★ 専門調査員レポート


平成6年度畜産物需要開発調査研究から

バラエティミートの外食需要動向に関する調査研究

 

財団法人 外食産業総合調査研究センター 
  研究員 小 田 勝 己 


は じ め に
   
  この調査研究は、 外食産業を構成する業種のうち、 バラエティミート (タン、 
レバーなどの食用畜産副生物) の実需家である焼肉店、 酒場・ビヤホール、 中華
料理店に焦点を当て、 その需要量、 需要の季節性や地域性等を整理し、 需要開拓
の方向性を明らかにすることを目的として実施したものであるが、 調査研究の実
施にあたっては、 マクロ的視点として国内の生産量と輸入動向及び主たる実需家
である焼肉店の出店動向やもつ鍋、 牛たん焼き屋といった、 地域性の高い業種に
ついてその動向を整理した上で実態調査結果をとりまとめた。 


1 国内生産と輸入動向
村民の健康のためのハム加工

 初めに、 と畜頭数と可食I類の重量を基礎にバラエティミートの国内の生産量
を推計すると、 平成5年には和牛の推定生産量は16,982トンと推定され、 乳用種
は30,000トン前後の推定生産量となっており、 和牛と乳用種を合わせた全体の推
定生産量は、 45,000トン〜48,000トンの間で推移し、 傾向的には微増傾向を示し
ている (表1,2参照)。

表1 畜種別にみたバラエティミートの商品(整形後)重量  (単位:kg)
区分 めす和牛 去勢和牛 乳用おす 乳用未経産
枝肉重量 357.00 402.20 394.00 391.30 73.10
可食T類 26.76 31.50 38.50 30.05 7.98
可食U類 50.50 57.42 50.88 55.66 3.76
豚足 - - - - 1.45
資料:(社)日本畜産副生物協会「畜産副生物調査研究事業(1.国内流通実態等
   調査(1)食用・非食用調査)」昭和63年3月より作成
注1:生産量推計には、牛の可食T類(頭肉、舌、心臓、下行大動脈、肝臓、横
   隔膜、胃、小腸、大腸、盲腸、直腸、食道、腎臓、子宮)に豚足1.45kgを
   加えた重量で推計した。
注2:可食区分は、中小企業近代化促進法に基づくものであり、可食T類(広く
   一般に食用に供される部分)、可食U類(地域等が限定されて食用に供さ
   れる部分)、不可食部の区分がある。


表2 バラエティミートの推定国内生産量              (単位:トン)
 

和牛

乳用種

牛合計
  めす 去勢 小計 めす おす 小計
S61年 7,028 8,203 84 15,315 15,153 18,121 33,274 48,589 198,001
S62年 6,078 7,664 78 13,820 15,024 18,589 33,613 47,432 202,066
S63年 5,490 7,447 33 12,969 14,475 18,628 33,103 46,072 200,236
H元年 5,500 7,734 47 13,281 12,927 17,709 30,637 43,918 200,236
H2年 5,693 8,432 44 14,169 12,490 17,125 29,616 43,785 201,962
H3年 6,063 8,867 45 14,975 12,877 17,622 30,500 45,474 197,183
H4年 6,559 9,088 42 15,690 12,931 18,232 31,163 46,853 186,990
H5年 7,394 9,548 41 16,982 13,129 17,221 30,350 47,332 180,670
(注)と畜頭数×可食T類の商品重量=推定国内生産量




 一方、 輸入数量は、 「フローズンその他」、 「フローズンタン」 を中心に、 微増
傾向を示してきたが、 1993年には120,870トンと前年を3%下回る輸入実績であ
った。 
 
  また、 最近の特徴としては 「チルドタン・臓器類」 のウエイトが高まっている
ことと、 「腸、 膀胱、 胃」 が1992年から93年にかけて、 「もつ鍋」 需要により大き
な伸びを示している点である。
 
 豚のバラエティミートは、 1992年から93年にかけては 「もつ鍋ブーム」 により
、 牛の小腸を補完する需要の拡大により、 一時的に12,791トンへと急増したが、 
1993年には11,496トンの実績に落ちついている。 

