最近の畜産物の需給動向

  
 国内の主要畜産物の短期需給動向を毎月トレースします。 
・原データは、 巻末の参考資料を御参照願います。 
・( ) 内数値は、 対前年増減率です。
・季節調整は、 米国商務省のセンサス局法 (X−11) によっています。  
・牛肉及び豚肉の数量は、部分肉ベースです。

                                 乳業部、食肉生産流通部、企画情報部

7月の需要概要
  生産量
(トン)
輸入量
(トン)
推定出回り量
(トン)
推定期末在庫量
(トン)
国産卸売価格
(円/kg)
牛肉 34,487
(▲1.0%)
60,742
(30.3%)
93,216
(9.5%)
91,607
(▲2.5%)
935
(▲6.0%、東京・省令)
豚肉 67,219
(▲7.3%)
58,446
(39.3%)
120,611
(3.7%)
97,936
(5.0%)
513
(▲5.7%、東京・平均)
鶏肉 103,986
(4.7%)
52,724
(42.9%)
149,124
(9.6%)
120,520
(48.9%)
462
(▲5.7%、東京・平均)
  生乳生産量
(トン)
飲用牛乳等
向け処理量
(トン)
バター 脱脂粉乳
生産量
(トン)
大口需要者向け価格(円/kg) 生産量
(トン)
大口需要者向け価格(円/25kg)

牛乳・乳製品

699,855
(▲3.7%)
451,178
(▲6.3%)
5,884
(6.1%)
951
(▲0.6%)
14,291
(0.8%)
13,568
(2.6%)
  4〜6月期生産量
(トン)
7月輸入量
(トン)
4〜6月期推定出回り量
(トン)
7月国産卸売価格
(円/kg)

鶏卵

649,203
(▲2.4%)
8,907
(7.5%)
678,952
(▲1.3%)
151
(12.7%、東京・全規格平均)
(注)( )内は対前年増減率

 

〔  牛  肉  〕
7月の生産量 前年同月をわずかに下回る  

  7月の生産量は、 3万4千487トン (▲1.0%)と前年同月をわずかに下回
った(図1)。 和牛は、 めす牛が前年同月をわずかに上回ったものの(2.7%)、 
去勢牛がと畜頭数の減少からわずかに下回ったため (▲1.1%)、 合計では1
万4千832トン(0.7%)と前年同月並みであった。 
 
  乳牛は、 乳用肥育おす牛が前年同月をわずかに上回ったものの (2.7%)、 
めす牛がと畜頭数の減少からやや下回ったため(▲5.9%)、 合計では1万9
千69トン(▲1.3%)とわずかに下回った。
 
 乳用めす牛のと畜頭数は、 経産牛飼養頭数が減少している中で、 今年度の
生乳の計画生産目標が対前年度比102.8%に設定され、 搾乳牛の分娩後搾乳
日数が伸びているとみられることなどから、 前年同期に比べてかなり減少(
4〜7月累計▲7.8%)している。 


7月の輸入量 関税率の引き上げを前に急増した冷凍品

 7月の輸入量は、 6万742トン (30.3%) と前年同月をかなり大きく上回
った (図2)。 特に冷凍品は、 8月からのセーフガード発動による関税率の
50%への引上げを前に3万431トン (38.6%) と急増した。 

 米国産は、 冷蔵品の増勢が止まらず、 冷凍品も焼き肉用の 「ばら」 を中心
に輸入が増え2万6千678トン(26.0%)、 豪州産も、 主に加工用に回る冷凍
品 「その他」 が前年同月の2.6倍と激増し、 合計で3万146トン(33.0%)と、 
いずれも大幅に前年同月を上回った。 

 事業団の品目別輸入動向調査によると、 8月の輸入数量は5万8千トン(
冷蔵品3万4千トン、 冷凍品2万4千トン)、9月は5万6千トン(冷蔵品3
万3千トン、 冷凍品2万3千トン)、 10月は冷蔵品は9月に比べやや減少し
、 冷凍品は9月並みと見込まれる。 



