける乳製品の生産状況

 乳業メーカーの調査企業は14社であった。取り扱い品目により回答企業数は若干
異なるが、その結果は表1のとおりである。


         表1 乳製品の生産状況       ( )は構成比
品 目 調査企業
(14社)
期   間 生産量 仕入量 合 計
バター 12 H3年度上期、下期(t)
H3年度構成比(%)
H4年度上期(t)
H4年度上期構成比(%)
73,057
(77.4)
44,101
(91.3)
21,353
(22.6)
4,182
(8.7)
94,410
(100.0)
48,283
(100.0)
脱脂粉乳 12 H3年度上期、下期(t)
H3年度構成比(%)
H4年度上期(t)
H4年度上期構成比(%)
176,897
(75.7)
99,370
(79.0)
56,690
(24.3)
26,416
(21.0)
233,587
(100.0)
125.786
(100.0)
れん乳類 12 H3年度上期、下期(t)
H3年度構成比(%)
H4年度上期(t)
H4年度上期構成比(%)
49,348
(93.4)
23,724
(94.5)
3,479
(6.6)
1,377
(5.5)
52,827
(100.0)
25,101
(100.0)
全粉乳 12 H3年度上期、下期(t)
H3年度構成比(%)
H4年度上期(t)
H4年度上期構成比(%)
32,677
(96.7)
13,073
(97.0)
1,087
(3.3)
408
(3.0)
33,764
(100.0)
13,481
(100.0)
チーズ 8 H3年度上期、下期(t)
H3年度構成比(%)
H4年度上期(t)
H4年度上期構成比(%)
23,134
(41.1)
11,788
(38.5)
33,105
(58.9)
18,855
(61.5)
56,239
(100.0)
30,643
(100.0)
生クリーム 10 H3年度上期、下期(kl)
H3年度構成比(kl)
H4年度上期(t)
H4年度上期構成比(%)
48,660
(94.5)
20,783
(95.6)
2,838
(5.5)
965
(4.4)
51,498
(100.0)
21,748
(100.0)
注:チーズの生産量は、社内で生産されたナチュラルチーズ
  (直接消費用及びプロセス原料用)を含み、プロセス
  チーズは含まない。従って、プロセス原料用輸入ナチュ
  ラルチーズは仕入量に含まれる。


3. 乳業メーカーにおける乳製品の消費仕向状況

 乳製品の消費仕向状況を社内消費・社外販売別にみると、表2のとおりである。
なお、社内消費とは自社製品の原材料として使用したもので、委託加工分を除き、
社外販売には委託加工分が含まれる。

表2 乳製品の販売数量と社内消費数量
品 目 期   間 社内消費 販売数量 合 計
バター H3年度上期   (t)
H3年度下期   (t)
H3年度構成比 (%)
H4年度上期   (t)
H4上/H3上   (%)
9,757
10,041
(23.1)
9,474
97.1
31,495
34,428
(76.9)
30,492
96.8
41,252
44,469
(100.0)
39,966
96.9
脱脂粉乳 H3年度上期   (t)
H3年度下期   (t)
H3年度構成比 (%)
H4年度上期   (t)
H4上/H3上   (%)
49,570
47,121
(43.0)
54,033
109.0
62,189
66,187
(57.0)
63,637
102.3
111,759
113,308
(100.0)
117,670
105.3
れん乳類 H3年度上期   (t)
H3年度下期   (t)
H3年度構成比 (%)
H4年度上期   (t)
H4上/H3上   (%)
8,287
5,840
(27.6)
6,919
83.5
19,905
17,141
(72.4)
18,925
95.1
28,192
22,981
(100.0)
25,844
91.7
全粉乳 H3年度上期   (t)
H3年度下期   (t)
H3年度構成比 (%)
H4年度上期   (t)
H4上/H3上   (%)
2,504
2,224
(14.8)
2,338
93.4
14,067
13,195
(85.2)
11,713
83.3
16,571
15,419
(100.0)
14,051
84.8
チーズ H3年度上期   (t)
H3年度下期   (t)
H3年度構成比 (%)
H4年度上期   (t)
H4上/H3上   (%)
1,141
1,082
(2.1)
1,408
123.4
49,815
52,053
(97.9)
53,511
107.4
50,956
53,135
(100.0)
54,919
107.8
生クリーム H3年度上期   (t)
H3年度下期   (t)
H3年度構成比 (%)
H4年度上期   (t)
H4上/H3上   (%)
8,060
8,785
(33.1)
7,686
95.4
15,652
18,441
(66.9)
14,298
91.3
23,712
27,226
(100.0)
21,984
92.7
業務用牛乳 H3年度上期   (t)
H3年度下期   (t)
H3年度構成比 (%)
H4年度上期   (t)
H4上/H3上   (%)


(−)

19,643
20,229
(100.0)
18,045
91.9
19,643
20,229
(100.0)
18,045
91.9
注1: 業務用牛乳とは、他の飲料及び食品の原材料として流通する牛乳とした。
  なお、回答企業数が少ないので、留意していただきたい。
注2: 平成3年度の社内消費の構成比の特に少ないものはチーズでありわずか
  2.1%が仕向けられているのみで、ほとんどがナチュラルチーズ及びプロ
  セスチーズとして社外に販売されている。
注3: 平成4年上期の社内消費量のうち前年を上回っているのは、脱脂粉乳
  (109.0%)とチーズ(123.4%)となっている。
注4: 平成4年上期の販売数量のうち、前年を上回っているのは脱脂粉乳
  (102.3%)とチーズ(107.4%)となっている。


