◎地域便り


冷害年牧草類のNO3−N実態

(岩手県 戸田忠祐)


 岩手県経済連では、冷害となった平成5年の粗飼料のNO3−N(硝酸態窒素)につ
いて現状を分析し、農家に警告している。これは同連の作物土壌分析センターが畜
産農家から委託された自給飼料の分析データに基づくものである。現時点では、コ
ーンサイレージは口開けしたばかりなので、牧草類が中心である。

 これによると、搾乳牛などに慢性的な諸疾患を引き起こす懸念がある乾牧草と同
サイレージ乾物中のNO3−Nが、500ppmを超えるサンプル割合は総数の約1割となっ
た。このレベルは、平年より20%高い。乾草とサイレージの高硝酸塩濃度は常に乾
草の方に発生率が多く、しかも冷害年ほどその傾向が強い実態も明らかになった。
同時に、北緯40度以北の生産物の方が以南より高いことや、自給草種の中では、リ
ードカナリーとイタリアンに、また、輸入のアルファルファとスーダン乾草に多く
みられた。

 同連はこれらの発生原因が偏った糞尿の過剰還元と冷夏の相乗効果によるものと
警告するとともに、利用する場合は、粗飼料と濃厚飼料の比率を加味した計算を行
って、NO3−Nが危険な日量を越えないよう注意を促している。
 

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