◎地域便り


高水準の脂肪交雑能力をもつ種雄牛2頭が誕生

鹿児島県/前原 俊浩

 鹿児島県曽於 (そお) 郡大隅 (おおすみ) 町の県肉用牛改良研究所では、 種雄

牛2頭の産肉能力間接検定を4月12日と18日にそれぞれ終了した。 肉質判定を左

右する最大要素である脂肪交雑能力評価では、 全国平均2. 3を大きく上回る3. 0

の好成績を残した。 県内の肉用牛農家など関係者の間では、 産肉能力の高い 「神

高福 (かみたかふく) 」 が高齢であるため、 これにかわる能力の高い新たな種雄

牛の登場が待ち望まれていた。 



 間接検定では、 種雄牛候補牛の遺伝的能力を評価するため、 一般牛と交配させ

て生まれた子牛8頭を1セットとして12カ月間肥育を行い、 その間の増体重や飼

料効率とともに肉量・肉質を調査する。 



 第20平茂 (ひらしげ) を父とする雌牛に忠福 (ただふく) をかけた 「忠茂 (た

だしげ) 」 と、 同じく 「第20平茂」 を父とする雌牛に神高福をかけた 「幸福 (さ

ちふく) 1」 の脂肪交雑能力は、 鹿児島県が所有する種雄牛ではこれまでの最高

となる評価であり、 日本食肉格付協会が5段階で評価する肉質判定でも、 「忠茂」 

で検定牛7頭のうち4頭が、 「幸福1」 で8頭のうち5頭が4等級と判定される

など高い評価を受けた。 また、 増体にも高い評価が見られた。 



 当研究所では、 昨年検定を終えた神高福の産子である 「勝美 (かつみ) 」 が間

接検定では中程度の成績であったものの、 その後の現場検定成績から育種価 (遺

伝的評価法により産肉成績を数値化したもの) ではナンバーワンという評価を今

春受けている。 また、 今年1月以降の間接検定においては高い成績を示す牛が次

々と検定を終了している。 



 間接検定成績が最終の評価ではないが、 今回検定を終了した種雄牛2頭につい

ては、 これまでの成績を大きく上回る成績を得ていることから、 「勝美」 に続く

種雄牛として県内関係者の期待が寄せられている。 



 今後、 改良育種素材として貴重な戦力となることが期待されるこの2種雄牛の

幅広いデータの収集により最終能力を確定し、 本県肉用牛の改良促進とともに鹿

児島黒牛」 の一層のブランド確立に役立てていきたい。 




【忠茂】
【忠茂の産子の脂肪交雑】
【幸福1】
【幸福1の産子の脂肪交雑】
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