牛 肉・肉用子牛

牛 肉

● 8月の生産量

前年同月を大幅に下回る
 8月の生産量は、 2万7千248トン (▲19.1%) であった (図1)。 前年同月を 大幅に下回ったのは、 生産が減少基調の中で、 と畜場の稼働日が前年より少なか ったことに加え、 O−157報道による影響を嫌って、 出荷が先延ばしされたことも 一因と見られる。  和牛のと畜頭数の対前年減少率をめす・おす別に見ると、 3月以降、 めすの減 少率がおすのそれを4〜7%ポイント下回っている。 これは、 子牛価格が回復し、 めす牛の保留が進んでいるためではないかと期待される。
◇図1:牛肉の生産量◇
◇図2:牛肉の輸入量◇

● 8月の輸入量

SG発動で冷凍品激減
 8月の輸入量は、 4万2千475トン (▲29.6%) であった。 セーフガード発動 に伴い冷凍品が激減し (▲34.8%)、 冷蔵品もBSEに続き、 O−157報道の影響から 輸入牛肉の売れ行きが極端に不振となり、 大幅に減少した (▲25.9%) (図2)。  米国産は、 冷蔵品が前年同月を大幅に下回り (▲21.9%)、 冷凍品もバラを中 心に在庫が十分にあるため、 激減し (▲43.5%)、 合計では1万9千264トン (▲ 33.8%、 図3−1) となった。  豪州産は、 冷蔵品が引き続き前年同月を大幅に下回ったものの (▲27.9%)、 長期契約が多く、 ハンバーグパティ等向け需要が安定している冷凍品の減少率は ▲8.8%と他に比べて小さかった。 合計では2万920トン (▲23.3%、 図3−2) であった。  事業団調査によると、 9月の輸入量は3万6千トン (冷蔵品2万2千トン、 冷 凍品1万4千トン)、 10月は4万トン (冷蔵品2万5トン、 冷凍品1万5千トン)、 11月は10月に比べて冷蔵品はかなり増加し、 冷凍品は前月並みと見込まれる。
◇図3−1:米国からの牛肉輸入量◇
◇図3−2:豪州からの牛肉輸入量◇

● 8月の推定出回り量

大幅に減少
 8月の推定出回り量は、国産品、 輸入品ともに、 大幅に減少し、 合計では7万 4千102トン (▲18.8%、 図4) であった。  家計購入量 (1人当たり)は、 3月下旬からのBSE報道の影響を受け、 4月以降、 前年同月を1割程度下回ってきたが、 7月はさらにO−157報道の影響から▲16.9 %の大幅な減少となっている (図5)。
◇図4:牛肉の推定出回り量◇
◇図5:牛肉の家計購入量(1人当たり)◇

● 8月の推定期末在庫量

引き続き高水準
 8月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を大きく上回り、 13 万6千453トン (44.7%) であった (図6)。 特に輸入品は、 SG発動前の7月まで に冷凍品の在庫が積み上がったことから、 12万1千476トン (46.6%) と引き続 き高水準にある。
◇図6:牛肉の推定期末在庫量◇

● 8月の国産枝肉卸売価格

消費減から下げるも、 後半は回復
 8月の省令価格(東京市場)は、1,055円/kg(8.0%)となった(図7)。 月の前半 はO−157報道が集中し、 消費が手控えられたこと等から、 総じて弱含みであった が、 後半は回復した。  去勢和牛A5は、 景気回復の兆しが見られるものの高級品の需要はまだ弱く、 2,290円/kg(▲6.6%)と下げ傾向が止まっていない。 一方、 量販店の取り組み強 化等から2、 3クラスは、 引き続き前年同月を上回った(A3−1,482円/kg (1.6 %)) (図8−1)。  輸入牛肉に代えて国産牛肉の取り扱いを強化してきた量販店の需要等に支えら れ、 交雑種 (F1) 去勢牛は前年同月並み、 乳用種去勢牛は取引頭数が減少して いること等から好調で前年同月を上回った (F1B3−1,189円/kg (▲0.3%)、 乳用種B2−685円/kg (18.9%)、 図8−2)。
◇図7:牛肉の卸売価格(東京・省令)◇
◇図8−1:牛肉の卸売価格(和去勢・東京)◇
◇図8−2:牛肉の卸売価格(乳去勢、F1去勢、東京)◇

● 8月の輸入牛肉仲間相場

需要減から値を下げる
 8月の輸入牛肉の仲間相場は、 需要が引き続き弱いため、 輸入量は絞られてい るものの、 値を下げる品目が多かった。  北米産は、 荷余り感のある冷凍品バラが続落した。 冷蔵品は前月よりは値を下 げたものの、 冷蔵品112Aリブアイロールが1,606円 (8.0%) と引き続き前年同月 を上回った。  豪州産は、 売れ行き不振から総じて反落。 グラスフェッド・フルセットは7月 より30円値を下げ466円/kg (▲5.6%) となった (図9)。  9月に入ると輸入量の減少等から需給が引き締まり、 反発する品目が多かった。
◇図9:輸入牛肉の仲間相場◇

肉用子牛

● 8月の黒毛和種の取引

価格は前年同月並み
 8月の黒毛和種の取引頭数は、 1万9千849頭 (▲2.3%)とわずかながら引き 続き前年同月を下回った。 価格は、 35万7千円/頭 (▲0.1%)と前年同月並みで あった (図10)。  めす/おすの価格比は、 7年9月以降前年同月を上回っている。 これはめすの 保留・増頭意欲がでているためではないかと思われる。
◇図10:肉用子牛(黒毛和種)の取引価格◇

● 8月のホルスの取引

頭数減から前年同月を大幅に上回る
 8月のホルスタイン種の取引頭数は、 交雑種の伸びとは対照的に減少が続いて いる一方、 価格は肥育経営の導入意欲が強いこともあり、 10万6千円/頭 (82.5 %) と引き続き大幅に前年同月を上回っている (図11)。  ヌレ子は、 前月より1万2千円と大きく値を下げたが、 引き続き前年同月を大 幅に上回る4万1千円/頭 (23.9%)となった。
◇図11:肉用子牛(ホルスタイン種、F1)の取引価格◇

● 8月のF1の取引

引き続き20万円台
 8月の交雑種 (F1) の取引は、頭数が大幅な増加傾向にあるにもかかわらず、 価格は20万1千円/頭 (28.7%) と引き続き高い水準にある (図12)。 これは、 枝肉価格が底堅く推移し、 肥育経営の導入意欲が強いためと見られる。  一方、 ヌレ子は9万6千円 (▲6.8%) と10万円を割った。 (注) 数字は農畜産業振興事業団調べ。 取引価格は、 おす・めす平均である。
◇図12:肉用子牛(F1)の取引価格◇

元のページに戻る
月報「畜産の情報(国内編)の目次に戻る