◎地域便り


「水稲+肉牛」 で日本農業賞受賞

北海道 黒沢不二男

 基幹食料の米は 「新食糧法」 のもとで、 その需給は原則的に市場原理に委ねら

れることになった。 流通チャンネルが多様化し、 価格帯の広がりも予想される。 

経営規模が大きいものの、 北海道の稲作農家にとってまさに正念場を迎えるとい

ってよい。 また、 牛肉の輸入自由化後、 肉牛飼養農家も、 価格の下落で苦境に立

っている。 



 北海道空知 (そらち) 郡長沼町の 「有限会社駒谷農場」 代表駒谷信幸氏 (53才) 

は、 このほど栄えある日本農業賞 (大賞) を受賞した。 2戸3世帯7人で水稲+

肉牛を基幹部門とする駒谷農場は、 41haの稲作で10a当たり548kgの収量、 1等米

比率100%、 60kg当たりの生産コストは10, 743円 (北海道平均の77%) という水

準を実現している。 



 さらに、 日高管内様似 (さまに) 町の肉牛分場 (100ha) では、 160頭規模のア

ンガス、 ヘレフォードなどの雌牛を飼養し、 黒毛和種との交雑種による良質中級

肉を生産している。 137頭の肥育牛は、 平成6年には1頭当たり389千円の販売価

格であった。 



 法人としての事業所得は4, 400万円である。 また、 法人運営の安定性指標であ

る自己資本比率は63%、 売上高負債比率も59%と良好である。 



 特に肉用牛部門は、 地代が安い様似町で放牧飼養し、 水稲・畑作部門の副産物

利用による低コスト生産を行っている。 牛肉は、 出荷頭数や価格が安定している

首都圏量販店との契約生産によって厳しい経営環境を乗り切っている点が高く評

価され今回の受賞となった。 


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