  これらのことから、 牛のバラエティミートは、 国内の推定生産量と輸入量を合
わせた1993年の推定総供給量は、 168,202トン余りで、 輸入比率が71.9%と大き
なウエイトを占めているが、 豚のバラエティミートでは、 192,166トンと推定さ
れ、 輸入比率は、 わずか6.0%にとどまっている。 



表3 バラエティミートの輸入量の推移
    チルドタン・臓器 フローズンタン フローズンレバー フローズンその他 フローズン頭・ほほ肉 腸、膀胱、胃 牛関係計 豚(冷蔵冷凍) 腸、膀胱、胃 豚関係計
実数 1989年 3,866 24,101 6,410 68,895 1 9,478 112,751 6,041 350 6,391
1990年 5,486 23,307 9,379 62,278 - 11,553 112,003 3,830 95 3,925
1991年 6,641 30,724 8,751 61,490 3 10,758 118,367 6,913 208 7,121
1992年 7,560 32,918 8,408 62,894 3 12,576 124,359 12,108 683 12,791
1993年 7,601 27,761 8,411 55,482 - 21,615 120,870 9,969 1,527 11,496
構成比 1989年 3.4 21.4 5.7 61.1 0.0 8.4 100.0 94.5 5.5 100.0
1990年 4.9 20.8 8.4 55.6 - 10.3 100.0 97.6 2.4 100.0
1991年 5.6 26.0 7.4 51.9 0.0 9.1 100.0 97.1 2.9 100.0
1992年 6.1 26.5 6.8 50.6 0.0 10.1 100.0 94.7 5.3 100.0
1993年 6.3 23.0 7.0 45.9 - 17.9 100.0 86.7 13.3 100.0
資料:大蔵省「日本貿易月表」

2 業務用需要の動向と特徴
 国内の外食産業の中で、 バラエティミートの主たる実需家としては 「焼肉店」、 
「中華料理店」、 「西洋料理店」、 「酒場・ビヤホール」 等が想定される。 
 
  このうち 「焼肉店」 は、 仕入量規模も大きく、 需要を大きく規定していると推
定され、 平成4年の商業統計によれば、 焼肉店の店舗数は17,307店であり、 年間
販売額が5,339億円となっている。 
 
  また、 開設年次別の動向では、 昭和62年以降になるほど開店店舗比率が高くな
っており、 特に、 従業員規模が20人以上の大きな焼肉店ほど、 この傾向が強く、 
近年の焼肉市場は、 従業員規模が大きな法人経営店舗を中心に、 昭和62年以降に
拡大したものと考えらる。 このことが、 バラエティミートの業務用需要を拡大さ
せただけでなく、 焼肉店の利用を通じて、 消費者に焼肉食材の認知を深めさせ、 
家庭でのバーベキューや焼肉等でのバラエティミートの需要を拡大させたものと
推察される。 
 
  もう一点、 バラエティミート需要を拡大させた事象に、 平成2年の秋から3年
にかけて急速な拡大をみせた 「もつ鍋専門店」 がある。 
 
  これは、 銀座に出店した 「もつ鍋専門店」 が端緒といわれているが、 その後、 
若者、 OLを中心とした消費者層の支持を得て銀座、 渋谷、 六本木、 赤坂といった
繁華街を中心に、 専門店や博多から進出した老舗店舗、 さらには居酒屋から業態
変換した店舗が多数出店し、 一時期には100を上回る店舗があった。 しかし、 そ
の後、 その勢いが急速に衰えている。 

 もつ鍋需要は、 バラエティミートの存在を広くアピールし、 消費者の認知を深
めさせ、 居酒屋での定番メニューとして品揃えさせたことや、 関連メーカー等が
開発したもつ鍋が、 スーパーやコンビニで品揃えされ、 需要の底支えをしている
点で、 その役割は無視できない。 

 また、 全国的な需要拡大にはなっていないが、 仙台の 「牛たん焼き屋」 の役割
も地域的ではあるが大きい。 市内の老舗店舗 「太助」 から始まったこの専門店は、 
確認ができただけで現在22店舗が市内に見られ、 仙台観光の一助を担っている。
 
