★ 事業団レポート


世界ホルスタイン・フリージアン会議、 盛況に終わる

企画情報部 富澤 由記子

アジア地域初の開催

 9月11日から13日、 北海道札幌市内で第9回世界ホルスタイン・フリージアン 会議が開催された (主催:社団法人 日本ホルスタイン登録協会、 後援:農林水 産省、 畜産振興事業団ほか)。  この会議は、 世界ホルスタイン・フリージアン連盟が1964年にホルスタイン・ フリージアン種の原産国の1つオランダで開催したのが第1回で、 それ以来、 世 界の同種の改良に係る最新情報の交換や酪農関係技術者等の親睦と交流を目的と して、 オリンピックにあわせて4年毎に開催されている。 今回は、 アジア地域で 初の開催となり、 世界34カ国から250人の代表、 酪農家、 技術者のほか、 国内の 出席者を含めると約800人が集まった。  【会議には世界中から約800人が集まった】

各国からの様々な講演

 今回の会議は 「消費者市場に適合した育種改良」 をメインテーマに、 7つのセ ッションに分かれている。 初日は、 「世界の酪農市場」、 「酪農と環境保全対策」 の2つのセッションが開かれた。 セッションA 「世界の酪農市場」 では、 家畜改 良事業団理事長の中瀬信三氏が 「日本の酪農の発展経過」 について講演し、 日本 の乳製品市場は先進諸国に類を見ない程の飲用牛乳重視の市場であることから、 日本のホルスタイン種の改良もその方向で考えるべきであること、 これからの改 良についてはオランダ、 フランスあるいはイスラエル等の手法に興味と関心を持 っていると述べた。   「酪農と環境保全対策」 をテーマにしたセッションBでは、 農林水産省畜産経 営課の門谷廣茂畜産環境対策室長のほか、 デンマークのオーレ・クレイス・ハン セン氏の 「農場廃棄物の管理」、 オランダのアベレ・カイパース博士の 「ヨーロ ッパ (主としてオランダ) の農場の養分管理について」 の講演が行われた。  門谷氏は 「日本の酪農と環境問題」 について講演し、 日本の酪農経営に起因す る地域住民からの苦情発生件数は減少しているものの、 そのうちの約6割が悪臭 であること、 家畜全体のふん尿の年間排出量は、 ふんが約57百万トン、 尿が約18 百万トンの合計約76百万トンと推定され、 国内産業廃棄物の約2割を占めること、 堆きゅう肥の需給に地域間のアンバランスが存在していること等を報告した。  講演後のパネルディスカッションでは、 日本の悪臭問題に関して海外の出席者 からの質問がかなりあった。 日本では国土の狭さから、 悪臭問題に非常に敏感で あるのに対し、 ヨーロッパでは畜産に関して長い歴史もあり、 臭いもそれほど問 題ではなく、 労働効率を重視したスラリー (液状きゅう肥) 処理が中心であるこ となど、 地域によって酪農が置かれた環境はまったく違うことを改めて認識させ られた。  このほか、 12日には 「収益性をあげるための育種改良」、 「利潤のあがる酪農経 営とは」 等をテーマに世界各地の研究者等から講演があり、 出席者は熱心に耳を 傾けていた。  地域便り (北海道) と海外編にも、 本会議関係の記事を掲載していますのでご 覧ください。
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