◎地域便り
通路でなくストールに横がさせるには
愛知県/原田 英雄
愛知県ではフリーストール式牛舎で飼育している酪農家が38戸ある。 フリース
トール式牛舎で乳牛を飼養する場合、 多くの問題点が指摘されている。 その中で
特に、 乳牛が夏期、 ストールではなく通路で横がし、 牛体を汚すことがある。 そ
の結果、 搾乳作業に労力を多く要したり、 場合によっては乳房炎の原因になり、
乳質を低下させることにもなる。
そこで、 愛知県の専門技術員の調査研究の一環として愛知県内の5戸のフリー
ストール式牛舎での夏期における乳牛の横が行動を平成7年6月から10月にかけ
て調査した。
その結果、 次のことが明らかになった。 乳牛が通路で横がする条件として、 1)
季節的には梅雨明け後で、 牛舎内気温が30℃を超え、 湿度が高くなった時、 2)
ストールのメインテナンスが行き届いていない場合、 すなわち敷料が少なかった
り、 クッション性が悪い状態の時、 3) 高密度飼育の場合、 すなわちストールの
数に対して130%以上の乳牛が飼育されている時、 4) 泌乳量が多く暑熱ストレ
スを受けやすい乳牛の場合、 5) 直下型扇風機のもとで横がしやすい、 などが挙
げられた。
したがって、 夏期高温時に乳牛をフリーストールで横がさせるためには、 スト
ールの真上に直下型扇風機を設置し、 敷料としては火山灰あるいは川砂のような
ものを用いるとよい。 敷料の代替物として、 クッション性の高いマットレスを利
用することも妥当と考えられる。 また、 乳牛頭数はストール数とスタンチョンの
数を決して上回ってはならない。 なお、 夏期に通路に横がする乳牛は特定される
ので、 牛舎を新築する場合には、 冬季にフリーストール式牛舎を建築し、 それら
の乳牛をストールで横がさせることを習熟させることが大切である。
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