◎地域便り


障害者に配慮した焼肉レストラン大盛況

群馬県/鳥山 晃
 群馬県吉岡町の焼肉工房 「あずさ」 は、 600坪のゆったりした敷地に建ってお
り、 収容人数は120人である。 このどこにでもあるレストランが一周年を迎え、 
いまだに大盛況なのは他の店とはちょっと違う構造になっているからである。 

 オーナーの吉沢さんに話を聞いてみた。 15年前に義母が脳出血で倒れ、 左半身
が不自由となってしまった。 家庭内の歩行はどうにかなるものの、 外出する機会
は極端に減り、 「子供たちも小さい頃から外食はほとんどできない生活であった」 
そうだ。 そんな環境が、 障害者も安心してゆっくり楽しめる店づくりを生む構想
の基になっている。 

 店の設計段階から、 全国脊椎損傷者連合会県支部長のアドバイスを受け、 それ
が随所に生かされている。 例えば入口に緩やかなスロープを設け、 車いすでも簡
単に出入りできるようにした。 店内通路も車いすがすれ違いできるように広くし
てある。 また、 入口には車いす3台が用意されていて、 もちろん車いす用のトイ
レも完備している。 点字のメニューもあり、 障害者の方にも楽しく食事ができる
と評判になっている。 

 食材にも気を配り、 地元農家が生産している牛肉、 豚肉、 野菜等を仕入れてお
り、 味、 雰囲気共に申し分のないお店である。 

 最近建てられた公共施設にはスロープ等が設置されているが、 民間のレストラ
ンではまだ障害者に配慮した設計は少ない。 ぜひ、 こういった誰でも気軽に利用
できる店がこれからどんどん増えてほしいものだ。


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