◎地域便り


農業研究センター畜産研究所創立80周年を祝う

熊本県/峯 英征 (みね ひでゆき)
 熊本県農業研究センター畜産研究所が創立80周年を迎え、 去る5月25日に菊池
郡合志町の同研究所で、 約350人が出席し、 記念式典が盛大に開催された。 

 創立80周年を記念して、 「80年のあゆみ」 を発行すると共に、 研究所内にある
畜産広場に樹齢80年の金木犀を植樹し、 式典の折には天然記念物である久連子鳥 
(くれこどり) の羽を着けて踊る久連子古代踊りも披露され、 記念式典に花を添
えた。 

 畜産研究所は、 大正5年 (1916年)、 球磨郡一武村 (現錦町) に県種畜育成所
として用地面積200ヘクタール、 種雄馬15頭、 種雄牛8頭で業務が開始された。 

 その後、 大正13年 (1924年) に現在地に移転し、 以来試験研究機関としての整
備、 統合を経て今日に至っている。 

 これまでに、 実用化技術組立実証試験として、 西南暖地畑作地帯における高度
集約酪農技術、 コーンサイレージの適正給与量、 冷気送風による防暑対策やスラ
リー施用法等を確立した。 昭和57年から受精卵移植業務に取り組み、 昭和58年に
は九州で初めて新鮮卵による第1号牛が誕生した。 平成2年度からは受精卵移植
による種雄牛造成を行い 「光重ET」 という産子成績の優れた褐毛和種の種雄牛が
誕生し、 家畜改良増殖に貢献した。 

 優良系統豚としてランドレース種の基礎豚を用いて7世代にわたり優良遺伝子
を集積した結果、 本県の気候風土に適し発育が早く、 ロース面積が大きく、 あか
肉が多い等の特性をそなえた 「ヒゴサカエ301」 を育種開発した。 清浄豚肉生産
技術確立試験によるSPF化や、 アマニ油を利用した家畜飼料用配合物の開発、 α
−リノレン酸を高濃度に含んだ高付加価値鶏卵・鶏肉の生産技術の確立等を行っ
た。 以上のように畜産研究所は本県の畜産先端技術の拠点となっている。 

 なお、 記念式典に先立ち、 研究所OB主催の畜魂祭を行うと共に 「80年のあゆみ」 
の展示会場も設置した。 

 その後、 参加者全員大テントの中で、 褐毛和牛、 熊本SPF豚や熊本コーチン等、 
熊本の銘柄の焼肉を賞味しながら、 思い出話や雑談に花が咲き盛会のうちに閉会
となった。


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