◎地域便り


牛肉の国に牛肉を売り込む

(宮崎県 福留 憲人)


 宮崎県は昭和61年度から「より良き宮崎牛づくり対策事業」と銘打って肉用牛の
生産振興とブランド確立等に取り組んでいる。その後、平成4年度から宮崎牛海外
輸出促進事業を新たな事業として組み入れ、かの牛肉の国、米国に牛肉の輸出が始
まることになった(4年度輸出量1,550s)。

 果たして、和牛肉はどのくらい米国で浸透するのであろうか。

 輸出を始めた当初は日本の商社マンなどが主な利用者だったが、不況のため最近
では金持ちの米国人が健康を気にしながら2〜3週に1回食するといった消費や宅
配によるものが増えている状況にあるようだ(小売価格100ドル/1b)。

 米国での和牛取扱い店の状況をみると、レストランが11、スーパーが3、卸業が
4店舗ある。レストランはいずれも格式が高く、和牛を店の看板としている。また、
スーパーも和牛を取扱っていることに特色を持たせてやっている。そのためこれら
の店は取扱い店が増えることを望んでいない。

 次に和牛の名称だが、コービ(Kyobi=神戸)ビーフでしか浸透していないのが
現実だ。

 このように実情には厳しいものがあるが、コービビーフの主産地の一つが宮崎県
であることは徐々に浸透してきているし、日系のレストランでは、宮崎から出荷さ
れたものは品質が良く、パックもしっかりしていると言ってくれている。

 一挙に和牛肉の売行きが倍増することは望むべくもないが、和牛の味は少しづつ
米国に浸透していると思われる。
 

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