7月の推定出回り量 引き続き前年同月をかなり上回る


  7月の推定出回り量は、 9万3千216トン (9.5%)と前年同月をかなり上
回った (図3)。 国産品は、 わずかに下回ったものの、 輸入品は輸入量の増
加を受け、 4月以降2桁の伸びが続いている。 

 

7月の推定期末在庫量  大きく減った未通関在庫量 

 7月の推定期末在庫量は、 輸入品、 国産品ともに前年同月を下回り9万
1千607トン (▲2.5%) となった。 
 
 未通関の輸入品在庫量は、 8月1日からの冷凍品の関税率引き上げ(48.1
%→50. 0%) 前にできるだけ通関を切ってしまおうとする動きから、 4千
146トンと前月の半分強にまで減った。 



7月の国産枝肉卸売価格 総じて前年同月を下回る

 7月の省令価格 (東京市場) は、 935円/kg (▲6.0%) と前年同月をか
なり下回った (図4)。 
 
 去勢和牛のA5、 A4はそれぞれ、 2,374円/kg (▲7.7%)、 1,719円/
kg (▲7.7%) と前年同月をかなり下回った (図5)。 
 
 乳用種去勢牛のB2は競合する輸入牛肉の出回り量が大幅に増加し、 かつ
、 価格が大きく低下していることから、 557円/kg (▲13.6%) とかなり大
きく前年同月を下回った。 一方、 交雑種去勢牛のB3は1,096円/kg(▲1.6
%)と前年同月をわずかに下回った。 
 
  8月の省令価格 (速報値・瑕疵ある枝肉を除く。) は、 999円/kgであっ
た。 去勢和牛のA3、 A2は量販店等の需要が強く堅調であった。 

 

7月の輸入牛肉仲間相場 500円を割る豪州産冷蔵グラス・フルセット

 7月の豪州産牛肉の仲間相場は、 主要品目の冷蔵品 「グラスフェッド・フ
ルセット」 が供給過剰感から497円/kg (▲20.2%)と500円台を割ったまま
であった (図6)。 ステーキ用の冷蔵品「キューブロール」も、 904円(▲30.3
%)と大きく値を下げている。 
 
 北米産牛肉は、 冷凍品 「チャックリブ」 が、 好調な焼き肉需要を反映して
1,097円/kg (55.8%)と6月に引き続き1,000円台に乗せ、 輸入牛肉のほと
んどの品目が大きく値を下げる中で、 唯一、 大きく値を上げている。 



〔  肉 用 子 牛  〕
7月の黒毛和種の価格  前年同月をかなり大きく上回る

 7月の黒毛和種の取引は、 頭数が3万1千938頭(▲14.0%)と前年同月を
かなり大きく下回ったことなどから価格(おす・めす平均) は、 34万6千円
と前年同月をかなり大きく上回った(22.7%、 図7)。 
7月の乳用種の価格  前年同月と同水準
 7月のホルスタイン種の取引価格(おす・めす平均) は5万7千円(1.8%
)と前年同月をわずかに上回った。 また、 乳用種ヌレ子の取引価格は、 5万
3千円(10.4%)と引き続き前年同月をかなり上回った。 
 
 今月のトピックス
大幅な伸びを続けるハンバーグパティ生産
 4月に大手ハンバーガーチェーンが打ち出した大幅な価格引き下げは、 ハ
ンバーガー全体の消費を刺激し、 売上げは好調といわれている。 このことは
、 ハンバーガーパティのJAS (日本農林規格) 格付実績にあらわれており、 
今年1月〜6月のハンバーガーパティの格付数量は累計で1万2千710トン
と前年同期を大幅に上回っている(46.4%)。 
 
 同期の輸入状況をみても、 ハンバーガーパティなどに仕向けられる 「冷凍
品その他」 が主要品目の中で一番大きく伸びている。 

〔  豚 肉  〕
7月の生産量 依然減少傾向が続く

 7月の国内生産は、 長期的な母豚の飼養頭数の減少に加え、 昨夏の猛暑に
より、 繁殖成績の回復に遅れが生じたとみられることから、 と畜頭数は129
万6千頭と前年同月をかなり下回った(▲7.3%、 図1)。 生産量は、 と畜頭
数の減少を受けて、 6万7千219トンと前年をかなり下回った(▲6.4%、 図
2)。平均枝肉重量は (全国平均)、 74.1kgと、 生産性が極端に低下した前年
をわずかに上回った(1.0%)。 
 