 しかし、 利用している牛たんも、 量的・質的な安定性や脂肪分のバランス (国
内和牛物では脂肪分が強すぎるため) 、 価格水準といった要因から、 現在では、 
老舗店舗でもオーストラリア等の輸入物が主体であり、 国内物の需要に必ずしも
結びつく構造にはなっていない点では、 国内物の供給体制の改善が必要であると
考えられる。 
 

3 アンケート調査での実態と特徴
  アンケート調査では、 政令指定都市に所在する2, 000の店舗を対象としたが、 
このうち回答の得られたのは109店舗 (回収率5.5%) にとどまった。 

  回答の得られたサンプルの業種内訳は、 日本料理店21(19.2%)、 西洋料理店
10 (9.1%)、 中華料理店26 (23.8%)、 焼肉店24(22.0%)、 酒場・ビヤホール
26(23.8%)、 その他2 (1.8%) の計109店舗 (100.0%)となっている。 

 
(1) 仕入実態と特性
 
 アンケート調査で回答の得られた店舗のうち、 バラエティミートを平成5年に
仕入れたことがある店舗は、 全体平均で69. 7%であり、 このうち、 西洋料理店、 
酒場・ビヤホールが80%以上と高く、 焼肉店、 中華料理店も70%以上の仕入が
認められ、 対象として想定した業種では幅広く利用している結果がうかがえた。 
しかし、 傾向的には仕入実績がある店舗ほど調査に協力的との見方もできること
から、 全国の店舗数に、 この比率を当てはめるのは極めて過大な評価になる。
 
 次に、 食材仕入に占めるバラエティミートの比率としては、 全体平均では、8.6
%と1割以下のシェアであったが、 焼肉店では、22.1%と高い比率を示している。 

 このように、 バラエティミートの外食需要としては、 焼肉店の占めるウエイト
が極めて高く、 次いで中華料理店あるいは酒場・ビヤホールが実需家といえるも
のの、 店舗当たりの仕入金額では、 一桁小さな規模にとどまっている。 


表4 業種別にみた食材率とバラエティミートの占める比率(1店舗当たり)
  食材率(A)(%) バラエティミート比率(B)(%) バラエティミート仕入額(C)(万円)
日本料理店 30.6 1.4(6.0) 37.1
西洋料理店 30.4 3.5(4.9) 54.2
中華料理店 32.9 5.2(6.6) 62.2
焼 肉 店 39.0 22.1(27.9) 541.6
酒場・ビアホール 36.0 7.9(10.3) 91.5
その 他 34.5 -(-) -
全 体 34.0 8.6(13.1) 152.3
注)・食材率(A)は、食材費を年間販売で除して算出した。
  ・バラエティミート比率(B)は、食材費合計に占めるバラエティミート
   仕入額の割合で、仕入がない店舗も含めた総和平均である。
   かっこ内の数値は、有効回答ベースの比率である。
  ・バラエティミート仕入額は、食材費に(B)を乗じて算出した。


(2) 仕入量の動向
 
 表5は、 牛のバラエティミートの仕入量を整理した表であるが、 全体では1
店舗当たり年間392.9kgとなっており、 このうちの67.2%が輸入物であり、 国
産物は29.7%となっている。 業種別には、 やはり焼肉店が仕入量でも最も大き
く、 年間1,429.7kgで、 全体平均の3.6倍の規模を示し、 国産、 輸入の内訳で
は輸入物が69.7%、 国産物が28.0%となっている。 

 次いで、 規模が大きいのが酒場・ビヤホールで126.3kgであり、 国産、 輸入
がほぼ同程度の比率を示しているが、 日本料理店、 西洋料理店、 中華料理店の
3業種では、 いずれも年間仕入量が100kg以下であり、 特に日本料理店では、 
36.1kgと小さく、 中華料理店でも40. 3kgとなっている。 


