岩手県岩手郡玉山村の酪農専業経営、 亀井慶郎さん (64歳) は、 受精卵移植技 術を用いて、 和牛を外部導入することなく、 和牛繁殖経営への転換に成功した。 亀井さんは、 平成2年度から搾乳牛12頭に和牛の受精卵を計画的に移植し、 生 まれた和牛雌子牛を自家保留し、 現在、 和牛の繁殖雌牛7頭を飼養している。 亀井さんの酪農経営は順調であったが、 後継者不在のために、 将来の経営を考 えた場合、 体力的に酪農を継続していくのは困難と判断した。 そこで当時普及が 進められていた受精卵移植技術に着目し、 乳牛を和牛受精卵の受卵牛として利用 し、 完全に和牛経営に切り換えることに踏み切ったのである。 経営転換に要した経費は、 受精卵移植技術料だけですみ、 高価な和牛導入に必 要な資金を確保する必要はなかった。 また、 和牛の飼養管理技術についてもこの 間に身につけることができた。 和牛繁殖経営となった現在、 繁殖技術は人工授精が中心であるが、 今後も受精 卵移植技術を駆使して優良な子牛生産を行いたいと考えている。元のページに戻る