  8月のと畜頭数 (速報値) は、 135万9千頭と前年同月をかなり下回り(▲
7.8%)、 6年6月から15ヵ月連続して前年を下回ることとなった。 


7月の輸入量 過去最高を記録
 7月の輸入量は、 生産量の減少等を背景に、 5万8千446トンと前年同月
を大幅に上回り(39.3%、 図3)、 月間輸入量では過去最高を記録した。 
 
  冷蔵、 冷凍別に見ると、 冷蔵品は、 6年8月以降12ヵ月連続して2桁の伸
びを示しており、 7月は1万5千トン台となった (39.0%、 図4)。 国別で
は、 アメリカ、 台湾からの輸入が、 依然前年同月を大幅に上回って推移して
いる(それぞれ、 55.1%、 30.6%)。 
 
 一方、 冷凍品は、 6月末に増加した未通関在庫が通関されたことに加え、 
加工向けの輸入豚肉の需要が増加していることから、 4万3千288トンと前
年同月を大幅に上回った(39.4%)。 

 加工品等を含むセーフガード(SG) 対象品目の7月の輸入量は5万8千604
トンとなり、 7年4月からの累計では20万1千331トンとなった。 

 
7月の推定出回り量 前年同月をやや上回る
 7月の推定出回り量は、 12万611トンと前年同月をやや上回った(3.7%、図
5)。 国産品は6万8千468トンと生産量の減少を受けて、 前年同月よりやや
下回った (▲5.7%)。 一方、 輸入品は5万2千143トンと国産品の出回り量
の減少を補うように増加し、 前年同月を大幅に上回った(19.3%)。 

 推定出回り量を構成する消費の動向をみると、 6月の豚肉の家計消費量(全
国1人当たり)は、 382gと4月から3カ月連続して前年同月を上回った(1.0%
)。 6月の豚肉加工品仕向量は、 3万5千69トンと前年同月をやや上回った(
3.8%)。 食肉加工品生産量を品目別にみると、 ロースハム、 ベーコン、 ソー
セージが前年同月を上回り(それぞれ、 4.3%、 2.7%、 6.2%)、 全体でもや
や上回った (3.5%)。 


7月の期末在庫量 国産品在庫は大幅な前年同月割れ

 7月の推定期末在庫量は、 9万7千936トンと前年同月をやや上回った(5.0
%、 図6)。国産品は、 前年同月と比べて、 出回り量がやや下回ったものの、 
生産量がかなり減少したことから、 在庫の取り崩しとなり、 1万4千611トン
と前年同月を大幅に下回った(▲26.4%)。  一方、 輸入品は、 輸入量の大幅な
増加から、 在庫の積み増しとなり、 8万3千325トンと前年同月をかなり上回
った(13.5%)。 


7月の国産枝肉価格  輸入の増から前年同月を下回る

  7月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 国内生産量がかなり減少したもの
の、 冷蔵品の輸入量が大幅に増えたことから、 513円/kgと前年同月をわずか
に下回った(▲1.3%、 図7)。 
 
  8月の卸売価格も、 出荷頭数が前年をかなり下回ると見込まれるものの、 
輸入品の出回り量が大きく増加したとみられ、 525円 (速報値) と前年同月を
かなり下回った (▲8.4%)。 
 
