◎地域便り


日本一の和牛産地を目指して〜奄美群島大規模肉用牛経営研修会〜

鹿児島県 宝 正己

 鹿児島県奄美地域における繁殖雌牛の飼養頭数は、 昭和56年は8,400頭にすぎ

なかったが、 豊富な草資源を活用して規模拡大が進み、 平成6年には15,600頭と

ほぼ倍増し、 県内では曾於 (そお) 郡、 肝属 (きもつき) 郡に次ぐ子牛生産地域

として成長してきている。 



 このような状況の中、 さらに飼養規模の拡大や改良を促進し、 「日本一の和牛

産地を目指そう」 と、 奄美群島大規模肉用牛経営研修会が2月8日徳之島町中央

公民館で開催された。 



 研修会は、 奄美群島農政推進協議会と県肉用牛振興協議会大島支部の共催で開

催された。 奄美群島内の繁殖雌牛を30頭以上飼養する農家代表や関係者約50人が

参加し、 午前中は天城 (あまぎ) 町の朝木祥二郎さん (繁殖牛50頭飼養、 さとう

きびと園芸、 50歳、 後継者2人)、 徳之島町の永吉輝彦さん (繁殖牛88頭飼養、 

さとうきび栽培、 27歳)、 政秀一さん (繁殖牛46頭飼養、 43歳、 Uターンして5年)

の農場を視察研修し、 午後からは室内検討が行われた。 



 検討会では、 昨年九州ブロック肉用牛経営発表会で特別賞を受賞した政秀子 

(政秀一さんの妻) さんが 「婦人の力で盛り上げよう離島肉用牛」 と題して体験

発表を行い、 受胎率向上のための人工授精師免許の取得や、 県下でも珍しい人口

ほ育飼育の実践事例などを紹介した。 「県内では奄美を除くほとんどの和牛生産

地で戸数・頭数とも減少しており、 それをカバーできるのは奄美しかない。 100

頭までの規模拡大と法人化、 肥育を取り入れた一貫経営へ徐々に移行したい」 と

婦人パワーを訴えていた。 



 奄美地域は県内で最も飼養頭数の拡大が期待される地域であり、 「奄美は一つ」

を目指して多頭飼育農家の育成に取り組めば、 日本一の和牛産地も夢ではない。 


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