4. 乳製品の流通ルートの推計

 バター、脱脂粉乳、全粉乳、れん乳、生クリームについてそれぞれ、国内全体に
おける流通経路とその流通比率の推計を試みた。

 推計するにあたっては、各品目の国内の消費仕向量を推定した。これは乳業メー
カーの生産量から年度末在庫数量を差し引いたもの、すなわち、販売数量と社内消
費数量を合計したものとした。そして乳業メーカー、一次卸売業、実需者の各流通
段階毎における流通及び消費実態の調査結果を基礎として推計したもので、それぞ
れ図1〜図5のとおりとなる。

 流通ルートは、まず「乳業メーカー」、そして卸売業は「一次卸売業」とその調
査結果、販売先として明らかになった卸売業を「二次卸売業」として位置づけ、さ
らに「実需者」の4段階に簡略化した。なお、「実需者」は、「乳業メーカー」、
「アイスクリームメーカー」、「加工油脂メーカー」、「製菓・製パンメーカー」、
「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」、「飲料メーカー」、「調理食品メーカー」、
「外食・その他」、「小売業」に区分した。



1 乳業メーカー段階

@ 社内消費数量(23.1%)の内訳は加工乳・乳飲料が最も多く、次いではっ酵乳
 ・乳酸菌飲料、コンパウンドマーガリンなどとなっている。

A 販売数量(76.9%)の内容は、業務用実需者が13.8%(内訳は「製菓・製パン
 メーカー」が最も多く、次いで「加工油脂メーカー」、「アイスクリームメーカ
 ー」、「外食・その他」、「調理食品メーカー」など)、一次卸売業(61.1%)、
 家庭用(2.0%)となっている。

2 一次卸売業(61.1%)の販売先は実需者へ27.7%(内訳は「製菓・製パン」が
 最も多く、次いで「乳業メーカー」、「加工油脂メーカー」、「外食・その他」
 など)となっている。また、「小売業」へ17.4%、「二次卸売業」へ16.0%販売
 している。 



1 乳業メーカー段階

@ 社内消費数量は(43.0%)の内訳は加工乳・乳飲料が最も多く、次いではっ酵
 乳・乳酸菌飲料、アイスクリーム、デザートなどとなっている。

A 販売数量(57.0%)の内容は、業務用実需者が24.9%(内訳は「乳業メーカー」
 が最も多く、次いで「飲料メーカー」、「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」、
 「加工油脂メーカー」、「製菓・製パンメーカー」、「アイスクリームメーカー」、
 「調理食品メーカー」の順など)、一次卸売業が32.1%となっている。

2 一次卸売業(32.1%)の販売先は実需者へ28.2%(内訳は「乳業メーカー」、
 「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」が最も多く、次いで「飲料メーカー」、「製
 菓・製パンメーカー」、「加工油脂メーカー」、「調理食品メーカー」など)と
 なっている。また、「二次卸売業」へ3. 9%販売している。


1 乳業メーカー段階

@ 社内消費数量(14.8%)の内訳は加工乳・乳飲料が最も多く、その他アイスク
 リーム、デザートなどである。

A 販売数量(85.2%)の内容は、業務用実需者が42.2%(内訳は「飲料メーカー」
 が最も多く、ついで「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」、「製菓・製パンメーカ
 ー」、「乳業メーカー」、「調理食品メーカー」など)、一次卸売業が43.0%と
 なっている。

2 一次卸売業(43.0%)の販売先は実需者へ38.7%(内訳は「飲料メーカー」が
 最も多く、次いで「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」、「製菓・製パンメーカー」、
 「乳業メーカー」、「加工油脂メーカー」、「調理食品メーカー」など)となっ
 ている。また、「二次卸売業」へ4.3%販売している。



1 乳業メーカー段階

@ 社内消費数量は27.6%で、内訳はアイスクリームが最も多く、その他加工乳・
 乳飲料などの飲料、デザートなどである。

A 販売数量(72.4%)の内容は、業務用実需者が10.6%(内訳は「製菓・製パン
 メーカー」がほとんどを占めており、ついで「アイスクリームメーカー」、「乳
 業メーカー」など)、一次卸売業が61.8%となっている。

2 一次卸売業(61.8%)の販売先は実需者へ44.3%(内訳は「製菓・製パンメー
 カー」が最も多く、次いで「飲料メーカー」、「アイスクリームメーカー」など)
 となっている。また、「二次卸売業」へ17.5%販売している。 


1 乳業メーカー段階

@ 社内消費数量は33.1%で、内訳は加工乳・乳飲料などの飲料、アイスクリーム
 が最も多い。

A 販売数量(66.9%)の内容は業務用実需者が39.1%(内訳は「乳業メーカー」
 が最も多く、ついで「アイスクリームメーカー」、「調理食品メーカー」、「加
 工油脂メーカー」など)、一次卸売業が27.8%となっている。

2 一次卸売業(27.8%)の販売先は実需者へ25.1%(内訳は「製菓・製パンメー
 カー」が最も多く、次いで「外食・その他」、「加工油脂メーカー」、「アイス
 クリームメーカー」など)となっている。また、「二次卸売業」へ 2.7%販売し
 ている。 



5. 乳製品の用途別消費数量の推計

 バター、脱脂粉乳、全粉乳、れん乳、生クリームについてそれぞれ、国内全体に
おける用途別の消費数量の推計を試みた。

 推計するにあたっては、まず各品目の国内の消費仕向量を推定した。これは乳業
メーカーの生産量から年度末在庫数量を差し引いたもの、すなわち、販売数量と社
内消費数量を合計したものとした。そして乳業メーカー、実需者の各流通段階毎に
おける消費実態の調査結果をもとに推計したもので、それぞれ図6のとおりとなる。


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