表5 業種別にみた牛バラエティミートの仕入量(1店舗当たり)
                           (単位:kg/年,%)
  国産物 輸入物 不明 合計
日本料理店 24.6(68.1) 4.2(11.6) 7.3(20.2) 36.1(100.0)
西洋料理店 0.6(0.9) 61.9(95.1) 2.5(3.8) 65.0(100.0)
中華料理店 5.7(14.3) 34.6(85.8) 0.0(0.0) 40.3(100.0)
焼肉店 400.9(28.0) 997.0(69.7) 31.8(2.2) 1,429.7(100.0)
酒場・ビアホール 62.9(49.8) 51.8(41.0) 11.6(9.2) 126.3(100.0)
全体 116.7(29.7) 264.2(67.2) 12.0(3.1) 392.9(100.0)
注)かっこ内は業種別の国産物、輸入物、不明の構成比である。
 同様に、 豚のバラエティミートについて、 表6で整理してみると、 全体では
91.9kgと、 牛物の四分の一程度の仕入規模にとどまっている。 これを国産と輸
入の比率でみると、 国産か輸入かが 「不明」 が34.4%占めているものの、 国産
物が61.3%、 輸入物が4.2%と、 圧倒的に国産物が高いウエイトを占めている。 
  
  業種別には、 酒場・ビヤホールが135.0kg、 中華料理店が121. 4kgと相対的
に仕入量が多く、 不明分を除く国産と輸入の比較では、 ほとんどが国産物とな
っている。
 
  また、 牛物の仕入量が圧倒的に大きかった焼肉店では、 豚物になると95.4kg
にすぎない。 
表6 業種別にみた豚バラエティミートの仕入量(1店舗当たり)
                         (単位:kg/年,%)
  国産物 輸入物 不明 合計
日本料理店 0.0(0.0) 0.0(0.0) 7.7(100.0) 7.7(100.0)
西洋料理店 11.9(54.3) 2.5(11.4) 7.5(34.2) 21.9(100.0)
中華料理店 68.3(56.3) 0.9(0.7) 52.2(43.0) 121.4(100.0)
焼肉店 40.9(42.9) 0.0(0.0) 54.5(57.2) 95.4(100.0)
酒場・ビアホール 107.2(79.4) 12.8(9.5) 15.0(11.1) 135.0(100.0)
全体 56.4(61.3) 3.9(4.2) 31.6(34.4) 91.9(100.0)
注)かっこ内は業種別の国産物、輸入物、不明の構成比率である。
  ここで、 輸入物を使用する理由について整理してみると、 全体平均ではやは
り 「価格が安い」 が55. 8%と最も高く、 次いで 「価格が安定している」、 「品
質が一定している」 がそれぞれ28.8%、 「量的に安定している」 が21.2%、 「必
要部位だけの入手が可能」 が17.3%となっており、 価格の安さが主たる理由と
なっていることが分かる。 
  
  また、 量的なウエイトの高い焼肉店と酒場・ビヤホール、 さらに、 豚物主体
に仕入店舗比率の高い中華料理店と、 牛物主体に仕入店舗比率の高い西洋料理
店をみると、 焼肉店では、 価格要因以外には 「品質が一定している」、 「量的に
安定している」 との利用がそれぞれ43.8%を占めており、 酒場・ビヤホールで
も、 この二つの要因に加え 「必要な量だけの入手可能」 がそれぞれ30.0%の比
率であった。 

 次に、 最近の仕入量の動向では、 牛物では、 「増加した」 との回答が 「減少
した」 よりも多いが、 豚物では逆に 「減少した」 との回答が多い実態となって
おり、 特に、 焼肉店や酒場・ビヤホールでの増加が多く、 日本料理店、 西洋料
理店では、 「減少した」 との回答が多い。 これは、 焼肉店、 酒場・ビヤホール、
中華料理店では、 バラエティミートを使用したメニューが主要な地位を占めて
いるのに対して、 日本料理店や西洋料理店では、 これらのメニューが補完的、 
代替的な位置づけであることから、 正肉の仕入条件が改善されるにしたがって、 
バラエティミートの地位が低下しているのではないかと推察される。 
表7 前年(平成5年)と比較したバラエティミートの仕入動向
  牛物 豚物
  回答数 増加(%) 不変(%) 減少(%) 回答数 増加(%) 不変(%) 減少(%)
日本料理店 9 11.1 55.6 33.3 3 - 66.7 33.3
西洋料理店 8 12.5 62.5 25.0 5 - 60.0 40.0
中華料理店 8 37.5 62.5 - 15 6.7 86.7 6.7
焼肉店 19 42.1 21.1 36.9 5 40.0 40.0 20.0
酒場・ビアホール 19 42.1 47.4 10.5 15 20.0 66.7 13.3
全体 63 33.4 44.4 22.2 43 14.0 69.8 16.2
(3) 主な仕入部位
 
