◎地域便り
見直したい食品加工副産物の活用
愛知県 石黒武彦
愛知県名古屋市の周囲には、 多くの食品工場をはじめ、 大型レストラン、 病院
や給食センターが控え、 毎日搬出されてくる食品加工の副産物、 残飯・残さ類の
処理が社会的にも大きな課題となっている。
従来から、 都市近郊の養豚農家では、 こうした食品加工の菓子くず、 パン、 め
ん類をはじめ、 病院や給食センターなどの残飯・残菜など (以下:雑飼料) を肉
豚の飼料として利用してきたが、 近年、 経営者の高齢化や臭気問題などによって
利用農家が減少している。
犬山市のA農家 (25歳) では、 規格外になったパンを包装のまま粉砕機にかけ、
包装したビニール類は風で飛ばし、 可食部分を給与している。 粉砕したパンは、
残飯類と混合して、 加熱乾燥を行い、 風乾物飼料として肉豚に給与している。 通
常は、 包装されたパンを手作業で分別し、 パンの状態で残飯を混ぜ生で与えてい
る農家が多いが、 この方法だとその手間が省ける。
雑飼料を利用している農家は、 県内で約70戸程度とみられるが、 これらの農家
の飼養規模は、 一貫経営で母豚50〜80頭、 肥育経営で肉豚300頭前後と比較的安
定した経営がされている。
このような食品加工副産物、 残飯・残さ類は、 産業廃棄物として、 その処理経
費も膨大と言われている。 肉豚生産費のうち、 飼料費と母豚1頭当たりの出荷頭
数の差が農家間の所得に大きく影響しているといわれている現在、 これを肉豚の
飼料源として結びつけ肉生産を図ることが、 環境保全面からも重要と思われる。
また、 今後、 都市地域から産出される資源の飼料化に関する技術研究開発も望ま
れる。
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