◎地域便り


食品製造粕を利用し、 低コスト酪農経営

愛知県/山田 眞理
 愛知県一宮市の岩田牧場は、 良質な食品製造粕を利用した低コスト飼料で、 経
産牛1頭当たり9,000kg以上の乳量を達成しており、 6月30日に長野県松本市で
行われた財団法人森永酪農振興会主催の酪農経営発表コンクールで農林水産省畜
産局長賞を受賞した。 

 岩田牧場では、 つなぎ牛舎で成牛約60頭及び育成牛約30頭を飼育しており、 給
餌はコンプリートフィーダーで行っている。 夏期を考慮し、 牛舎内では細霧の実
施や換気扇による送風、 屋根上ではスプリンクラーによる冷却を行っている。 

 経営の大きな特徴として、 都市近郊の利点を生かした製造粕の利用があげられ
る。 岩田牧場のTMR (混合飼料) 配合割合は現物%で、 ビートパルプ、 アルファ
ルファ乾草等の粗飼料が35.8%、 ふすま、 綿実、 トウモロコシ、 製造粕等の濃厚
飼料が64.2%となっている。 製造粕としては、 TMR中の現物%として、 豆腐粕が
41.4%、 味噌粕が2.3%配合されている。 これらの製造粕の利用により、 豆腐粕
では4円/kgの処理代収入を得ている。 また、 味噌粕は無料で入手している。 岩
田牧場ではこの他にも、 飼料費の低減に積極的に心掛けており、 アルファルファ
等の乾草は大量であるが格安で買えるコンテナで購入をし、 自社のリフトで荷下
ろしを行っている。 これらの方法により、 TMRの単価はDM (乾物換算) で29.2円
と非常に安く、 また、 乳飼比 (飼料費/乳代) は20.2%とかなり低くなっている。 
ちなみに、 愛知県のTMRの平均単価は45円、 平均乳飼比は、 40%である。 

 単価を下げるばかりではなく、 岩田牧場では栄養計算や必要栄養摂取量の充足
率の計算を平成3年度に導入したパソコンを用いて行っている。 製造粕を使用す
る時の注意事項としては夏場の製造粕の管理及び1頭当たりの製造粕給与量を16
kg以下とすること、 合わせて良質な粗飼料を与えることであるとの発表であった。


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