 表8は、 牛のバラエティミートの部位別の仕入状況を示したものである。 こ
れによると、 全体的には、 「タン」 (28.8%)、「レバー」 (22.5%)、 「ハラミ・
サガリ」 (20.2%) といったところがウエイトの高い部位となっている。  

 業種別には、 焼肉店では 「タン」 (24.5%)、 「ハラミ・サガリ」 (23.0%)、 
「大腸・小腸」 (13.9%)、 「レバー」 (13.0%)、 「ミノ」 (10.9%) といった部
位の比率が高く、 それ以外の部位についても5%以下ではあるが仕入れが認め
られ、 酒場・ビヤホールになると、 仕入れの41.1%を 「タン」 が占めており、
次いで比率の高い 「大腸・小腸」 や 「レバー」 と比較し22〜24ポイントの格差
が認められる。 また、 西洋料理店では、 「ハラミ・サガリ」 (28.8%)、「レバー
」 (25.6%)、 「タン」 (15.0%) といった部位の比率が高いが、 「小腸・大腸」
は他の業種と比較して1.3%と低く、 逆に 「テール」 は10.0%と高い比率を示
している。 

 また、 中華料理店では、 仕入量の58. 7%を 「レバー」 が占めており、 次い
で 「ハラミ・サガリ」 が25. 0%で、 その他の部位は仕入れが認められても10
%以下の水準であり、 日本料理店でも、 36. 1kgの仕入量のうちの47. 5%が
 「タン」 であり、 次いで 「レバー」 が20. 0%となっている。 
 
 このように、 焼肉店では仕入量規模が大きいだけでなく、 仕入部位の幅も広
いことが特徴となっており、 酒場・ビヤホールと日本料理店では、 「タン」中心、 
西洋料理になると 「ハラミ・サガリ」、 「レバー」、 「テール」 を中心に、中華料
理店では 「レバー」 を中心とした仕入実態となっている点が指摘できる。 

表8 バラエティミートの部位別仕入量と業種別構成比率
                   (単位:上段kg、下段%)
合計 頭肉 タン ハツ サラミ
サガリ
レバー ミノ ハチノス
センマイ
大腸
小腸
テール その他
日本料理店 36.1
100.0
-
-
17.1
47.5
1.4
3.8
5.9
16.3
7.2
20.0
0.9
2.5
-
-
0.5
1.3
2.7
7.5
0.4
1.1
西洋料理店 65.0
100.0
2.5
3.8
9.8
15.0
5.7
8.8
18.7
28.8
16.6
25.6
-
-
4.4
6.7
0.8
1.3
6.5
10.0
-
-
中華料理店 40.3
100.0

-
-
2.5
6.3
-
-
10.1
25.0
23.7
58.7
3.0
7.5
-
-
1.0
2.5
-
-
-
-
焼肉店 1429.7
100.0
38.6
2.7
350.3
24.5
65.8
4.6
328.8
23.0
185.9
13.0
155.8
10.9
54.3
3.8
198.7
13.9
30.0
2.1
21.4
1.5
酒場・ビアホール 126.3
100.0
-
-
51.9
41.1
4.0
3.2
16.9
13.4
20.7
16.4
3.7
2.9
2.7
2.1
23.7
18.8
2.0
1.6
0.6
0.5
全体 392.9
100.0
5.1
1.3
113.2
28.8
15.7
4.0
79.4
20.2
88.4
22.5
21.6
5.5
10.6
2.7
43.2
11.0
13.4
3.4
2.4
0.6

 豚になると、 全体的には 「レバー」 (38.8%)、 「大腸・小腸」 (26.0%)、 
「豚足」 (16.9%)の3部位の比率が高い点が特徴的といえる。 
 
  業種別には、 仕入量が相対的に大きい酒場・ビヤホールでは、 「大腸・小腸」 
の占める比率が42.1%と高く、 次いで 「レバー」 が23.6%となっており、 中
華料理店では、 47.5%を 「レバー」 が占め、 次いで 「豚足」 が21.0%となっ
ている。 
 