  また、 7月の国産豚肉の仲間相場は、 主に加工用に仕向けられる、 うで、 
ももが冷蔵、 冷凍いずれも前年同月を上回ったものの、 その他の部位は値を
下げた。 


7月の輸入豚肉仲間相場  現地相場は上げ基調

  7月の冷蔵輸入豚肉の仲間相場は、 米国、 台湾の現地相場が値を上げてい
ることもあり、 6月に比べて総じて値を上げたものの、 もも肉以外の部位は
前年同月を下回った。 輸入量の増加から、 ロースは台湾産が775円、 アメリカ
産は700円/kgと前年同月の価格と比べて、 いずれもかなり下回った(それぞ
れ、 ▲14.0%、 ▲9.9%、 図8)。 ヒレは台湾産が1,017円/kg、 アメリカ産
は924円と、 いずれも前年同月をかなり下回った (それぞれ、 ▲12.6%、 ▲
14.8%)。
 
 一方、 冷凍輸入豚肉の仲間相場は、 6月に比べて、 ヒレ、 うで、 ももが値
を上げ、 前年同月の相場と比べても上回った。 特に台湾産は、 もも、 うで、 
ヒレ、 いずれも値を上げ、 前年同月を大きく上回った (28.7%、 13.9%、 8.2
%)。 

 
今月のトピックス
〜ビタミンパワーだ!ビタミンたっぷり国産豚肉〜
 
  財団法人日本食肉消費総合センターと社団法人全国養豚協会は、 国産豚肉の
消費拡大を図るため、 7年度第1回目の消費拡大PRキャンペーンを9月10日か
ら10月10日まで実施する。 
 
  このキャンペーンは、 ビタミンB1、 B2等を多く含む豚肉の特性をテーマ
に掲げ、 「ポークマン」 をイメージキャラクターとして、 テレビCMを流す他、 
小売店の店頭で販売促進資材を用いた活動を行い、 総合的に消費者に対し国産
豚肉をアピールするもの。 

 最近は国産豚肉の生産量が漸減している一方で、 輸入量が急増している。 今
回のキャンペーンで、 国産豚肉の消費が拡大が促進し、 力強い 「ポークマン」 
のように豚肉の生産にも弾みがついて欲しいものだ。
   

  〔  鶏  肉  〕 
7月の生産量  前年同月をやや上回る

 7月の生産量は、 2カ月前のひなえ付け羽数が前年同月をわずかに下回った
にもかかわらず (▲0.7%)、 10万3千986トンと前年同月をやや上回った(4.7
%、 図1)。 これは、 昨年7月の生産量が、 猛暑の影響による1羽当たりの出
荷重量の減少や出荷率の低下から、 例年の水準を大幅に下回ったことによる。 
 
 今後の生産指標となる7月のブロイラー用ひなえ付け羽数は、 5千281万羽
と前年同月をやや下回った (▲4.4%、 図2)。 農林水産省統計情報部によると、 
8月、 9月、 10月のブロイラー用ひな出荷羽数は、 それぞれ前年の同月と比べ
て94%、 98%、 92%と、 いずれも前年水準を下回ると見られている。 
 
 我が国の生産量の約半分を占める主要三県(岩手、 宮崎、 鹿児島)の7月のひ
なえ付け羽数は、 岩手が787万羽(▲1.2%)、 宮崎が979万羽(3.1%)、 鹿児島
が995万羽 (▲0.2%) となった。 
7月の輸入量  過去最高を更新
 7月の輸入量は、 5万2千724トンと前年同月を大幅に上回り、 過去最高を
記録した (42.9%、 図3)。 
 
 国別に見ると、 中国からの輸入量は、 今年3月以降、 一本調子で増え続けて
おり、 2万4千223トン(108.5%)と6月に引き続き過去最高を更新し、 シェ
アも45.9%に伸ばした。 また、 ブラジルからの輸入量は、 タイを上回る9千224
トンとなり、 4月から7月までの累計でも3万2千125トンと前年同期を大幅に
上回り(46.6%)、 中国に次ぐ伸びを示している。 
 
 7月の家禽肉の調整品 (焼き鳥用串刺しが中心と見られる。) の輸入量は、 4
千121トンと前年同月を大幅に上回った (50.8%、 図4)。 全体の輸入量の大部
分を占める主要3カ国は、 タイが1千892トン、 中国が1千434トン、 アメリカ
が625トンと、 いずれも前年同月より大きく増加した(それぞれ、 32.8%、131.3
%、 15.6%)。 

