◎地域便り


九州初の核移植によるクローン牛双子の誕生

鹿児島県/猪八重 (いのはえ)  悟

 鹿児島県曽於 (そお) 郡大隅 (おおすみ) 町の県肉用牛改良研究所で、 九州で

は初めての核移植によるクローン牛の双子が3月15日に誕生した。 また、 4月1

日にも1頭 (単子) が分娩した。 



 クローン牛生産は、 1個の胚 (受精卵) から遺伝子組成が全く同じ牛 (コピー

牛) を量産できる技術である。 良質牛の大量生産や育種改良に向けて実用化の研

究が進められ、 わが国では12の試験研究機関で生産に成功しており、 平成2年8

月に第1号が誕生してから130頭余りを数える。 双子の成功例はあまりなく、 九

州では大分県畜産試験場で双子の例があるが1頭は死産であったため、 実質的な

双子は今回が九州初となる。 当研究所は平成6年度からクローン牛生産の研究に

取り組んでいる。 



 今回、 1個の体外受精卵から核移植 (受精卵を16〜32の細胞に分裂させあらか

じめ核を抜いた別の卵子に1つずつ移植する。) によって作り出した胚6個を3

頭にそれぞれ2個ずつ移植した。 このうち1頭が、 体重23kgと34kgの元気な雄の

双子を正常分娩した。 今回とは別の時期に核移植した2頭も現在受胎しており6

月には分娩予定である。 



 今回のクローン牛の双子の個体識別は、 遺伝子の本体であるDNA (デオキシリ

ボ核酸) の配列を調べる方法で行われ、 わが国のクローン牛では初めての試みで

あり、 従来の血液型検査による識別より精度が高い。 



 核移植技術による産子は、 難産の原因となる過大児の発生など課題も多いが、 

今後実用化に向けた技術確立に向けさらに研究を進めることとしている。 



【九州初のクーロン牛双子】




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