◎地域便り


若き酪農後継者の成長で地域に活力を

愛媛県/兵頭 敦志
 北宇和郡三間 (みま) 町は愛媛県の南西部の中山間地域にあり、 毎年10月10日
には 「コスモスまつり」 が開催され、 県下から多くの人々が訪れるなど、 町ぐる
みで花づくりに熱心に取り組んでいる素敵な町である。 

 ここに紹介する曽我牧場は、“お遍路さん”で有名な四国霊場41番札所 「龍光
寺」 のすぐ側にある。 その県道沿いには四季折々の花が咲き誇り、 お遍路さんや
家族連れなど、 訪れる人たちの目を楽しませてくれる。 

 曽我牧場の労働力は、 経営主の征史さん (50歳) と奥様の恵子さん (49歳) を
中心に、 祖父 (78歳) と平成6年春に中国四国酪農大学校を卒業し、 後継者とし
て就農した長男の栄作さん (22歳) の4名である。 

 本牧場では、 栄作さんの就農を機に規模拡大を計画、 近くで廃業した養豚農家
の豚舎を購入して成牛舎、 分娩舎、 乾乳舎、 ほ乳舎に改造し、 新たに育成舎とた
い肥舎を建設して今年の6月に移転した。 

 牛舎は、 個体管理が容易なつなぎ飼い方式で、 バンクリーナーで集められたふ
ん尿は、 たい肥舎でたい積発酵させ完熟たい肥として、 周辺耕作農家に供給され
ている。 

 現在、 搾乳牛40頭、 育成牛15頭であるが、 今後、 アメリカや北海道から初妊牛
を導入して当面搾乳牛50頭を目標に規模拡大中。 低コスト生産を目指して飼料畑
2.5ヘクタールを使った牧草生産にも熱心に取り組んでいる。 

 現在、 栄作さんは曽我牧場の重要な働き手である一方、 酪農ヘルパーとしても
活躍している。 地域の酪農家に急ある時は直ちに応援に駆けつける。 地域の酪農
家からは大いに頼られており、 若い後継者は他の酪農家までも不思議に活気づけ
ている。 

 栄作さんは、 「最近、 それぞれの酪農家の良い点、 悪い点が見えてきた。 わが
家の経営改善をするのに大変参考になり、 今後はこれらの経験を生かして、 国際
競争にも生き残れる酪農経営を目指したい」 と力強く語り、 その傍らで父親の征
史さんが目を細めているのが印象的であった。


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