◆牛乳・乳製品需給情報交換会議から

最近の牛乳・乳製品の需給動向  

乳 業 部、 企画情報部 


 事業団は、 牛乳・乳製品をめぐる状況について、 乳業会社で実際に業務用
乳製品の販売に当たっている方々に参集願い、 お話を頂く牛乳・乳製品情報
交換会議を設けております。 
 その第2回を10月7日に開催しましたので、 各社から出された牛乳・乳製
品の需給等についてその要点を報告します。 
析をしていただきました。 同氏の了解を得てその要約を紹介します。 
猛暑が与えた生乳流通への影響
 この夏の猛暑は、 生乳の生産・流通から飲用牛乳等の消費にいたるまで大
きな影響を与えた。 
 まず、 生産面では、 生産者団体による前年を下回る計画生産に加え、 猛暑
による乳牛の夏ばてにより前年を大きく下回った。 
 流通面では、 北海道から都府県への生乳の移出が前年を大きく上回った。 
これは、 従来、 都府県では夏場に飲用牛乳向けの生乳が不足したとき、 北海
道からの生乳と乳製品からの加工乳で対応していたが、 今年は、 北海道から
都府県への緊急的な生乳の移出が大量に行われ、 都府県での飲用牛乳の不足
分をある程度補うこととなった。 
 本来、 北海道で乳製品の生産に向けられる生乳が広域輸送により市乳に向
けられたことから加工向け生乳が減少し、 脱脂粉乳、 バターの減産となった
(1)。 
猛暑による乳製品への影響
 飲用牛乳等の消費面では、 猛暑による飲用牛乳、 加工乳、 乳飲料の消費の
伸びのほか、 健康志向を背景にした発酵乳の消費も堅調だった。 
 その結果、 加工乳、 乳飲料などの主たる原料となる脱脂粉乳の需要はかな
り伸び、 生産の減とあいまって今後の需給バランスは相当きびしくなるもの
と予想される。 早急に脱脂粉乳の輸入が行われないと、 ユーザーと消費者に
迷惑をかける恐れがでてくる。 
 一方、 バターについては、 生産は大幅に減少しているが、 在庫量は生産の
減少分程度が少なくなるだけで、 年度当初の過剰在庫が適正水準になること
は当分見込めない。 
 
本年度以降の生産量は
  今年の猛暑は、 乳牛にとっても夏ばてしたり、 種付けの時期がずれるなど
影響がでた。 過去において、 平成2年度に猛暑を経験しており、 そのときの
状況では、 猛暑による生産への影響は、 翌年の夏までの約1年にわたって続
いたということである(2)。 

(編集部 注)
(1) 6年9月の牛乳・乳製品統計が発表されたが、 それによると、 8月の生
  産量は69万6千トン (前年同月比95. 8%)、 9月の生乳生産量は67万8
  千トン(同97. 7%) となり、 今年度上期で同期比97. 3%となった。 一
    方、 今年の夏は異常とも言える暑さのため、 飲用牛乳向け生乳処理量は
    今年度上期で前年同期を5.9%上回った。 その結果、 乳製品向け生乳処
    理量は同期で16.1 %も下回り、 脱脂粉乳の生産は21.3%、 バターの生
    産は33.0%の大幅な減少となった。 
   また、 北海道から都府県への生乳の移出量は図1のとおりである。 

(2) 夏場に泌乳量が落ち込むことは、 よく知られているが、 家畜改良事業団
  のデータをもとに、 1頭当たりの泌乳量をみると図2のとおりである。 
  今年の猛暑の影響が平成2年の状況とよくにていること、 さらに、 3年
  の泌乳量がようやく8月になって前年水準まで回復したことがわかる。 

(3) 本年5月以降の平均気温の推移は図3のとおりである。 




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