★ 事業団便り


牛乳の販売拡大と経営の安定化をめざして
―牛乳販売店優良事例中央発表会―


 この時期としては異常に暖かかった2月4日(木)、牛乳販売店優良事例中央発
表会が東京のグランドヒル市ヶ谷で開催されました。この発表会は、斬新、独創的
な販売技術等により飲用牛乳の需要拡大に効果をあげている牛乳販売店を全国から
選んで公表し、牛乳販売店の経営の安定化・活性化を図ることを目的としています。
(社)全国牛乳普及協会、(社)全国牛乳流通改善協会の共催で行われており、今
回で6回目の開催となります。

熱弁をふるった16人

 まず、主催者などの挨拶に引き続き、優良事例の発表が行われました。

 発表の壇上に上がられたのは、全国から選ばれた宅配部門、卸・自販機部門の代
表各8名の計16名です。みなさん、日頃自分の店舗で実践されている牛乳の販売拡
大や経営のノウハウを発表されました。なかには、熱弁のあまり、持ち時間をすぎ
ても発表を続け、主催者側をやきもきさせる場面も。また、代表者が高齢のために
後継者である息子さんが代わって発表したり、今まで苦楽をともにした夫人を同伴
している方も見受けられました。

 発表された事例は、全国の牛乳販売店の模範となるようなものばかりでしたが、
その中には次のようなユニークなアイデアもありました。

(1) 後継者も従業員も同一待遇、あるいは経営をすべてガラス張りにするなど、公
 平な待遇で従業員のやる気を大切にする。

(2) 全員の「実現したい夢」をまとめ、みんなで協力して一人一人の夢実現に努力
 する(例えば、100億円企業の実現など)。

(3) 日曜日の完全休業、週休2日制の導入など他の業種と同じように時短に取り組
 む(反対に365日営業を売りものにするところも)。

(4) 会議を毎週欠かさず行い意志の疎通を図り、また、休息室にカラオケを設置す
 るなど、従業員が喜んで働く環境を整備する。

(5) コンピューターの専任を置かずに、全員が使うようにし、また、空いた時間に
 はゲームソフトを入れて、コンピューターと楽しくつき合えるようにする。

(6) 店舗を婦人会、料理教室などに貸し出したり、毎年キャンペーンを行ったりし
 て、店舗を地域の人たちに開放する。

(7) 集金時にサンプルやチラシを持参して対面セールスを行い、顧客を確保する
 (高層マンションは意外と宅配の販路拡大に効果があるとのこと)。

最優秀賞に福井県の三屋さんと東京都の川幡さん

 優良事例の発表の後、審査委員会が開かれました。しかし、各店舗とも優れた経
営内容であったため、審査も難航し、予定時間をかなりオーバーしました。審査も
終わり、いよいよ入賞者の発表。さすがに、会場に緊張の空気が流れます。優良賞
(14店)、優秀賞(2店)、最優秀賞(2店)の順番で発表されました。

 結果は、「宅配部門」の最優秀賞には福井県勝山市の三屋旭さん(三屋牛乳販売
店)、優秀賞には三重県松阪市の中瀬省吾さん(松阪東宅配センター)が、また、
「卸・自販機部門」の最優秀賞は東京都八王子市の川幡辰次さん(八王子アイスフ
ードセンター)、優秀賞は山形県南陽市の遠藤勇夫さん(喜久屋食品)が選ばれま
した。その他の方には、優良賞が贈られました。

 表彰式の後、宮崎審査委員長が「12人の委員で厳選なる審査を行ったが、各店舗
とも優秀なものばかりで、その差は紙一重」と審査経過を報告。また、長年審査に
当たっている上河辺委員からは、「去年まではコンピューターを使った経営合理化
などの事例が中心だったが、今年の特徴は、週休2日制の導入、楽しい職場環境の
整備など、人間重視を経営方針に掲げている事例が多かった」というコメントがあ
りました。

牛乳販売店の模範となり、励みとなり

 そして、閉会の辞に続き、婦人や家族を交えた記念撮影、懇親会と、みなさんな
ごやかなひとときを過ごされました。

 牛乳販売店を取りまく経営環境は、後継者の確保、販路の拡大、経営の合理化な
ど必ずしも楽観できないものがあります。この発表会が、来年以降も全国1万2千
余りの牛乳販売店の経営の模範となり励みとなればと、強く感じいる次第です。

(企画情報部 布野 秀隆)


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