◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

「ドライにトライ '95」 乾乳期の管理マニュアルを作成

(北海道 黒沢 不二男)

  乳牛の乾乳期はこれまで、 泌乳期間末期としての位置づけが強く、 とかく
なおざりにされる傾向があったが、 最近になりようやく泌乳開始前の極めて
重要なステージとして、 理解されるようになってきた。 この背景には、 乾乳
期の飼養管理ミスに起因する疾病の発生がみられるようになってきたことが
あげられる。 

 北海道石狩支庁管内の畜産担当普及員7名は、 酪農学園大学等の協力を得
てこの問題に取り組み、 このほど乾乳期の飼養管理改善マニュアル 「ドライ
にトライ '95」 を刊行した。 タイトルはラグビーのトライと乾乳のドライを
組み合わせて、 チャレンジするという意気込みを表している。 

 内容は、 乾乳期における飼養管理のポイントを大きく3つに分け、 それを
目標として掲げている。 

@ 母体をストレスのない環境で休養させ、 内臓機能をリフレッシュし、 ル
  ーメン容積をできる限り大きく保ち、 泌乳初期に十分採食できる状態に
  もっていくこと。 
   
A 胎児については、 その重量を妊娠末期2カ月に60%以上増加させる。 す
  なわち母体の健康を保ちつつ、 胎児の発育を維持し活力のある子牛を生
  産できる状態にもっていくこと。 
   
B 乳房については、 乳腺細胞の更新と増殖を行い、 乳房炎菌を排除し、 健
  康で十分に発達した乳腺細胞で搾乳できる状態にもっていくこと。 
 
  これらの目標を達成するために、 乾乳期の栄養、 BCS、 疾病についての留
意事項を豊富なデータでわかりやすく解説。 さらに現地10牧場の調査データ
 (体重、 BCS、 血液性状) をもとに実証的な提言を行っている。
 
 また、 飼養管理改善の具体策として、 飼料計算に基づいた乾乳前期と後期
の飼料給与モデル (6パターン) を参考として提起した。 
 
  このマニュアルを読んだ管内酪農家や関係者からは、 「表現もわかりやすく
、 大変参考になる」 と好評を博している。 

BCS:Body Condition Score (肉付き状態の5段階評価)  
 
    

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