◎地域便り


酪農ビジネスに牧草地はいらない!?

北海道/大内 美由紀

 3月7日NHK深夜番組の 「列島リレードキュメント」 で、 北海道幕別町にある

牧草地をまったくもたない牧場が紹介された。 



 年商16億円の飼料会社社長高木富雄さん (50才) が経営する牧場で、 施設は

1.6haの土地に5棟の牛舎だけ。 高木さんは、 餌を合理化すれば酪農はビジネス

になると考えて一昨年から経営を始めた。 



 外国 (主にアメリカ) から輸入した牧草や飼料穀物などを混合し、 さらに必要

なビタミンなどを加えたものを給与するという。 これは牛にとって完全食品であ

り、 輸入原料のコストが安いだけではなく、 ほかのエサを与える必要がないので

効率的な運営ができると話していた。 



 牧場のスタッフは4人 (うち女性1人) で、 1人当たりの飼養頭数は47頭にな

る。 十勝の一般的な酪農家よりも規模が大きい。 



 仕事のほとんどは搾乳作業で、 このときに牛の体温測定などの健康管理もすべ

て機械によって行われ、 徹底的な合理化が図られている。 高木さんは、 現在の乳

価76円が将来は60円になっても対応できると考えている。 



 スタッフは、 早朝と夕方の4時間ずつの合わせて8時間働き、 4人のうち毎日

1人が休むという完全週休2日制である。 労働条件を良くしなければ若者は来て

くれないという。 



 高木さんは、 経営的には成り立つめどがついたが、 これからの問題点として次

の点を指摘している。 



・牛に新鮮な青い草を食べさせずに健康が維持できるか

・狭い牛舎の中だけで運動不足にならないのか

・輸入飼料の価格変動がどうなるか



ただ、 世界情勢を見ながら、 より安いところから飼料を調達できるというメリッ

トもある。 

 

  高木さんの牧場は工場そのもの。 それは、 新しい酪農ビジネスの試みともいえ

そうだ。 




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