◎地域便り


低温・日照不足で飼料作への影響大

北海道/橋立 賢二郎
 今年の北海道、 特に十勝地方の暖候期は当初の期待に反し、 涼し過ぎた。 日照
時間も少なく、 とくに7月上旬の帯広では10日間でわずか3.6時間と、 平年の8
%にしかならなかった。 この低温・日照不足は、 乳牛や肉用牛など暑さを好まな
い家畜にとっては自然の恵みとなったが、 畑作物や飼料作物への影響は大きく、 
農家を落胆させた。 

 特に1番草の刈取りが遅れ調整に手間取ったため、 その間の栄養低下、 また2
番草への影響、 さらに水分調整が思うようにいかず、 高水分での詰め込み・梱包
による品質への影響などが大きかった。 また、 十勝の高泌乳を支えているサイレ
ージ用とうもろこしも、 稈長はまずまずのできだが、 稈径が細く減収は免れない。 
そのうえ熟度が進まなかったとあって酪農家にとって悩みが尽きなかった。 

 このようなことから、 10月17日十勝協連では、 管内の酪農家や農協・共済の技
術員、 普及センター職員などによる検討会が開催され、 本年産粗飼料の特徴が発
表された。 

 このなかで、 本年の1番草の収量は 「並〜やや多」 であったものの、 製品の品
質及び栄養価は 「不良」 と 「低」 で、 そのため乳牛の嗜好性は 「不良」 であった。 
高水分サイレージでは発酵品質が懸念され、 食い込み量が少ないなどの指摘があ
った。 一方、 2番草については収量は「少」だったものの、 品質及び栄養価は「並」 
と 「やや高」 で、 乳牛の食い込みも 「並〜良」 ということだった。 サイレージ用
とうもろこしも同様の傾向にあり、 とくにデンプン価が低いだろうとされた。 本
年度の粗飼料の特徴は、 ほ場間・農家間の格差が大きく、 分析の必要性が強調さ
れた。 

 以上のほか、 検定成績の結果から個体当たり乳量が低下傾向にあること、 冷害
の翌年には繁殖性が悪く、 疾病が多いことなどの説明があった。 その後の検討会
では、 乾物摂取量を高めるための方策やエネルギーと蛋白補給の考え方などにつ
いて熱心に議論された。


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