 
7月の推定出回り量 前年同月をかなり上回る 

 7月の推定出回り量は、 14万9千124トンと前年同月をかなり上回った(9.6
%、 図5)。 輸入品は4万4千985トンと大幅に (20.3%)、 国産品は10万4千
139トンとやや前年同月を上回った(5.5%)。 


7月の推定期末在庫量  過去最高を記録
 7月末の推定期末在庫量は、 12万520トンと過去最高を記録し、 前年同月を
大幅に上回った(48.9%、 図6)。 輸入品は、 期首在庫が高水準だったことに
加え、 輸入量の大幅な増加などから、 10万5千666トンと前年同月を大幅に上
回った (60.8%)。 国産品は、 1万4千854トンと前年同月をわずかに下回っ
た(▲2.3%)。 

 
7月の国産鶏肉の卸売価格  前年同月を下回る

  7月のもも肉、 むね肉の卸売価格 (東京・平均) は、 輸入品の増加に伴い
それぞれ462円/kg、 239円/kgと、 前年同月をやや又は大幅に下回った(▲
5.7%、 ▲26.0%、 図7)。 
 
  8月の卸売価格は、 盆明けにかけて堅調に推移し、 月末にはもも肉が516
円/kg、 むね肉が296円/kgとなった (農林水産省 「畜産物市況週報」)。 



8月の輸入鶏肉の卸売価格  中国産もも先月と変わらず
  7月の輸入鶏肉の卸売価格 (関東) は、 中国産もも肉が355円/kgと6月
より20円下げ、 前年同月をわずかに下回った (▲1.7%)。 タイ産もも肉は
373円/kgと前年同月をやや下回った (▲5.1%)。 
 
  8月の価格は、 中国産もも肉が355円/kgと7月と同じで、 前年同月と比
べると、 わずかに下回った (▲1.4%)。 タイ産もも肉は375円/kgと前年同
月をかなり下回った (▲6.2%)。 

 今月のトピックス
中国からの輸入量、 5カ月連続で最高記録更新 

 中国からの輸入の勢いは、 とどまるところを知らない。 平成6年度の総輸
入量47万7千トンの31%を占め、 米国とタイを抜いて、 わが国の輸入ブロイ
ラーのNo.1の地位を占めた。 その後も平成7年4月〜7月の累計では43%、 
7月だけでは46%とさらにシェアを伸ばし、 過半を占める勢いを見せている。 

 最近の中国のブロイラー産業は、 外国資本導入によりインテグレーション
化が進み、 それに伴って生産から加工・流通までの合理化、 飼育規模の拡大、 
衛生管理技術の向上など、 ブロイラーの輸出基盤も整ってきているようであ
る。 

  現在のところ、 わが国に極めて近いことと、 低コストで生産できる中国が、 
他の輸出国に比べて優位に立っているが、 中国国内の畜産物消費の拡大につ
れて、 将来とも安定した鶏肉の大供給源となり得るかどうか、 まだ不透明な
部分もある。 

 
〔 牛乳・乳製品 〕 

7月の生乳生産量  前年同月をやや下回る
 7月の生乳生産量は、 昨年の猛暑による繁殖成績の低下や乳牛頭数の減少
等により69万9千855トンと引き続きやや前年同月を下回った (▲3.7%)。 
北海道、 都府県別にみると、 北海道はわずかに、 都府県はやや前年同月を下
回った (それぞれ▲2.0%、 ▲5.0%)。 また、 1日当たりの生乳生産量の推
移を季節調整済み値でみると、 5年春以降、 ゆるやかに減少している(図1)。 
  
7月の飲用向け処理量  前年同月をかなりの程度下回る
 7月の飲用牛乳等向け処理量は、 梅雨の長雨もあって需要が伸びず、 45万
1千178トンと前年同月をかなりの程度下回った(▲6.3%)。 また、 1日当た
りの処理量の推移を季節調整済み値でみると、 6年秋以降は減少傾向にある
 (図2)。 
 
