◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

 延岡農業の一産取り肥育と

   人工哺育に対する新しい取り組み

                                             (宮崎県  古澤 邦夫)


 県北部の延岡農協では、 肉用牛農家の所得安定、 組織の育成を図るため、 一層
取り肥育を取り入れた地域一貫生産システムを整備している。 

 しかしながら従来の一産取り肥育には、 @分娩時の事故が多いこと、 A哺育が難
しいこと、 B肥育の仕上りが遅れること等の問題点がある。 

 そこで、 同農協では子牛を分娩後すぐ母牛から離して人工哺育技術を導入するこ
とにした。 結果をみると、 人工哺育技術を実施した農家の成績はすこぶる良好であ
った。 一般的に、 子牛の発育は母牛の沁乳能力に影響を受けると言われているが、 
人工哺育の場合、 代用乳の給与量が一定のため、 子牛の発育も揃っている。 さらに、
早くからペレット状のエサを摂取することから、 消火器がよく発達し、 肥育期間の
飼料摂取が良く、 早く仕上る傾向がある。 

 また、 母牛の方も当初35ヵ月齢での出荷を予定していたが、 哺育期間の短縮によ
り30ヵ月齢での出荷が可能となった。 哺育期間中の経費は子牛のミルク代として5
千円ほど必要となるが、 母牛の飼料費に比べると安い。 

 現在、 同農協では、 450頭の一産取り肥育牛と300頭の子牛を飼養して、 うち150
頭が人工哺育で育っている。 ほとんどの子牛が人工哺育で育つ日も近いかもしれな
い。 




 


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