  また、 焼肉店になると仕入の47.5%を 「小腸・大腸」 が占め、 次いで 「豚
足」 が31.2%となっており、 日本料理店、 西洋料理店では、 仕入量の70%を 
「レバー」 が占めている。

表9 豚バラエティミートの部位別仕入量と業種別構成比率
                      (単位:上段kg、下段%)
合計 頭肉 タン ハツ サラミ
サガリ
レバー ガツ 大腸
小腸
豚足 その他
日本料理店 7.7
100.0
-
-
-
-
-
-
-
-
5.4
70.0
-
-
-
-
2.3
30.0
-
-
西洋料理店 21.9
100.0
-
-
3.1
14.0
-
-
-
-
15.3
70.0
-
-
-
-
3.5
16.0
-
-
中華料理店 121.4
100.0
-
-
-
-
-
-
-
-
57.7
47.5
9.6
7.9
21.0
17.3
25.5
21.0
7.6
6.3
焼肉店 95.4
100.0
-
-
9.5
10.0
4.8
5.0
-
-
4.8
5.0
1.2
1.3
45.3
47.5
29.8
31.2
-
-
酒場・ビアホール 135.0
100.0
8.2
6.1
9.2
6.8
3.9
2.9
1.9
1.4
31.9
23.6
-
-
56.8
42.1
9.2
6.8
13.9
10.3
全体 91.9
100.0
3.0
3.3
4.7
5.1
1.4
1.5
0.5
0.5
35.7
38.8
2.8
3.1
23.9
26.0
15.5
16.9
4.4
4.8
 
 このように、 豚の場合には、 業種により仕入部位にかなりの特化が認められ
、 酒場・ビヤホールでは 「大腸・小腸」、 「レバー」 主体、 中華料理店では 「
レバー」、 「豚足」 主体、 焼肉店では 「大腸・小腸」、 「豚足」 主体、 日本料理
店、 西洋料理店では 「レバー」 主体の仕入内容となっている。
 
 さらに、 牛と豚の比較では、 同じ業種であっても牛の場合の方が仕入部位の
幅が広く、 豚の場合には 「レバー」、 「大腸・小腸」、 「豚足」 を中心とした特
定の部位に仕入れが特化しているといった相違点が指摘できる。 

 
(4) メニューの品揃えと売れ筋
 
 昨年 (平成5年) に売れ筋となった部位別調理内容を、 表10、 11でみると、 
牛関係では、 全体的には、 タンの焼物が54.7%と最大の売れ筋メニューとな
っており、 次いでハラミ・サガリの焼物 (37.5%)、 ミノ (21.9%) となっ
ている。 
 
  業種別には、 焼肉店はタン、 ハラミ・サガリ、 ミノの焼物がいずれも57%
以上の比率を占め、 酒場・ビヤホールでも、 タンの焼物が70.0%、 次いでハ
ラミ・サガリの焼物が35.0%、 3番目に大腸・小腸の煮物・鍋物が30.0%と
なっている。
 
 

表10 牛バラエティミートの主な売れ筋(複数回答)−平成5年
                        (単位:上段回答数、下段%)
回答店舗数 牛タン焼物 牛ハラミ・
サガリ焼物
牛ミノ焼物 牛レバー焼物 牛小腸・大腸煮物鍋物 牛タンシチュー
日本料理店 9 5
55.6
1
11.1
1
11.1
2
22.2
-
-
1
11.1
西洋料理店 8 -
-
1
12.5
1
12.5
-
-
1
12.5
5
62.5
中華料理店 8 1
12.5
-
-
-
-
1
12.5
-
-
-
-
焼肉店 19 15
78.9
11
57.9
11
57.9
4
21.1
1
5.3
1
5.3
酒場・ビアホール 20 14
70.0
7
35.0
1
5.0
2
10.0
6
30.0
1
5.0

全体

64 35
54.7
24
37.5
14
21.9
9
14.1
8
12.5
8
12.5


 また、 中華料理店では牛関係での際だった特徴は見られないが、 西洋料理
店では、 タンシチューが62.5%、 日本料理店ではタンの焼物が55.6%と高い
比率を占め、 業種による売れ筋の特徴が認められる。 
  
