◎地域便り


一産取り肥育をやってみよう!

宮崎県 岩崎充祐

 宮崎県宮崎郡佐土原町の横田照夫さんは、 一産取り肥育を始めて10年になろう

としており、 その技術は、 現在、 県内でトップレベルにある。 



 通年ベースで、 年間60頭前後の雌子牛を外部導入する。 昨年は、 7年1月から

9月までのセリ市で30頭 (1〜9月) の雌子牛を、 宮崎郡の市場平均価格より約

5万円安い305,000円で、 もちろん血統は十分考慮した上で購入した。 毎年100頭

前後を肥育出荷している。 枝肉成績は表のとおりである。 去勢牛はすべて自家産

牛である。 雌もすべて一産取り肥育に回すが、 不足分を外部から導入する。 



 さて、 枝肉成績表で、 未経産牛と経産牛との肥育日数に大きな差がないことに

気づかれるはずである。 また、 7年の枝肉価格は未経産よりも経産の方が良いと

いう結果が出ている。 つまり、 一産を取ることにより、 子牛代金から育成費、 種

付料などを差し引いた差額は純益として残るわけである。 



 子牛の生産は、 種付けを11カ月齢から始め、 3回種付けして受胎しない場合は

肥育に回す。 表の未経産牛は、 ほとんどがそういう不受胎牛である。 生まれた子

牛は、 母牛の初乳は一切与えず、 酪農家で生産された初乳を与えている。 これは

最近、 分娩前に大腸菌ワクチンを投与した乳牛の初乳を与え始めたところ、 大腸

菌が引き起こす白痢が全く見られなくなったということに基づいている。 それで

も妊娠期から肥育を始めているので、 繁殖のためだけの飼養をするのに比べ生産

子牛は小さく、 肺炎などで10%前後の事故があるのが現状である。 



  「事故がなければ絶対もうかりますよ!」 と横田さんは言う。 今後は、 子牛の

事故率を下げ、 さらに一産取り肥育技術を確立し、 雌資源の有効活用を進めてほ

しいと思う。 


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