◎地域便り


連動スタンチョンの自動開放装置の考案

鹿児島県 長野京子

 鹿児島県名瀬市 (奄美大島) で肉用牛繁殖経営を営む農業生産法人 「奄美農産」 

のい泉 (いずみ) 昭人 (あきと) さん (43歳) は、 連動スタンチョンの自動開放

装置を考案し、 飼養管理の省力化とゆとりある経営を実現している。 

 【連動スタンチョンの自動開放装置】



 奄美農産は、 平成5年8月から肉用牛飼養を開始した新規農家であり、 現在19

頭の繁殖雌牛を飼養し、 将来は30頭まで拡大する計画である。 牛舎は農業改良資

金 (畜産振興資金) の活用により整備し、 その周辺はハイビスカスなどの花が植

えられ環境美化にも配慮されている。 飼料作物生産のための耕地は、 牛舎周辺の

遊休農地を借受けることによって確保している。 また、 住宅から牛舎までの距離

が約20kmあるため、 通勤で飼養管理を行っている。 



 泉さんが連動スタンチョンの自動開放装置を考案したきっかけは、 「日曜日を

サラリーマンと同様に休日とし、 子供たちと一緒に遊びたい」 という気持ちから

であった。 肉用牛を管理するためには毎日の飼料給与を欠かすことはできないが、 

牛が採食した後にスタンチョンを開放する作業 (飼料給与したあと約2時間後に

行う) を自動化し、 飼料を給与したらすぐ帰宅し再び牛舎まで出向く必要がない

ようにしたいと考えたのである。 



 考案した自動開放装置は無動力で、 スタンチョンの回転軸棒の取っ手にロープ

をつなぎ、 滑車に通したロープの先にバケツをつるし、 そのバケツにゆっくりと

ためられる水の重さによって、 軸棒を回転させる仕組みとなっている。 これだけ

ではすぐに軸棒が回転してしまうため、 回転軸棒の端の取っ手に調節用のゴムが

取り付けてある。 ポリタンクから落とす水の量は、 2時間程度で軸棒が回転し終

わるようバルブで調整している。 



 すばらしい省力化のアイディアは、 日頃の飼養管理の中から生まれるもの。 次

はどんなアイディアを見せてもらえるのかとても楽しみである。 

 【自動開放装置の参考図】


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