  次に、 豚関係では全体的には、 豚足の煮物 (25.0%)、 レバーの焼物 (22
.7%)、 レバー炒め物 (21.9%) といったメニューが売れ筋となっている。 
 
  業種には、 日本料理店、 中華料理店では特徴的な点は認められないが、 焼
肉店では豚足の焼物が75.0%と最も比率が高く、 中華料理店ではレバーの炒
め物、 酒場・ビヤホールになると豚足の煮込みが主たる売れ筋となっている。  
 
表11 豚バラエティミートの主な売れ筋(複数回答)-平成5年
                    (単位:上段回答数,下段%)
回答店舗数 豚足煮物 豚レバー
焼物
豚レバー炒め物 豚足焼物 その他
日本料理店 4
-
-
1
25.0
1
11.1
-
-
-
-
西洋料理店 6
-
-
2
33.3
1
12.5
-
-
2
33.3
中華料理店 15
3
20.0
3
20.0
7
46.7
-
-
7
46.7
焼肉店 4
-
-
1
25.0
-
-
3
75.0
-
-
酒場・ビアホール 15
8
53.3
3
20.0
2
13.3
2
13.3
3
20.0

全体

44
11
25.0
10
22.7
14
21.9
5
11.4
12
27.3
(5) 今後の見通し

 上述のようなメニュー数、 売れ筋を前提として、 今後のメニュー数の充実
について、 どのような意向を持っているのかをまとめたのが表12である。 
 
  これによると、 牛関係、 豚関係ともにメニュー数を減らすとの意向は認め
られなかったが、 全体としては現状維持がどちらも80%以上を占めている。 
 
  業種別にみても、 この傾向に大きな相違は認められないが、 牛メニューに
ついては、 31.6%の焼肉店と25.0%の中華料理店が増やすとの意向を示して
おり、 豚関係でも25.0%の焼肉店が同様の意向を示しているが、 相対的に需
要規模が大きな酒場・ビヤホールでのメニュー充実意向はあまり強くない実
態となっている。 
表12 メニューの見通し
 

牛物

豚物

  回答数 増加(%) 不変(%) 減少(%) 回答数 増加(%) 不変(%) 減少(%)
日本料理店 9 11.1 88.9 - 3 - 10.0 -
西洋料理店 8 12.5 87.5 - 6 16.7 83.3 -
中華料理店 8 25.0 75.0 - 15 6.7 93.3 -
焼肉店 19 31.6 68.4 - 4 25.0 75.0 -
酒場・ビアホール 20 10.0 90.0 - 15 6.7 93.3 -
その他 - - - - - - - -
全体 64 18.8 81.2 - 46 9.3 90.7 -

(6)仕入量の見通し

 メニューの充実については、焼肉店以外では、強い意向が認められなかっ
たが、仕入量については、表13が示しているように牛関係では、全体平均
で54.7%の飲食店が、 増加すると回答しており、 豚関係でも41.9%と変化な
しを少し下回っているものの、 減少するの13.7%と比較すると、 増加の見通
しが強いことを示している。 

  次に、 業種別にみていくと、 牛関係では焼肉店(68.4%)、 中華料理店(62.5
%)、 西洋料理店(50.0%) では、 半数以上が今後も仕入量が増えるとの見通
しを示しており、 日本料理店、 酒場・ビヤホールでも、 45%前後の店舗が同
様の意向となっている。 

 豚関係で、 増加の見通しが相対的に強いのは焼肉店、 中華料理店、 酒場・
ビヤホールの3業種で、 いずれも45%以上の回答比率となっているが、 日本
料理店では、 増加するとの回答はなく、 変わらないとの見通しが3分の2と
なっている。 また、 西洋料理店では、 増加する、 変化なし、 減少するがいず
れも同じ回答比率であり、 量的には今後とも変化が見込めない結果であった。 
以上のように、 メニューの充実に比べ、 仕入量の見通しの方が意向が強く、 
今後については、 メニューが広がりを持つことで仕入のすそ野が広がるとい
うより、 メニューとしては既存の定番メニューをベースとしながら、 赤物 (
タン、 レバー、 ハラミ・サガリ) を中心とした焼物が、 需要の周年化等によ
り量的に拡大するといった見通しが、 強いものと推察される。 



