◎地域便り


高品質国産食肉の生産をめざして

群馬県/本木 栄一

 群馬県佐波郡玉村町にある食肉コンビナートは (株) 群馬県食肉卸売市場、 

(株)群馬県食肉公社を中核としているが、 去る2月23日に全従業員を対象に研修

会を開催した。 



 研修会の目的は、 輸入が年々増加するなかで、 国産食肉のみを扱う本コンビナ

ートとしては、 国産食肉の流通実態と今後のニーズに対する理解を深めることに

あった。 



 食肉コンビナートは対米牛肉輸出認定施設を有し、 食肉の衛生管理については

十分な配慮がなされている。 特に、 工場内や食肉の一般生菌数等の低減などに日

頃から努力している。 しかし、 講師のストークRMS社ベリークラークス氏による

と、 認定施設は日本の中ではと畜頭数、 設備等に関してかなり高いレベルにラン

クされるが、 と畜解体段階でのダーティーゾーンとクリーンゾーンの区分けが完

全に分離されていない点など、 ヨーロッパの衛生基準と比べると、 まだまだ改善

の余地があると指摘された。 



 また、 大手量販店のバイヤーからは、 今後の国産食肉について、 と畜から部分

肉加工まで同一施設内で一貫した作業形態や自主検査等のための衛生基準マニュ

アルが確立され、 さらに、 輸入食肉以上の衛生管理基準をクリアーした施設以外

で処理された肉は取り扱いできなくなるのではないか、 との厳しい見方が示され

た。 



 抗生物質や農薬の残留チェックをはじめ一般生菌数の低減など、 生産段階から

一体となった今後の取り組みの必要性が改めて認識された。 



 同コンビナート内でのカット肉の出荷割合は、 地方食肉卸売市場が中心という

事情から、 産地の食肉センターと比べてまだまだ低い。 しかし、 食肉センターの

再編整備の必要性等、 食肉関連施設の経営環境の悪化が叫ばれている中で、 今後

の事業展開いかんでは事業取扱高はさらに伸びる要素も持っている。 近い将来必

ず導入されるであろうHACCPへの対応を含め、 各社、 各セクションごとに食肉の

品質向上と衛生対策についてさらに改善を進めることが約束された。 


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