◎地域便り
たい肥販売の新システム
愛知県/山崎 博太
愛知県の東部、 中山間地に位置する人口3, 500人の作手 (つくで) 村に、 総事
業費1億5千万円をかけてたい肥処理施設が平成7年4月に完成した。 事業主体
は酪農家4戸で、 搾乳牛200頭分のふん尿を処理する。
施設は、 発酵舎約1, 000平方メートル、 乾燥ハウス300平方メートル、 袋詰作
業所380平方メートルから成り、 いずれも木造である。 年間のふん尿処理量は約
2,800トン、 製造たい肥は1,100トンを計画している。 発酵舎の投入槽に、 生ふん
と一緒に水分調整剤として、 乾燥ハウスで乾燥させたおがくずと販売用たい肥を
入れると、 スクリューコンベアーで自動的にかく拌されながら搬送され、 縦横高
さが、 6×1.8×2mの発酵桝に入る。 そこで、 送風装置により20日間強制発酵が
行われた後、 70日間のたい積と切り返しを経て製品となる。 完成までの所要日数
は約3ヶ月で、 製品は全量が40リットルの袋詰めで販売される。
この程度の規模の処理施設は、 県下では格別めずらしくはない。 特徴は、 この
袋詰め製品の販売システムにある。 全量を、 施設建設を請負った設計業者が200〜
300/袋で引き取って販売する。 販売に不慣れな農家に代わって、 営業のプロが
販売を担当する訳である。
この背景には、 最近の有機野菜ブームや社会的な減化学肥料志向があり、 それ
に伴い、 たい肥の広域流通が徐々に活発化し、 その販売が市場に乗り始めたこと
がある。
施設が稼働し始めてからそろそろ1年、 今までのところこのシステムは極めて
順調に機能しており、 中山間地における基幹的たい肥化施設として、 その将来が
注目されている。
元のページに戻る