表13 仕入量の今後の見通し
 

牛物

豚物

  回答数 増加(%) 不変(%) 減少(%) 回答数 増加(%) 不変(%) 減少(%)
日本料理店 9 44.4 22.2 33.4 3 - 66.7 33.3
西洋料理店 8 50.0 37.5 12.5 6 33.3 33.4 33.3
中華料理店 8 62.5 37.5 - 15 46.7 53.3 -
焼肉店 19 68.4 26.3 5.3 4 50.0 50.0 -
酒場・ビアホール 20 45.0 50.0 5.0 15 46.7 46.7 6.7
その他 - - - - - - - -
全体 64 54.7 35.9 9.4 43 41.9 44.4 13.7


4 業務用需要拡大のための課題
 上述の実態調査結果から、 牛のバラエティミートを中心に、 今後の需要拡
大のための課題を、 以下に整理してみることとする。 
  
  バラエティミートの国内流通の特徴としては、 全国それぞれのと畜場を中
心とし、 域内の実需家を対象とした域内流通が主流となっている点である。 
 
  その背景としては、 全国規模でみると1日のと畜頭数は大きな数値となる
が、 個別のと畜場になると (例えば芝浦では、 牛340〜360頭/日であるが、 
福岡になると60〜90頭/日の処理頭数になる。) 処理頭数が限られており、 
そのため、 と畜場から出るバラエティミートも小規模分散型の生産となるこ
とから、 地域の実需家を主体とした流通になりやすく、 一部の部位を除けば
全国的な流通にまで展開していない。 

  また、 上述の点と関連して、 小規模分散型の生産と域内流通が主体である
ことから、 流通段階における規格が地域ごとに異なり、 全国的な規格の統一
化が十分に進んでいない。 さらに、 全国各地の実需家が、 同一の条件で全国
的な需給情報や価格情報を入手、 利用することができないといった点もある。 
 
  一方、 外食等の実需家からは、 国産牛のバラエティミートは、 価格面で割
高といった声が聞かれるだけでなく、 日々の処理頭数が、 と畜場単位でみる
と小さいことから、 求める規格や品質の部位を量的に確保することが難しい。 
また、全国のと畜場から、 求める規格や品質の部位を入手しようとしても、 
それぞれに規格が異なることから、 現物を見ないと品質の判断が難しく、 国
内産の使い勝手がよくないといった声が聞かれる。 
 
  以上の点から、 一つ目は、 焼肉店や家庭のバーベキューを中心とした、 ハ
ラミ、 サガリ、 レバーなどの赤物需要を中心とした需要の周年化を支える、 
食材供給の質的・量的、 さらには価格的な安定化を進めることが必要である。
 
 そのためには、 外食等の業務用需要を前提とした全国的な規格・品質の標
準化が必要と考えられる。 
 
  二つ目は、 上述の点とも関連するが、 焼肉店を中心に赤物需要が拡大して
いる中で、 赤物需要に画一的に対応するのではなく、 客単価の高い外食店に
は高級な和牛物を提供し、 客単価の中位の店舗にはその他の国産の肥育物を
提供できるような、 食材の開発と企画の提案が、 今後は必要と考えられる。
 
 三つ目は、 規格の統一化と併せ、 外食等の実需家も利用することができる
ような、 全国的な流通、 価格情報の提供体制を充実することが求められる。 
特に、 多店舗展開しているような大手企業になるほど、 一定品質の食材を全
国的に調達する必要があることからも、 この点の整備が、 需要開拓の課題と
思われる。
 
 四つ目は、 実態調査では、 バラエティミートのメニューの広がりはあまり
認められず、 今後の意向も弱いことから、 既存メニューを特選、 上、 並とい
ったような奥行を持たせるだけでなく、 メニューの幅を持たせることが必要
であり、 そのためには食材の供給サイドからも新規メニューの開発と提案が
求められる。 

 
* 本報告は、 平成6年度に畜産振興事業団の委託で実施された 「バラエティ
ミートの外食需要動向に関する調査研究」 を委託研究者が要約したものであ
る。 村は農協とは別個にハムの生産と販売を始めたのである。 
 
 

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