◎地域便り


育成技術の確立による出荷子牛の高位平準化

鹿児島県/穎川 隆

  鹿児島県の姶良 (あいら)・伊佐地域にある4つの農業改良普及所では、 子牛

市場に出荷される牛の高位平準化を促進するため、 「子牛育成技術向上プロジェ

クト」 と呼ばれる取り組みを実施している。 



 この背景には、 最近、 過肥な子牛の市場出荷がかなり少なくなってきたものの、

270日令で240kgに満たないような発育不良の子牛の出荷が増えつつあることがあ

げられる。 



 加治木農業改良普及所が管轄する姶良郡蒲生(かもう)町 (農業戸数130戸、 繁

殖雌牛飼養頭数450頭) では、 今回のプロジェクトの対象農家として地域のリー

ダー5戸が選ばれ、 2か月に1回、 関係者 (町、 農協、 普及所の職員) の調査や

指導を受けている。 



 内容は、 出荷前の子牛全頭の体重、 体高、 胸囲を測定するとともに、 飼料給与

の内容、 畜舎環境、 疾病の有無などを調査するもの。 また、 子牛の月齢ごとの発

育の推移や季節ごとの発育の傾向なども調査し、 次回の調査までの改善方策を定

め実践している。 測定値の評価は、 子牛の生後日令に応じて期待される数値に対

する充足率 (パーセント) で表示し、 パソコンによりグラフ化し農家に手渡す方

法を取っている。 



 農家からは、 努力の成果が2か月に1回数値化されることが励みとなり、 また

他の農家との比較もできると喜ばれている。 また、 栄養比 (体重/体高) が改善

されるなど取り組みの成果も出てきつつある。 



 4普及所では、 約200頭の子牛 (対象農家数14戸) のデータを2年間 (平成7〜

8年度) で取りまとめ、 得られたデータを検討することにより、 季節ごとの飼料

給与体系や畜舎環境の改善など子牛育成技術の改善方策を策定し、 地域の子牛生

産農家へ普及することとしている。


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