◎地域便り
女手一つで4回目の農林水産大臣賞
鹿児島県 山口和彦
肉牛産地で知られる鹿児島県出いず水み郡高たか尾お野の町で黒毛和牛の肥育
経営 (80頭飼養規模) を営む井上タミ子さん (61歳) は、 12月7〜8日に開催さ
れた平成7年度鹿児島県肉畜共進会第45回記念大会で、 みごと農林水産大臣賞を
受賞した。 井上さんが肥育経営を営む高尾野町江え内うち地区は、 枝肉格付5
の率が60〜80%の実績を持つ肥育農家が多数あり、 県内で質・量ともトップレベ
ルにある肉牛肥育の盛んな地域である。 その中でも井上さんは、 これまで常に高
い実績を残し、 大臣賞の受賞は、 昭和60年の県枝肉共進会、 61年の県肉畜共進会、
平成6年のJA全農枝肉共励会に次いで今回が4回目である。
井上さんは、 昭和56年に夫に先立たれ途方に暮れ、 一時は牛飼いをやめようか
と思ったこともあったが、 農協関係者や周囲の肥育農家の勧めもあって発奮、 女
手一つで肥育経営を続けてきた。
肥育経営をめぐる情勢は、 牛肉の輸入量の増加による枝肉相場の低迷や、 最近
の素牛価格の上昇など非常に厳しい環境下にある。 女性らしいきめ細やかな飼育
管理により、 男性顔負けの実績を築き上げてきた井上さんのこれまでの努力は、
県内の肥育農家はもちろんのこと肉用牛関係者の手本になっている。 今回の井上
さんの受賞は、 本県肉用牛を振興する上で大きな起爆剤となった。
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