◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

豆腐粕利用で低コスト生産を!

(鳥取県 斉尾 秀隆)

  鳥取県では、 約70の豆腐工場から出る豆腐粕の多くが、 産業廃棄物として焼
却処分されており、 この経費が増大している。 
 
 大企業から出るビール粕やビート粕等と比べ、 零細な豆腐工場から出される
豆腐粕は廃棄単位が小さく、 かつ、 腐敗し易い (夏は1日、 冬は2日) ため、 
再利用がなかなか難しいのが現状である。 
 
 しかし、 一方で豆腐粕を利用してエサ代を3割、 生産コスト合計でも1割を
節約し、 しかも増体、 肉質は一般配合飼料給与に勝るとも劣らないという結果
を得ている比較的大規模の経営体 (酪農及び肥育牛経営) も30近くある。 
 
 鳥取県畜産試験場と鳥取家畜保健衛生所では、 県豆腐商工組合の依頼を受け
、 現場で、 豆腐粕の収集・保存法、 牛のエサとしての有用性、 たい肥化等を検
討してきた。 
 
 まず、 保存法としては水分含量80%の豆腐粕に酒米糠、 ふすま、 圧麦、 とう
もろこし、 ヘイキューブ等を混合、 水分含量65%にしてサイレージ化、 20日位
経てから給与。 約半年間保存することができた。 

 給与に当たっては、 乳牛については成牛、 育成牛とも豆腐粕サイレージを1
日1頭当たり5kg、 和牛については成牛、 育成牛とも1kg、 肥育牛については
肥育の前期、 中期、 後期によって若干の違いはあるが、 概ね15kg給与すること
ができ、 今年4月出荷の試験肥育牛 (黒毛和種2頭、 F1クロス1頭) の成績
も良好だった。 
 
 また、 有効微生物群の応用で、 1週間位の嫌気性醗酵により 「ぼかし」 状の
有機物を作り、 たい肥としての利用ができる見通しも得られた。 食品残査のリ
サイクルで低コスト化を目指したい。 
    

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