◎地域便り


「ほ育園方式」 で繁殖肥育一貫経営

鳥取県/山崎 和夫
 鳥取市から南へ20キロ、 山また山の谷あいにある中山間地八頭郡河原町西郷地
区。 

 肉用牛繁殖肥育一貫経営に加えて種雄牛を飼養、 採精から凍結精液の製造販売
も行い、 人工授精師としても活躍している谷口達雄さん (44才) がいる。 

 和子牛の経営が厳しい中、 子牛の事故防止が何よりも重要と考えた谷口さんは、 
下痢防止と早期離乳を狙い、 「ほ育園方式」 をいち早く取り入れ実践している。 

 谷口さんは昭和44年に和牛の肥育を始め、 同53年繁殖牛を導入し一貫経営に移
行した。 平成4年には、 一見すると酪農牛舎のようなつなぎ方式のバンクリーナ
ーをとり入れたユニークな新牛舎を建設、 ここでとりあげたほ育育成舎は平成7
年春の完成だ。 

 この牧場では繁殖雌牛40頭、 雄6、 肥育牛70 (雌45、 去勢25) が飼養されてい
る。 

 この 「ほ育園方式」 は子牛出生後、 約10日齢で親から離し、 高床式スノコ方式
のカーフケージに移動して人工乳でほ育、 約60日で離乳する。 

 その後は3〜4頭の群飼に移行、 育成用飼料と乾草で育成するというものだ。 

 専用施設として、 平成6年4月にカーフケージ8基を購入、 すべて稼働してい
る。 

  「ほ育園」 はもっぱら奥さんの仕事で 「以前は下痢の対応に追われていたが、 
カーフケージ導入後は個体管理ができるので下痢は皆無、 育成中の肺炎も半減し
たので、 精神的にずいぶん楽になりました」 と話す。 

  「単に人から聞いただけでは駄目。 安易に実行すると痛い目にあう」 と必要な
情報収集に金と時間を惜しまない夫達雄さん。 さらに 「専業的な規模の大きい経
営には、 この方式のメリットを最大限引き出すことが出来る」 と自信を持って語
っていた。 

【「ほ育園」でスクスク育つ子牛たち】


元のページに戻る