◎地域便り


四国カルスト牧場で優良乳牛の育成を

愛媛県/渡部 孝義

 愛媛県東宇和郡野村町大野ケ原にある 「四国カルスト大野ケ原牧場」 は、 高知

県の県境に位置する四国山脈西端の標高1, 000〜1, 500mの高原 (こうげん) カ

ルスト台地にあり、 県内で唯一の乳用牛の公共育成牧場である。 



 大野ケ原地区は県内有数の酪農地帯であり、 景観も優れている。 畜産と観光に

よる地域活性化に期待されている地区である。 特に、 本牧場は、 遠く瀬戸内海、

太平洋、 石鎚連峰を望むことができ、 乳牛が群れて牧草を食む風景はアルプスを

も連想することができる。 



 本牧場は、 昭和46年度から国営事業として原野を開発し、 草地約137haを造成

したもので、 愛媛県酪農業協同組合連合会が野村町の委託を受けて運営を行って

いる。 



 春に県下の酪農家から預かった約300頭の乳用子牛は、 4月下旬から10月下旬

にかけて約6カ月間放牧される。 このうち妊娠した100頭は退牧し、 残り200頭は、 

4月下旬までの約6カ月間越冬施設で飼育され妊娠させ退牧する。 このため酪農

家にも好評である。 最近ではコスト低減を図るための切り札として放牧による育

成が見直されてきており、 放牧を希望する農家も増加傾向にある。 



 現在、 乳用育成子牛200頭が越冬牛舎で春の訪れでの放牧を待ちかねているが、 

今年は、 例年より寒く牧草の生育が遅れたため、 放牧開始もやや遅れている。 放

牧を前にして4月上旬に八幡浜家畜保健衛生所は放牧の適否や放牧中の事故の未

然防止を図るため、 この200頭の臨床検査・血液検査・ふん便検査・測尺などに

よる健康診断を行った。 その結果、 全頭が検査に無事合格し、 全頭放牧を待つば

かりとなっている。 



 なお、 今年初めて放牧される子牛については、 牧草地に早く慣れさせ、 放牧で

の育成効果を上げるため、 農家段階での馴致 (予備) 放牧の徹底の呼びかけを行

い、 優良後継牛づくりを推進している。 酪農家を始め関係者から、 今年も牧場で

の育成成果が大いに期待されている。 




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