  7月の乳製品向け処理量は、 生乳生産量が減少したものの、 飲用牛乳等向
け処理量も前年をかなり下回ったことから、 23万7千893トンと前年同月をわ
ずかに上回った (2.3%)。
 

7月の脱脂粉乳価格 引き続き高値 

 7月のバターの生産量は、 昨年が猛暑の影響で極めて低水準だったこともあ
り、 今年は5千884トンと前年同月をかなりの程度上回った (6.1%、 図3)。 
また、 脱脂粉乳は1万4千291トンと前年並みとなった (0.8%、 図4)。 
 
  7月のバターの大口需要者向け価格は、 6月まで8カ月連続で950円/kgと
あったが、 7月は951円/kgとなった (▲0.6%)。 脱脂粉乳は、 1万3千568
円/25kgと前年同月をやや上回り(2.6%)、 安定指標価格の水準を5.7%上回
った。 
 今月のトピックス
−生乳の流通全国一斉調査−

 (社) 中央酪農会議は9月5日と8日に生乳流通全国一斉調査を行った。 こ
れは、 全国のクーラー・ステーション等の生乳輸送拠点から、 乳業工場に送乳
される生乳の発地別、 着地別の乳量を把握して、 生乳の輸送実態を把握し、 今
後の生乳調整方法や計画生産のあり方等の検討に役立てようというもの。 生乳
は、 酪農家戸数の減少や産地のシフトから県域を越えた流通が増加しているた
め、 県間、 地域間での需給調整が重要な課題となっている。 また、 調査結果が、 
輸送コストの削減にもつながることが期3年度から伸び続けていた生産量だが、
3万758トン(▲8.0%)とかなり前年を期待される。 

〔  鶏  卵  〕 

4〜6月期の生産量  前年同期をわずかに下回る

  4〜6月期の生産量は、 64万9千203トンと前年同期をわずかに下回った
(▲2.4%、 図1)。 
 
  7月の採卵用めすのひなえ付け羽数は、 741万7千羽と前年同月をやや下
回った(▲4.9%)。 また、 農林水産省統計情報部の聞き取り (8月上旬) に
よる採卵用めすのひなの出荷計画によると、 出荷の見通しは、 前年同月に比
べて、 8月が100%、 9月が92%、 10月が99%である。 


7月の輸入量  引き続き前年同月をかなり上回る
 7月の鳥卵類の輸入量 (殻付き換算)は、 8千907トンと引き続き前年同
月をかなり上回った(7.5%、 図2)。  輸入品目別にみると、 主に菓子・ケ
ーキ類の原料に使用される全卵粉が255トン (110.9%) と大幅に、 ケーキ
・アイスクリーム類の原料にされる卵黄粉が262トン(6.2%) とかなり前年
同月を上回った。 

 
4〜6月期の推定出回り量  前年同期をわずかに下回る
 4〜6月期の推定出回り量は、 67万8千952トン(▲1.3%)で前年同期を
わずかに下回った。 
  
7月の卸売価格  前年同月をかなり上回る
 7月の卸売価格 (東京・全規格平均) は、 151円/kgで引き続き前年同月
をかなり上回った (12.7%、 図3)。 
 
  これは、 前年が安値で推移したためで、 今年2月以来の下げは止まらず、 
前月より2円値を下げた。 

 今月のトピックス
  9月1日、  (社) 全国鶏卵価格安定基金と (社) 全日本卵価安定基金は、 
8月の標準取引価格が150円82銭/kgと今年度の補てん基準価格の163円/kg
を下回ったため、 1kg当たり10円の補てんを行うことを決定した。 これで、 
補てんは、 4カ月連続の実施となった。 


最近の価格補てん実施状況     (単位:円/kg)
年度 5年度 6年度 7年度
基準価格 173 163 163
  補てん額 補てん額 補てん額
4月 39 1 -
- 20 6
38 22 14
11 28 15
9 10 10
19 - -
10 36 - -
11 33 - -
12 16 - -
@6 /A3 - -
- - -
- - -
@(社)全国鶏卵価格安定基金
A(社)全日本卵価安定基金協会


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