◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

フリーストールを酪農家とともに考えた酪農技術懇談会

(岩手県 杉若 輝夫)

  岩手県畜産試験場では、 酪農家を主体とした関係者の技術交流の場として
酪農技術懇談会を平成6年度から開催してきた。 
 
  9回目の今回は、 「フリーストール牛舎を考える」 をテーマに7月7日に
開催された。 梅雨の間の貴重な快晴日にもかかわらず、 酪農家20名を含む関
係者39名が集まった。
 
 午前中は、 フリーストール牛舎問題について討議が行われ、 建設を現在計
画中の酪農家や、 指導者等から様々な質疑が出された。 特に、 関心が高かっ
たのはふん尿処理で、 ふん尿がスラリー化するフリーストール牛舎は何処の
経営体でも色々な問題を抱えているのが実態であった。 その他設備投資、 特
に畜舎施設・機械が高いことや、 建築基準の緩和等の必要があるとの指摘も
あり、 県内で調査した既存施設の中から、 安いコストで改造した優良事例の
紹介も行った。  

  フリーストール牛舎は成果を上げている酪農家も多いが、 失敗事例も見ら
れ、 今後に残された課題も多い。 懇談会に出席したある酪農家の気持ちが、 
次のことばに如実に現れていた。 「朝起きた時は "これからはフリーストー
ル牛舎にしなければ" と思うが、 夜寝る時には "やはり今の施設でよい" と
考え直す」。 我々はこの言葉に、 早く、 "こうすれば良いのでは" と適確なア
ドバイスが出せるようにしなければ、 と考えさせられた懇談会であった。 

 午後は、 雫石町の 「ちくまが丘農場」 の吉沢喜美雄さんを講師に吉沢さん
考案の簡易で種々アイデアあふれる手作り連動スタンチョン (1頭分約2,000
円) の製作実習を行い、 懇談会の幕を閉じた。 

    

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