◎地域便り


暖地型牧草のラップサイレージ調製

鳥取県/庄野 俊一

 畜産経営では、 生産コストを抑えるために自給飼料を積極的に活用し、 飼料購

入費を抑制することが何よりも求められている。 



 一方で、 就農人口の減少や高齢化に伴い自給粗飼料生産量は下降気味で推移し

ており、 省力的、 効率的な粗飼料生産体系の確立が必要とされている。 



 そこで、 近年では、 粗飼料生産を省力的でかつ効率的に行い、 品質の安定化に

もつながるロールベールラッピングサイレージが急速に普及してきている。 冬作

飼料作物だけでなく夏作飼料作物での利用も望まれている。 



 そのため鳥取県畜産試験場では暖地型牧草のラップサイレージ調製技術確立試

験を実施した。 



 その結果、 1) スーダングラス及びギニアグラスをラップサイレージで調製す

ることにより、 高品質で嗜好性の良い良質粗飼料が生産できること、 2) 寒地型

牧草に比べ水分含量をやや高め (60−65%) に調整することにより採食性と品質

が向上することが明らかになった。 



 また栽培、 給与上のポイントとしては、 1) 播種量をスーダングラスで8kg/

10a、 ギニアグラスで4kg/10aのように厚播きすること、 2) 生育初期の雑草繁

茂を抑えるために除草剤を散布すること、 3) 栄養収量及び採食性を高めるため

に出穂初期に刈り取ること、 4) 鳥や虫からラップサイロの破損を防ぐため、 調

製してから半年後までに給与すること、 が挙げられる。 



 今後、 ラップサイレージ体系の普及拡大に伴い粗飼料生産コストを抑えるため

に、 機械の共同利用や共同作業によって作業面積を拡大することが必要である。 

そのためにも、 ほ場基盤の整備や集約化がますます重要になってくると考えられ

る。 



【スーダングラスのラップサイレージ】




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